感想・レビュー

2020/1/23

【読書感想】外池昇『天皇陵 「聖域」の歴史学』

  天皇陵 「聖域」の歴史学 外池 昇 出版社:講談社(講談社学術文庫) 発売日:2019/10/12 『天皇陵』をめぐるこれまでと、これからへの道筋  昨年五月、新元号『令和』へと時代が変わった。  明治天皇以降"一世一元制"となり、一人の天皇に対し元号は一つに定められるようになった。  しかしそれまでは、吉凶やその他の理由から一人の天皇の治世においてたびたび改元がなされてきた。  この表現が正しいか否かは別として、日本という国の有史以来、その主軸を担ってきた"天皇"という存在。  政治の主体が公家であ ...

感想・レビュー

2024/1/24

【読書感想】裏モノJAPAN編集部『他人が幸せに見えたら深夜の松屋で牛丼を食え』

他人が幸せに見えたら深夜の松屋で牛丼を食え created by Rinker Kindle Amazon 楽天市場  他人が幸せに見えたら深夜の松屋で牛丼を食え 裏モノJAPAN編集部編 出版社:鉄人社(鉄人文庫) 発売日:2023/10/26 若い頃の自分に言いたい親父の小言  「若かりし自分に教えてやりたい人生の真実」をコンセプトに、もし若い頃の自分にアドバイスするなら何を伝えるかという質問で集めた名言集。東京・上野や大阪・新世界などの飲み屋街にたむろする壮年~初老の"オッサン"200人か ...

感想・レビュー

2022/3/23

【読書感想】椎名美智『「させていただく」の使い方 日本語と敬語のゆくえ』

  「させていただく」の使い方 日本語と敬語のゆくえ 椎名美智 出版社:KADOKAWA(角川新書) 発売日:2022/01/08 「敬意」のインフレーションと「距離感」  数年来、日常的に出くわすようになった「させていただく」という言葉。私自身、この言い回しにはなんともいえない歯がゆさを感じている。同様に感じている人も少なくないだろう。  本書は「させていただく」の語用研究で一躍注目を浴びた言語学者による解説書だ。本格的な言語学の研究書に比して、かなりライトな書き口なので読みやすい。  序盤、日常的な場 ...

感想・レビュー

2023/1/8

【読書感想】高野秀行『語学の天才まで1億光年』

  語学の天才まで1億光年 高野秀行 出版社:集英社 発売日:2022/09/05 語学と冒険をめぐる青春アナザーストーリー  著者がこれまで巡ってきた数奇な冒険譚とそこにまつわる体当たりの語学学習。これまでの著作を読んだことのある読者には、その破天荒なチャレンジの数々を今更語り直す必要はないだろう。その一つひとつがあまりに突飛なために、もはやどこが一般と著者の閾値なのかが分からない。しかし本書では、その裏に隠された著者のもつ生真面目さが垣間見え、少し落ち着いた感じある。さまざまな経験から得た知見と、20 ...

感想・レビュー

2025/12/29

【読書感想】窪田新之助『対馬の海に沈む』

対馬の海に沈む [ 窪田 新之助 ] created by Rinker ¥2,310 (2026/03/26 07:01:18時点 楽天市場調べ-詳細) Amazon 楽天市場  対馬の海に沈む 窪田新之助 出版社:集英社 発売日:2024/12/05    対馬の海に沈む (集英社学芸単行本) Kindle版 田舎社会の闇、農協組織の闇  2024年開高健ノンフィクション賞を受賞して以来、根強く話題となり続けているルポ。ノンフィクションというよりミステリー小説のそれを思わせる気迫が ...

感想・レビュー

2019/10/17

【映画感想】『ジョーカー』

       10月4日日本でも公開が開始され今話題の映画『ジョーカー』を先日観てきましたという映画感想。        で、まず個人的感想の結論ですが、   久々マットウな映画を観た。  ということ。        本作はアメコミの大ヒット作『バットマン』の悪役として有名な“ジョーカー”の誕生を描くクライムドラマ。  主人公がジョーカーへと変貌していった経緯を、その人生的背景を通して描き出している。  一応R15指定(15歳未満は原則鑑賞不可)なのでかなり暴力的だったり過激なシーンが含まれているが、それ ...

もっと見る

感想・レビュー インド哲学仏教学

2024/3/24

【読書感想】ヴィヤーサ著・石原美里訳『邦訳マハーバーラタ 寡妃の巻』

  邦訳マハーバーラタ 寡妃の巻 created by Rinker Amazon 楽天市場  邦訳マハーバーラタ 寡妃の巻 ヴィヤーサ 著 / 石原美里 訳 出版社:パブファンセルフ 発売日:2024/01/29 愛する者を失った悲しみと屈辱  インドの二大叙事詩『マハーバーラタ』と『ラーマーヤナ』。そのうち『マハーバーラタ』(以下MBh)の第11巻「Strī-Parvan」の日本語訳注本。  MBhの日本語完訳は未だなされていない。故上村勝彦博士による翻訳は、急逝のため第8巻途中までにとどま ...

インド哲学仏教学

2023/6/10

『バガヴァッドギータ―』原典訳してみた!その1(Ⅰ・1~11)

 さて『バガヴァッドギータ―』原典訳してみた!の一回目は第1章1~11節までです。  今回扱うテキストについては前説編を参照のこと。 テキスト   ①dhṛtarāṣṭra uvāca /  dharmakṣetre kurukṣetre samavetā yuyutsavaḥ /  māmakāḥ pāṇḍavāścaiva kimakurvata saṃjaya // 1 // ②saṃjaya uvāca /  dṛṣṭvā tu pāṇḍavānīkam vyūḍhaṃ duryodhanasta ...

インド哲学仏教学

2023/6/10

『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その4(Ⅰ・31~39)

       4回目は第1章31~39節。  記事一覧はコチラ→『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!(第1章~第2章11節まで)       テキスト   ①nimittāni ca paśyāmi viparītāni keśava /  na ca śreyo'nupaśyāmi hatvā svajanamāhave // 31 // ②na kāṅkṣe vijayaṃ kṛṣṇa na ca rājyaṃ sukhāni ca /  kiṃ no rājyena govinda kiṃ bh ...

インド哲学仏教学

2023/6/10

インド二大叙事詩とヒンドゥー教の聖典について

【改訂記録】 ・2021/02/24 「あらすじ」欄に各巻・章のタイトル追記。   前説  インドの二大叙事詩『マハーバーラタ(Mahābhāratam)』と『ラーマーヤナ(Rāmāyana)』、そしてヒンドゥー教における最高の聖典と称される『バガヴァット・ギーター(Śrīmadbhagavad gītā)』について、その概要をまとめてみました(個人的な復習の意味も含め)。  かなりザックリとしたまとめになっていますが、本記事はちょっと実験したい部分もあって、今後も随時改訂したりしていきたいと思います。 ...

インド哲学仏教学

2023/6/10

『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その3(Ⅰ・20~30)

       3回目は第1章20~30節。  記事一覧はコチラ→『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!(第1章~第2章11節まで)       テキスト   ①atha vyavasthitāndṛṣṭvā dhārtarāṣṭrānkapidhvajaḥ /  pravṛtte śastrasaṃpāte dhanurudyamya pāṇḍavaḥ // 20 //  hṛṣīkeśaṃ tadā vākyamidamāha mahipate /  senayorubhayormadhye rath ...

インド哲学仏教学

2023/6/13

『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その6(Ⅱ・1~11)

       6回目は第2章1~11節  記事一覧はコチラ→『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!(第1章~第2章11節まで)       テキスト   ①sañjaya uvāca /  taṃ tathā kṛpayāviṣṭam aśrupūrṇākulekṣaṇam /  viṣīdantam idaṃ vākyam uvāca madhusūdanaḥ // 1 // ②śrībhagavān uvāca /  kutastvā kaśmalam idaṃ viṣame samupasthit ...

もっと見る

後鳥羽院project

2022/9/20

崇徳院と土御門院を巡る四国~後鳥羽院をめぐるフィールドワークその4 最終回~

 保元の乱の首謀者として讃岐に流された崇徳院。そしてその曾姪孫(甥の孫)にあたり、承久の乱で流された父・後鳥羽院、弟・順徳院の身の上を憂い、自ら懇願し阿波に流された土御門院。この二人を追ったレポート。  Field work on SUTOKU Tenno & TSUCHIMIKADO Tenno.  SUTOKU Tenno[1,Jul,1119~14,Sep,1164(28,May,Genei2~26,Aug,Chokan2):75nd emperor(reigning:1123~1142)and R ...

後鳥羽院project

2024/1/8

【隠岐ふたたび…】RE:後鳥羽院を巡るフィールドワーク~後編~

      前回のあらすじ  コロナ禍を経て念願の隠岐再訪を目指したワタクシ甚之助は、酷暑の中を必死の思いで隠岐・海士町に降り立った。  そして遂に、前回目の当たりにすることのできなかった後鳥羽院「お腰掛けの石」と対面する。  次いで、SNS上では長らく付き合いのある通称・元大賞さんと邂逅し、ふたたび隠岐神社・御在所&火葬塚跡へと足を踏み入れた。そこで目にしたものは「ひと夏の幻」だった……。   目次 ・पुनर्मिलाम ओकि・・・ ・キーポイント美保関 ・それからのこと   出雲国風土記 (講談社 ...

後鳥羽院project

2019/8/10

佐渡の入江の順徳院 前編~後鳥羽院をめぐるフィールドワークその2~

      Field work on JUNTOKU Tenno[22,Oct,1197~7,Oct,1242(10,Sep,Kenkyu8~12,Sep,Ninji3):84nd emperor(reigning:1210~1221)and Retired Emperor].  He is a scholarship and the martial arts who resembles his father.  However, he was condemned to SADO due to the ...

後鳥羽院project

2020/3/20

令和の時代に鎌倉幕府に思いを馳せてみた~後鳥羽院をめぐるフィールドワークその3~

 Field work on KAMAKURA Shogunate around the Jokyu war age.  2019年末、例の後鳥羽院単推しの通称ママとの取材旅行の前に、ひとりブラっと古都・鎌倉に残る承久の乱関連の史蹟を巡ってきましたというレポ。 目次  ・切通しのこと  ・冬の由比ガ浜  ・承久の乱を彩った人々の眠る場所と日蓮の消息  ・鶴岡八幡宮と承久の乱  参考文献 Amazon図説 鎌倉府 新版改訂 鎌倉観光文化検定 公式テキストブック 切通しのこと  平安時代末、栄華を極めた平家の ...

後鳥羽院project

2021/10/8

藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿 その2(建仁2年~元久元年)

     (甚之助蔵 『明月記研究』明月記研究会編)   ・その1 治承4年~建仁元年(第1巻)   ・その2 建仁2年~元久元年(第1巻)   ・その3 元久2年~建永元年(第1巻)   ・その4 承元元年~承元2年(第2巻)   ・その5 建暦元年~建暦2年(第2巻)   ・その6 建保元年~建保6年(第2巻)   ・その7 承久元年~嘉禎元年・その後(第2・3巻) 目次 ●藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿 その2(建仁2年~元久元年)  建仁2年  建仁3年  元久元年 建仁2年 1202年 後 ...

後鳥羽院project

2023/8/26

【ご冗談でしょ定家さん!?】『明月記』講読その3~治承四五年記③(治承五・養和元年)~

       引き続き、治承四五年記のうち治承五年について読んでいこうと思います。       目次 【凡例】   治承五・養和元年(1181)<定家20歳・従五位上侍従> ・式子内親王との邂逅(正月3日、九月二十七日条) ・高倉院、崩御(正月十四・二十日、閏二月三日条) ・平清盛、薨ず(閏二月四・五日条) ・姉の死(閏二月六・十二・二十四日、三月九日条)    参考文献       【凡例】 ・本文、訓読、意訳、注釈とコメントの順で記した。 ・底本には冷泉家時雨亭文庫叢書『翻刻 明月記』(全三巻)を用い ...

もっと見る

レポート

2023/6/2

あがた森魚さんの映画を見に行くin小樽【佐藤敬子先生を探して】

目次  前説  映画『佐藤敬子先生を探して』  私にとっての「あがた森魚」という人  脚注    Amazon  愛は愛とて何になる   ◎前説  8月上旬、私は農作業の傍らで北海道のローカルラジオ番組に耳を傾けていた。  その番組の一コーナーにとあるミュージシャンがゲスト出演していたのだが、なにやら熱心に口角泡を飛ばす勢いで必死に言葉を紡いでいる。件のコーナーでは、さまざまなミュージシャンのメッセージが流されたりゲスト出演した後で楽曲が放送されるのだが、その日に限ってはなかなか曲に移らない。最終的に楽曲 ...

レポート

2018/8/11

歌人・鳥居さんに会ってきた~三浦綾子記念文学館講演会レポ~

   6月13日、北海道旭川市在の三浦綾子記念文学館において、開館20周年を記念した特別講演会が開催された。  ゲストは"セーラー服の歌人"として注目されている歌人・鳥居氏だ。   キリンの子 鳥居歌集  2016年に本家・ネト見の方でも紹介した歌集『キリンの子』は現在までに累計2万部を売り上げている。また、彼女の壮絶な半生もまた注目されている理由のひとつに挙げられていると思うが、今回はそんな前提は一旦置いて、一読者として実際どのような人なのか気になっていたのでその講演会を聴きに行ってきましたというレポー ...

レポート

2021/2/26

【2021改訂版】ブログの更新サボってうつ病と闘ってきた

 さて今から遡ること6,7年前、メインの方で『ブログの更新サボって鬱病と闘ってきた』(現在削除済み)という記事をアップした。  公開当時はまだまだ頭もボンヤリという感じで、実際その後一年半にわたって更新も休止。その間、なんだかんだ寛解した。  寛解後は再びいろんなことにチャレンジしてみたくなったりで、結果目まぐるしい毎日を送るなか、自分がうつ病だったこともそれに関する記事をアップしたことも忘れていた。  しかし先日、メインの方で『【 鬱病 】経験者が語る! うつ病になるとできないこと5選!【 症状 】』と ...

レポート

2023/4/15

【妖怪博士の遺産】中野区立哲学堂公園を歩く!

       Amazon  史上最強の哲学入門 Kindle版        2023年3月、3年前から世界を席巻した某ウイルスの流行も収まりをみせ、久々に(本格的な)上京しました。そのときブラっと『中野区立哲学堂公園』に立ち寄ったので、その時のレポートです。ひさびさの散歩記事。  さて、哲学堂公園への行き方は複数ありますが、今回は都営大江戸線落合南長崎駅から(その他のルートは記事末に記載します)。  A1出口から都道440号線・新青梅街道を西に向かって歩く。          途中、なんのご縁かこんな ...

レポート

2023/7/8

【23区唯一の渓谷】等々力からめぐる東京古墳散歩♪

       Amazon  私のオアシス 等々力渓谷       ※今年(2023年)03月にした散歩です。        例のウイルスも収まりをみせ、所用をかねて上京した折、長い付き合いの知人家族から「朝食でも食べにおいでよ~」とお誘いを受けたので、散歩がてら東京・世田谷区から大田区にかけての多摩川沿いを歩きました。  件の知人宅は東急東横線の多摩川駅が最寄りなのですが、今回は大井町線等々力駅からの出発。        早朝だから人通りもまばら。そういえばこの駅前も再開発云々でいろいろ変わってたな。 ...

レポート 後鳥羽院project

2022/2/24

【とはずがたり】「『明月記』の後鳥羽院」よもやま話

       調査・研究に用いているノート。    「藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿」調査中の机の上w   目次  ・きっかけ  ・隠岐、集中豪雨  ・愛憎半ば、悲喜交々 その1  ・愛憎半ば、悲喜交々 その2  ・ママ、クルマにはねられる  ・『吉記』のこと  ・青天の霹靂  ・ママ、怒る!  ・老いたる定家と後鳥羽院  ・拝啓、藤原定家さま    Amazon  夢のなかぞら―父 藤原定家と後鳥羽院   ・きっかけ   「まあ、またなんとも面白そうなことを……」        2021年春、私は ...

もっと見る