感想・レビュー

2022/8/25

【読書感想】ドミニック・ボービー『潜水服は蝶の夢を見る』

  潜水服は蝶の夢を見る ジャン=ドミニック・ボービー 著 / 河野 万里子 訳 出版社:講談社 発売日:1998/03/05  心だけになった人間が見つめた世界  本書は大反響を呼んだ世界的ベストセラー。映画化もされているのでタイトルだけでも聞いたことがある人も多いだろう。  世界的ファッション雑誌『ELLE』の元編集長である著者は、脳幹出血という大病の末、ロックドイン・シンドローム(閉じ込め症候群)に陥る。これは俗にいう「植物状態」と異なり、四肢が麻痺しているものの意識が覚醒している状態、つまり、自己 ...

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2020/4/19

【読書感想】『獣神サンダー・ライガー自伝』上・下・完結編

  獣神サンダー・ライガー自伝(上) 出版社:イースト・プレス 発売日:2017/07/07     獣神サンダー・ライガー自伝(下) 発売日:2017/10/15   獣神サンダー・ライガー自伝 完結編 発売日:2020/03/15   プロレス界のレジェンド、獣神サンダー・ライガーのこれまでとこれからと……  今年1月、日本はもとより世界のプロレス界にもその名を馳せたスーパーヒーロー、獣神サンダー・ライガーがリングを去った。  マスクをかぶる前から通算36年の長きにわたって日本のプロレス界をけん引し、 ...

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2026/3/21

【読書感想】井川直子『ピッツァ職人』

  ピッツァ職人 井川直子 出版社:ミシマ社 発売日:2023/05/19 天職を得るということ  スポーツに打ち込むも挫折し、高校も中退。何物にも成れない自分と葛藤する日々、少年は料理の道に歩みを進めそこで運命のピッツァと出会う。まるで少年ジャンプに掲載される漫画のような世界観だが、これは若さゆえの無謀さとは違う情熱と向上心と矜持の物語だ。  単身イタリア・ナポリに渡り武者修行に励む日々。もちろん身内も伝手もなにもない中への飛び込みだった。外部から来たことのアウェイ感と現場に馴染むことの重要性の狭間で、 ...

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2024/5/18

【読書感想】湯川秀樹『旅人 ある物理学者の回想』

旅人 ある物理学者の回想 (角川ソフィア文庫) created by Rinker KADOKAWA Amazon 楽天市場   旅人 ある物理学者の回想 湯川秀樹 出版社:KADOKAWA(角川ソフィア文庫) 発売日:2011/01/25 心豊かな人生とは?  言わずと知れた日本人初となるノーベル賞を受賞した湯川秀樹のエッセイ。著者は生前数多くのエッセイを残したが、その中でも本書は自身の誕生以前からノーベル賞受賞のきっかけとなった研究に至るまでの半生を、深い述懐とともに回顧している。  どこに ...

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2020/7/22

【読書感想】『ジョン・ケージ著作選』

  ジョン・ケージ著作選 ジョン ケージ 著  小沼純一 編 出版社:筑摩書房(ちくま学芸文庫) 発売日:2009/05/11   音楽の作り方・聞き方までも変えた不世出の現代音楽家が紡ぐ"言葉"の思索    演奏家が一切楽器を鳴らさない『4分33秒』を作曲するなど、20世紀を代表する音楽家ジョン・ケージ。  彼は音楽家としての素顔のほかに、思想家・詩人、果てはキノコ研究家としての一面を持っていた。  それゆえに、彼は音楽界にとどまらず芸術分野全般に多大なる影響を残した。  そのジョン・ケージの"言葉によ ...

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2020/8/29

【読書感想】中野信子『人は、なぜ他人を許せないのか?』

  人は、なぜ他人を許せないのか? 中野信子 出版社:アスコム 発売日:2020/01/25   する側される側、すべての「正義中毒」者への処方箋    炎上、不謹慎狩り、不倫叩きにハラスメント……。  SNSなどの普及により、「他人を許せない」「自分こそ絶対に正しい」と豪語して止まない人びとが世間に溢れかえっるようになった。いや、もともと潜在的にいたものが、手軽なツールの登場によって表面化し、彼らとの遭遇率が高まってきたというべきだろうか? インターネットなどなかった時代なら市井のそこかしこで繰り広げら ...

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感想・レビュー インド哲学仏教学

2024/3/24

【読書感想】ヴィヤーサ著・石原美里訳『邦訳マハーバーラタ 寡妃の巻』

  邦訳マハーバーラタ 寡妃の巻 created by Rinker Amazon 楽天市場  邦訳マハーバーラタ 寡妃の巻 ヴィヤーサ 著 / 石原美里 訳 出版社:パブファンセルフ 発売日:2024/01/29 愛する者を失った悲しみと屈辱  インドの二大叙事詩『マハーバーラタ』と『ラーマーヤナ』。そのうち『マハーバーラタ』(以下MBh)の第11巻「Strī-Parvan」の日本語訳注本。  MBhの日本語完訳は未だなされていない。故上村勝彦博士による翻訳は、急逝のため第8巻途中までにとどま ...

インド哲学仏教学

2023/6/10

『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その5(Ⅰ・40~47)

       5回目は第1章40~47節  記事一覧はコチラ→『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!(第1章~第2章11節まで)       テキスト   ①kulakṣaye praṇaśyanti kuladharmāḥ sanātanāḥ /  dharme naṣṭe kulaṃ kṛtsnamadharmo'bhibhavatyuta // 40 // ②adharmābhibhavātkṛṣṇa praduṣyanti kulastriyaḥ /  strīṣu duṣṭāsu vārṣṇe ...

インド哲学仏教学

2020/5/21

『般若心経』をサンスクリット原典で読む!

 多分日本で一番有名な仏教経典である『般若心経』は、正式には『般若波羅蜜多心経』と呼ばれ、今から1600年以前、サンスクリット語で書かれた『Prajñāpāramitā-hṛdaya-sūtram』を漢訳したものだ。  そもそも『般若心経』は、仏になるために菩薩が行う修行・知恵(般若波羅蜜・般若波羅蜜多)を説く『般若経』という経典群の中のひとつで、大乗仏教の根本思想である"空"の思想を簡潔にまとめている。そのため、漢訳されたものもその短い文言の中で大乗仏教の根幹が説かれているとされ、多くの宗派で今なお用い ...

インド哲学仏教学

2023/6/10

『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その3(Ⅰ・20~30)

       3回目は第1章20~30節。  記事一覧はコチラ→『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!(第1章~第2章11節まで)       テキスト   ①atha vyavasthitāndṛṣṭvā dhārtarāṣṭrānkapidhvajaḥ /  pravṛtte śastrasaṃpāte dhanurudyamya pāṇḍavaḥ // 20 //  hṛṣīkeśaṃ tadā vākyamidamāha mahipate /  senayorubhayormadhye rath ...

インド哲学仏教学

2023/6/13

『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その6(Ⅱ・1~11)

       6回目は第2章1~11節  記事一覧はコチラ→『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!(第1章~第2章11節まで)       テキスト   ①sañjaya uvāca /  taṃ tathā kṛpayāviṣṭam aśrupūrṇākulekṣaṇam /  viṣīdantam idaṃ vākyam uvāca madhusūdanaḥ // 1 // ②śrībhagavān uvāca /  kutastvā kaśmalam idaṃ viṣame samupasthit ...

インド哲学仏教学

2023/6/10

『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その2(Ⅰ・12~19)

   2回目は第1章12~19節をば。  記事一覧はコチラ→『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!(第1章~第2章11節まで)     テキスト   ①tasya saṃjanayanharṣaṃ kuruvṛddhaḥ pitāmahāḥ /  siṃhanādaṃ vinadyoccaiḥ śańkhaṃ dadhmau pratāpavān // 12 // ②tataḥ śankhaśca bheryaśca paṇavānakagomukhāḥ /  sahasaivābhyahanyanta ...

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後鳥羽院project

2023/8/26

【ご冗談でしょ定家さん!?】『明月記』講読その3~治承四五年記③(治承五・養和元年)~

       引き続き、治承四五年記のうち治承五年について読んでいこうと思います。       目次 【凡例】   治承五・養和元年(1181)<定家20歳・従五位上侍従> ・式子内親王との邂逅(正月3日、九月二十七日条) ・高倉院、崩御(正月十四・二十日、閏二月三日条) ・平清盛、薨ず(閏二月四・五日条) ・姉の死(閏二月六・十二・二十四日、三月九日条)    参考文献       【凡例】 ・本文、訓読、意訳、注釈とコメントの順で記した。 ・底本には冷泉家時雨亭文庫叢書『翻刻 明月記』(全三巻)を用い ...

後鳥羽院project

2019/8/15

【佐渡の秘境!!】順徳院崩御の地・堂所御所跡へ【佐渡の入江の順徳院 後編】

 Field work on JUNTOKU Tenno[22,Oct,1197~7,Oct,1242(10,Sep,Kenkyu8~12,Sep,Ninji3):84nd emperor(reigning:1210~1221)and Retired Emperor].  Click here for the part1  前編はこちら   ↓↓↓↓  佐渡の入江の順徳院 前編~後鳥羽院をめぐるフィールドワークその2~      パパ・後鳥羽院譲りの文武両道の逸材      目次  前説  堂所御所跡へ ...

後鳥羽院project

2021/12/7

藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿 その4(承元元年~承元2年)

     後鳥羽院の姿を記録する主な公家日記2  (甚之助蔵 藤原家実『猪隈関白記』岩波書店、昭和62年第2刷)   ・【運命の四の宮】藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿 序奏   ・その1 治承4年~建仁元年(第1巻)   ・その2 建仁2年~元久元年(第1巻)   ・その3 元久2年~建永元年(第1巻)   ・その4 承元元年~承元2年(第2巻)   ・その5 建暦元年~建暦2年(第2巻)   ・その6 建保元年~建保6年(第2巻)   ・その7 承久元年~嘉禎元年・その後(第2・3巻) 目次 ●藤 ...

後鳥羽院project

2021/10/28

藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿 その3(元久2年~建永元年)

     後鳥羽院の姿を記録する主な公家日記  (甚之助蔵 九条兼実『玉葉』国書刊行会、明治39年刊。九条道家『玉蘂』今川文雄校訂、思文閣出版、昭和59年刊)   ・【運命の四の宮】藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿 序奏   ・その1 治承4年~建仁元年(第1巻)   ・その2 建仁2年~元久元年(第1巻)   ・その3 元久2年~建永元年(第1巻)   ・その4 承元元年~承元2年(第2巻)   ・その5 建暦元年~建暦2年(第2巻)   ・その6 建保元年~建保6年(第2巻)   ・その7 承久元 ...

後鳥羽院project

2023/7/28

【ご冗談でしょ定家さん!?】『明月記』講読その1~治承四五年記①(治承四年二月~五月)~

       以前公開した『藤原定家「明月記」にみる後鳥羽院の姿』シリーズをやっていた頃から、いつかは『明月記』自体の講読もやりたいと考えていた。  ただ、当の『明月記』が難解極まりないことと、明月記研究会はじめ堀田善衛御大などさまざまな研究者や愛読者がすでに多くの著作や論文を出している。またネット記事なんかでもあちらこちらで書かれていることもあって、「今さら自分がブログ上でやってもなぁ・・・」と二の足を踏んでいた。  とはいえ相変わらずの性と言おうか、思いついたんだからやってみようかしらと、最近になって ...

後鳥羽院project

2020/3/20

令和の時代に鎌倉幕府に思いを馳せてみた~後鳥羽院をめぐるフィールドワークその3~

 Field work on KAMAKURA Shogunate around the Jokyu war age.  2019年末、例の後鳥羽院単推しの通称ママとの取材旅行の前に、ひとりブラっと古都・鎌倉に残る承久の乱関連の史蹟を巡ってきましたというレポ。 目次  ・切通しのこと  ・冬の由比ガ浜  ・承久の乱を彩った人々の眠る場所と日蓮の消息  ・鶴岡八幡宮と承久の乱  参考文献 Amazon図説 鎌倉府 新版改訂 鎌倉観光文化検定 公式テキストブック 切通しのこと  平安時代末、栄華を極めた平家の ...

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レポート

2019/2/6

【溢れ出る昭和感】新宿の老舗食堂・長野屋で定食を食べる。

 さて昨年末に上京していた折、久々に行ってみたのでサクッとレポートです。都内住のころ新宿界隈で用事があるとき、食事時なり小腹が空いたときなどにちょいちょい食べにきていたお店。   あのころangle 街と地図の大特集1979新宿・池袋・吉祥寺・中央線沿線編 Kindle版 風景は記憶の順にできていく      新宿駅東南口を出てすぐ。様々な飲食店がひしめく新宿の街のなかでひときわ異彩を放っているのがここ「長野屋」。        この建物に見覚えのある方も多いはず。  こちらの長野屋さんはその外観からもわ ...

レポート

2020/5/1

【文豪ご用達w】老舗旅館『鳳明館』に泊まってきたときの話し【文京区本郷】

         ※2019年年末に宿泊しました。        Amazon  「谷根千」地図で時間旅行        コロナウイルスの問題で自粛の風吹き荒れる昨今ですが、今年三月、東京文京区にある老舗旅館・鳳明館からこのようなプランが発表されてのをご記憶されているでしょうか?  ●「先生、進んでますか?」進捗コールも完備。旅館「鳳明館」にて、大正・昭和の人気作家になった気分を味わえる「文豪缶詰プラン」 (かーずSP 2020年3月9日)  現在はテレワークにも対応したデイユースプラン「3密・心配ご無用 ...

レポート

2025/1/3

湖に沈む「幻の橋」タウシュベツ川橋梁を行く!

     ※本記事の内容は2024年08月時点のものです。  北海道上士幌町。  大雪山東南麓に位置するこの街には、「幻の橋」と呼ばれる橋がある。正式名称・タウシュベツ川橋梁は、知る人ぞ知る北海道屈指の秘境だ(「旧国鉄士幌線コンクリートアーチ橋梁群」として北海道遺産や近代化産業遺産に認定されている。なお)。  これは2024年08月にタウシュベツ川橋梁を訪れた時のレポートです(なお見学方法はこちらから)。   300ピース ジグソーパズル KAGAYA 幻の銀河橋(北海道)-天の川とタウシュベツ川橋梁- ...

レポート

2018/8/11

歌人・鳥居さんに会ってきた~三浦綾子記念文学館講演会レポ~

   6月13日、北海道旭川市在の三浦綾子記念文学館において、開館20周年を記念した特別講演会が開催された。  ゲストは"セーラー服の歌人"として注目されている歌人・鳥居氏だ。   キリンの子 鳥居歌集  2016年に本家・ネト見の方でも紹介した歌集『キリンの子』は現在までに累計2万部を売り上げている。また、彼女の壮絶な半生もまた注目されている理由のひとつに挙げられていると思うが、今回はそんな前提は一旦置いて、一読者として実際どのような人なのか気になっていたのでその講演会を聴きに行ってきましたというレポー ...

レポート

2023/4/15

【妖怪博士の遺産】中野区立哲学堂公園を歩く!

       Amazon  史上最強の哲学入門 Kindle版        2023年3月、3年前から世界を席巻した某ウイルスの流行も収まりをみせ、久々に(本格的な)上京しました。そのときブラっと『中野区立哲学堂公園』に立ち寄ったので、その時のレポートです。ひさびさの散歩記事。  さて、哲学堂公園への行き方は複数ありますが、今回は都営大江戸線落合南長崎駅から(その他のルートは記事末に記載します)。  A1出口から都道440号線・新青梅街道を西に向かって歩く。          途中、なんのご縁かこんな ...

レポート 後鳥羽院project

2022/2/24

【とはずがたり】「『明月記』の後鳥羽院」よもやま話

       調査・研究に用いているノート。    「藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿」調査中の机の上w   目次  ・きっかけ  ・隠岐、集中豪雨  ・愛憎半ば、悲喜交々 その1  ・愛憎半ば、悲喜交々 その2  ・ママ、クルマにはねられる  ・『吉記』のこと  ・青天の霹靂  ・ママ、怒る!  ・老いたる定家と後鳥羽院  ・拝啓、藤原定家さま    Amazon  夢のなかぞら―父 藤原定家と後鳥羽院   ・きっかけ   「まあ、またなんとも面白そうなことを……」        2021年春、私は ...

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