感想・レビュー

2021/10/26

【読書感想】鈴木董『文字世界で読む文明論 比較人類史七つの視点』

  文字世界で読む文明論 比較人類史七つの視点 鈴木董 出版社:講談社(講談社現代新書) 発売日:2020/07/15 文字から見つめる人類の歴史  従来ひとつの指標とされてきた「四大文明」を離れ、現今の五大文字圏を基軸とした新たな文化圏を構築し人類の歴史を再認識しようとする意欲作。本書は、文明・文化への明確な概念整理を示したうえで、科学や宗教、文学・思想・組織、果ては衣食住やグローバリゼーションなど広範なジャンルの比較検証を行っている。  それはラテン文字を中心として「西欧キリスト圏」、ギリシャ・キリル ...

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2022/5/24

【読書感想】飛騨俊吾『戀愛』(ペーパーバック)

  戀愛: 上 戀愛: 下 飛騨俊吾 出版社:Independently published(ペーパーバック) 発売日:2022/04/02 恋、その複雑さと心の自由    自分自身、かつては文学青年よろしく古典から現代小説までさまざまな文学作品を読破してきた。  だが昨今は専門書や実用書を読むばかりで、なかなかどうして文芸書に手が出ないでいる。    そんな中、とあるきっかけで知るに至った本書。  さまざまな出版社からの方向性の指摘の末、最近やっと日本でも広まりつつあるペーパーバック(オンデマンド)版と ...

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2022/11/20

【読書感想】田邊園子『伝説の編集者 坂本一亀とその時代』

  伝説の編集者 坂本一亀とその時代 田邊園子 出版社:河出書房新社(河出文庫) 発売日:2018/04/23  古き良き熱い時代  坂本一亀、ほかでもない音楽家・坂本龍一氏の父親である。龍一氏は一亀氏が亡くなる前後より、インタヴューなどことあるごとに父親のことを語っていた。「とにかく怖い人だった」「子ども頃、まともに顔を見て話した記憶がない」……。子息の活躍ぶりをみればその父親も只者ではないと自然に察せられるが、しかしなぜ「伝説」とまで呼ばれる編集者だったのか? それは一亀氏の編集者人生を顧みると明らか ...

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2022/12/10

【読書感想】松原隆一郎・堀部安嗣『書庫を建てる: 1万冊の本を収める狭小住宅プロジェクト』

  書庫を建てる: 1万冊の本を収める狭小住宅プロジェクト 松原隆一郎・堀部安嗣 出版社:新潮社 発売日:2014/02/25  「イエ」を形作るということ  本書を要約すれば、ひとえに「とある学者が自らの蔵書と実家じまいのために家を建てた」本である。"書庫"がゆえに多少なりとも書籍に関する話題があるかと思えば、残念ながらない。この本は、徹頭徹尾、施主と建築家との「イエ」を巡る軌跡を綴っている。  施主である松原氏は社会経済学者である。本書冒頭、今回の書庫建設にいたった動機をご自身の祖父の生涯にまで辿って ...

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2020/7/17

【読書感想】パオロ・ジョルダーノ『コロナの時代の僕ら』

  コロナの時代の僕ら パオロ・ジョルダーノ 著  飯田亮介 訳 出版社:早川書房 発売日:2020/04/24   これから生きていくために必要な「選択」する意思    今年2月下旬から3月上旬のあいだ、新型コロナウイルスの急速な感染拡大の一路を辿っていたイタリアで、新進気鋭の作家によって紡がれたエッセイ集。  世界数十か国で緊急翻訳されるなど話題になっている本書。  収録されている27篇のエッセイはいずれもコンパクトで、かつ予備知識のない人でも容易く理解できるほど平易に書かれている。嵐の前の静けさとい ...

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2026/9/29

【読書感想】エドワード・ドルニック『恐竜発見: 巨大な骨の化石の謎に挑んだ人々の物語』

  恐竜発見: 巨大な骨の化石の謎に挑んだ人々の物語 エドワード・ドルニック 著/杉田七重 訳 出版社:東京創元社 発売日:2026/07/30 科学と宗教を分けた神殺し  ヴィクトリア朝のイギリスにおいて、「恐竜」という概念がいかに生まれ受容されていったかをたどるサイエンスノンフィクション。  聖書が史実だと疑いなく信じられていた時代、科学と宗教は等号で結ばれていた。だが神が創造したはずの自然を観察するようになって、そこには神以前の歴史が漠然と浮かび上がってきた。  貧しい女性化石ハンターのエピソードを ...

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感想・レビュー インド哲学仏教学

2024/3/24

【読書感想】ヴィヤーサ著・石原美里訳『邦訳マハーバーラタ 寡妃の巻』

  邦訳マハーバーラタ 寡妃の巻 created by Rinker Amazon 楽天市場  邦訳マハーバーラタ 寡妃の巻 ヴィヤーサ 著 / 石原美里 訳 出版社:パブファンセルフ 発売日:2024/01/29 愛する者を失った悲しみと屈辱  インドの二大叙事詩『マハーバーラタ』と『ラーマーヤナ』。そのうち『マハーバーラタ』(以下MBh)の第11巻「Strī-Parvan」の日本語訳注本。  MBhの日本語完訳は未だなされていない。故上村勝彦博士による翻訳は、急逝のため第8巻途中までにとどま ...

インド哲学仏教学

2023/6/10

『バガヴァッドギータ―』原典訳してみた!その1(Ⅰ・1~11)

 さて『バガヴァッドギータ―』原典訳してみた!の一回目は第1章1~11節までです。  今回扱うテキストについては前説編を参照のこと。 テキスト   ①dhṛtarāṣṭra uvāca /  dharmakṣetre kurukṣetre samavetā yuyutsavaḥ /  māmakāḥ pāṇḍavāścaiva kimakurvata saṃjaya // 1 // ②saṃjaya uvāca /  dṛṣṭvā tu pāṇḍavānīkam vyūḍhaṃ duryodhanasta ...

インド哲学仏教学

2023/6/13

【ゆる解説】『「バガヴァッドギーター」原典訳してみた』補遺

『マハーバーラタ』におけるクルクシェートラの戦いを描いた18世紀の写本(A Tribute to Hinduismより)      目次  ・人名用語解説  ・超要約「バガヴァッドギーター」  ・「ギーター」こぼれ話し  参考文献    ※本編はコチラから!        Amazon  いちばんていねいでいちばん易しいインド哲学 超入門『バガヴァッド・ギーター』       人名用語解説(第1章~第2章11節に限る) ・アシュヴァッターマン:ドローナの長男。カウラヴァ軍の勇士。 ・アナンタヴィジャヤ:ユ ...

インド哲学仏教学

2023/6/10

インド二大叙事詩とヒンドゥー教の聖典について

【改訂記録】 ・2021/02/24 「あらすじ」欄に各巻・章のタイトル追記。   前説  インドの二大叙事詩『マハーバーラタ(Mahābhāratam)』と『ラーマーヤナ(Rāmāyana)』、そしてヒンドゥー教における最高の聖典と称される『バガヴァット・ギーター(Śrīmadbhagavad gītā)』について、その概要をまとめてみました(個人的な復習の意味も含め)。  かなりザックリとしたまとめになっていますが、本記事はちょっと実験したい部分もあって、今後も随時改訂したりしていきたいと思います。 ...

インド哲学仏教学

2026/8/4

【ヒンドゥー教の聖典】『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!~前説~

      目次  まえがきと若干の解説  『バガヴァッドギーター』テキスト  参考文献        【本編】  ・『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その1(Ⅰ・1~11)  ・『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その2(Ⅰ・12~19)  ・『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その3(Ⅰ・20~30)   ・『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その4(Ⅰ・31~39)  ・『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その5(Ⅰ・40~47)  ・『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!そ ...

インド哲学仏教学

2023/6/10

『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その2(Ⅰ・12~19)

   2回目は第1章12~19節をば。  記事一覧はコチラ→『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!(第1章~第2章11節まで)     テキスト   ①tasya saṃjanayanharṣaṃ kuruvṛddhaḥ pitāmahāḥ /  siṃhanādaṃ vinadyoccaiḥ śańkhaṃ dadhmau pratāpavān // 12 // ②tataḥ śankhaśca bheryaśca paṇavānakagomukhāḥ /  sahasaivābhyahanyanta ...

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後鳥羽院project

2024/1/8

【隠岐ふたたび…】RE:後鳥羽院を巡るフィールドワーク~後編~

      前回のあらすじ  コロナ禍を経て念願の隠岐再訪を目指したワタクシ甚之助は、酷暑の中を必死の思いで隠岐・海士町に降り立った。  そして遂に、前回目の当たりにすることのできなかった後鳥羽院「お腰掛けの石」と対面する。  次いで、SNS上では長らく付き合いのある通称・元大賞さんと邂逅し、ふたたび隠岐神社・御在所&火葬塚跡へと足を踏み入れた。そこで目にしたものは「ひと夏の幻」だった……。   目次 ・पुनर्मिलाम ओकि・・・ ・キーポイント美保関 ・それからのこと   出雲国風土記 (講談社 ...

後鳥羽院project

2021/10/8

藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿 その2(建仁2年~元久元年)

     (甚之助蔵 『明月記研究』明月記研究会編)   ・その1 治承4年~建仁元年(第1巻)   ・その2 建仁2年~元久元年(第1巻)   ・その3 元久2年~建永元年(第1巻)   ・その4 承元元年~承元2年(第2巻)   ・その5 建暦元年~建暦2年(第2巻)   ・その6 建保元年~建保6年(第2巻)   ・その7 承久元年~嘉禎元年・その後(第2・3巻) 目次 ●藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿 その2(建仁2年~元久元年)  建仁2年  建仁3年  元久元年 建仁2年 1202年 後 ...

後鳥羽院project

2019/8/15

【佐渡の秘境!!】順徳院崩御の地・堂所御所跡へ【佐渡の入江の順徳院 後編】

 Field work on JUNTOKU Tenno[22,Oct,1197~7,Oct,1242(10,Sep,Kenkyu8~12,Sep,Ninji3):84nd emperor(reigning:1210~1221)and Retired Emperor].  Click here for the part1  前編はこちら   ↓↓↓↓  佐渡の入江の順徳院 前編~後鳥羽院をめぐるフィールドワークその2~      パパ・後鳥羽院譲りの文武両道の逸材      目次  前説  堂所御所跡へ ...

後鳥羽院project

2022/12/15

後鳥羽院『遠島御百首』私見その1~春 ニ十首~

      ・その1~春 二十首~ ・その2~夏 十五首~ ・その3~秋 二十首~ ・その4~冬 十五首~ ・その5~雑 三十首(上)~ ・その6~雑 三十首(下)~       はじめに・・・  私を後鳥羽院がらみの研究(?)に誘った例のママは、最近は以前にもまして悠々自適の生活をしているらしい。なんでも「野垂れ死にが理想の死に方」なのだそうで、いまだ某ウイルスの話題に事欠かない昨今ながら、全国各地を転々と飛び回っているらしい。  そんなママから最初に後鳥羽院の話しをもらった時、見せられたノートがあった ...

レポート 後鳥羽院project

2022/2/24

【とはずがたり】「『明月記』の後鳥羽院」よもやま話

       調査・研究に用いているノート。    「藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿」調査中の机の上w   目次  ・きっかけ  ・隠岐、集中豪雨  ・愛憎半ば、悲喜交々 その1  ・愛憎半ば、悲喜交々 その2  ・ママ、クルマにはねられる  ・『吉記』のこと  ・青天の霹靂  ・ママ、怒る!  ・老いたる定家と後鳥羽院  ・拝啓、藤原定家さま    Amazon  夢のなかぞら―父 藤原定家と後鳥羽院   ・きっかけ   「まあ、またなんとも面白そうなことを……」        2021年春、私は ...

後鳥羽院project

2023/1/30

後鳥羽院『遠島御百首』私見その6~雑 三十首(下)~

(綱掛の松 隠岐・海士町 2018年08月甚之助撮影)     ・その1~春 二十首~ ・その2~夏 十五首~ ・その3~秋 二十首~ ・その4~冬 十五首~ ・その5~雑 三十首(上)~ ・その6~雑 三十首(下)~       雑三十首(下) 目次  八十六、日にそひて  八十七、何となく  八十八、人ごゝろ  八十九、みほのうらの  九十、たとふべき  九十一、はれやらぬ  九十二、うしとだに  九十三、ことづてむ  九十四、とにかくに  九十五、ふるさとの  九十六、おもふ人  九十七、われこそは ...

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レポート

2020/6/26

【谷根千の終着駅】由緒正しい下町食堂『動坂食堂』で食す!

       ※2019年12月に訪問した折りの記事です!  さて以前、本家の方で谷根千の散歩レポートを書いた際、千駄木・団子坂のところで「近くの動坂下にある『動坂食堂』がオススメ」みたいなこともあわせて書きましたが、今回は"やっと"件の『動坂食堂』に再訪できたので、その時のレポートです。  cf,谷根千を歩く。    谷根千を歩く。【おまけ編】    Amazon  新版 谷根千ちいさなお店散歩    さてまず個人的な思い出なのですが、東京に住んでいた頃、ここ『動坂食堂』さんの近くに住んでいたこともあっ ...

レポート

2018/8/23

銀座の老舗バー『ルパン』で呑む

 日本屈指の繁華街、東京・銀座。  和光の時計台は海外の旅行者からも人気のスポットですが、そこからほど近いところにあるのが老舗バー『ルパン』。  創業は昭和3(1928)年。開店時には当時近くにあった文藝春秋社の面々からの支援があり、以来文壇バーとして知られています。  注:本記事にはお酒にまつわる記述がありますが、飲酒を勧めるものではありません。    また、未成年の飲酒は法律で禁止されています。    成人であっても節度とマナーを守って過度な飲酒は控えましょう。    飲酒運転は絶対やめましょう。 猪 ...

レポート

2025/1/3

湖に沈む「幻の橋」タウシュベツ川橋梁を行く!

     ※本記事の内容は2024年08月時点のものです。  北海道上士幌町。  大雪山東南麓に位置するこの街には、「幻の橋」と呼ばれる橋がある。正式名称・タウシュベツ川橋梁は、知る人ぞ知る北海道屈指の秘境だ(「旧国鉄士幌線コンクリートアーチ橋梁群」として北海道遺産や近代化産業遺産に認定されている。なお)。  これは2024年08月にタウシュベツ川橋梁を訪れた時のレポートです(なお見学方法はこちらから)。   300ピース ジグソーパズル KAGAYA 幻の銀河橋(北海道)-天の川とタウシュベツ川橋梁- ...

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2021/3/12

【浪人時代の思い出】アリミツ君とマコちゃんのこと。

 受験シーズンも終わりに近づき、高校・大学はじめ、いろんなところで合格発表の知らせを耳にする季節となった。  毎年この時期になると、必ず浪人していた頃のことを思い出す。  私は某大手予備校で一年間浪人生活を送り、その間は予備校付属の寮で生活していた。  花の都・TOKYOに出てきたはずが、そこはなぜか木々の緑豊かで動物の鳴き声響くところだった。    人生初の満員電車。  都心ド真ん中にある予備校校舎へ通う日々。  起きてる時は(当然)勉強漬けだったが、ときどき破目を外して寮の仲間たちと長時間語り合ってい ...

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2021/2/26

【2021改訂版】ブログの更新サボってうつ病と闘ってきた

 さて今から遡ること6,7年前、メインの方で『ブログの更新サボって鬱病と闘ってきた』(現在削除済み)という記事をアップした。  公開当時はまだまだ頭もボンヤリという感じで、実際その後一年半にわたって更新も休止。その間、なんだかんだ寛解した。  寛解後は再びいろんなことにチャレンジしてみたくなったりで、結果目まぐるしい毎日を送るなか、自分がうつ病だったこともそれに関する記事をアップしたことも忘れていた。  しかし先日、メインの方で『【 鬱病 】経験者が語る! うつ病になるとできないこと5選!【 症状 】』と ...

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2019/2/6

【溢れ出る昭和感】新宿の老舗食堂・長野屋で定食を食べる。

 さて昨年末に上京していた折、久々に行ってみたのでサクッとレポートです。都内住のころ新宿界隈で用事があるとき、食事時なり小腹が空いたときなどにちょいちょい食べにきていたお店。   あのころangle 街と地図の大特集1979新宿・池袋・吉祥寺・中央線沿線編 Kindle版 風景は記憶の順にできていく      新宿駅東南口を出てすぐ。様々な飲食店がひしめく新宿の街のなかでひときわ異彩を放っているのがここ「長野屋」。        この建物に見覚えのある方も多いはず。  こちらの長野屋さんはその外観からもわ ...

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