感想・レビュー

2023/9/15

【読書感想】小野寺拓也・田野大輔『検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?』

  検証 ナチスは「良いこと」もしたのか? 小野寺拓也・田野大輔 出版社:岩波書店(岩波ブックレット 1080) 発売日:2023/07/06 ひとつの情報を理解するということ。  発売当初から岩波ブックレットとしては異例のスピードで版を重ねた本書。内容はというとタイトルのアンチテーゼそのもので、「良いこと」などなにもしていなかったナチスの姿を深堀りするものとなっている。その具体的なものの一つひとつのは、実際に本書を手に取り確認してもらった方が早い。本書の主眼は、どのような事柄に対しても、その背景や文脈を ...

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2023/1/18

【読書感想】ダートネル『この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた』

  この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた L・ダートネル 著 / 東郷えりか 訳 出版社:河出書房新社(河出文庫) 発売日:2018/09/06 もし明日、この世がリセットされたなら  『Dr.stone』の元ネタというか参考文献としても有名な世界的ベストセラー。この世界が大破局を迎え、これまで築き上げてきた文明が崩壊した後、いかに生活基盤を整え現代社会同様のシステムを構築するか、基礎的な科学知識をベースに詳細に綴られている。『Dr.stone』をきっかけに手に取った読者も多いだろう。  本書を読む ...

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2026/5/31

【読書感想】桜井政成『読書スタディーズ――本好きはどうつくられるのか』

  読書スタディーズ――本好きはどうつくられるのか 桜井政成 出版社:明石書店 発売日:2025/05/28 本を読むことを問い直す  この世の中には本が読める人と読めない人がいる。でもそれは単なる個人的な習慣の違いなのでは? と思う人は多いと思う。読書とは極めて個人的で孤独な作業、そんな認識を持っているのではないのだろうか?  しかし本書では、本を読むということは家庭環境や教育、人間関係といった社会的要因によって形成されると指摘する。つまり読書にまつわるコミュニティこそが、個人の読書行動を形作る根幹にあ ...

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2022/6/27

【読書感想】内海聡『心の絶対法則 なぜ「思考」が病気をつくり出すのか?』

  心の絶対法則 なぜ「思考」が病気をつくり出すのか? 内海聡 出版社:ユサブル 発売日:2020/11/19 あなたは被害者か? それとも加害者か? 人は見たいものしか見ない  「医療界の世界一の嫌われ者」「キチ○イ医」と自称する著者。  内科医である一方、これまでもさまざまな著作やメディアで過激な発言を繰り返してきていることを知る人も多いだろう。本書でもまたかなりセンセーショナルな内容が論じられている。  だが、極論めいた主張であるからこそ部分的にはかなり核心をついている点もある。そしてそれは、これま ...

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2020/6/30

【読書感想】『iPS細胞の歩みと挑戦』京都大学iPS細胞研究所国際広報室

  iPS細胞の歩みと挑戦 京都大学iPS細胞研究所国際広報室 出版社:東京書籍 発売日:2020/05/20 iPS細胞から見える人類の未来像とその現在  2012年、iPS細胞開発の功績によりノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥教授。  その山中先生らが中心となり、2010年、iPS細胞研究に特化した研究所として「京都大学iPS細胞研究所(CiRA)」が設立された。  iPS細胞研究のメッカとして世界にその研究成果を発信し、科学の発展に寄与することを目的としているこの研究所には、現在500名を超え ...

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2022/10/24

【読書感想】岡本太郎『自分の中に毒を持て<新装版>』

  自分の中に毒を持て<新装版> 岡本太郎 出版社:青春出版社(青春文庫) 発売日:2017/12/09 忍耐と勇気。岡本太郎の原点。  言わずと知れた芸術家・岡本太郎の名著。岡本太郎といえば、「太陽の塔」に代表される奇抜な作品群や、「芸術は爆発だ!」「なんだ、これは!」といった大胆で印象的な発言などは今でも耳目を集める。また昨今「タローマン」などの放送もあり、未だに根強い人気と絶大な影響力を放つ異才の芸術家であることは言うまでもない。  そんな岡本自身の生き様と人生哲学が、さまざまな経験やエピソードを交 ...

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インド哲学仏教学

2023/6/10

『バガヴァッドギータ―』原典訳してみた!その1(Ⅰ・1~11)

 さて『バガヴァッドギータ―』原典訳してみた!の一回目は第1章1~11節までです。  今回扱うテキストについては前説編を参照のこと。 テキスト   ①dhṛtarāṣṭra uvāca /  dharmakṣetre kurukṣetre samavetā yuyutsavaḥ /  māmakāḥ pāṇḍavāścaiva kimakurvata saṃjaya // 1 // ②saṃjaya uvāca /  dṛṣṭvā tu pāṇḍavānīkam vyūḍhaṃ duryodhanasta ...

インド哲学仏教学

2020/5/21

『般若心経』をサンスクリット原典で読む!

 多分日本で一番有名な仏教経典である『般若心経』は、正式には『般若波羅蜜多心経』と呼ばれ、今から1600年以前、サンスクリット語で書かれた『Prajñāpāramitā-hṛdaya-sūtram』を漢訳したものだ。  そもそも『般若心経』は、仏になるために菩薩が行う修行・知恵(般若波羅蜜・般若波羅蜜多)を説く『般若経』という経典群の中のひとつで、大乗仏教の根本思想である"空"の思想を簡潔にまとめている。そのため、漢訳されたものもその短い文言の中で大乗仏教の根幹が説かれているとされ、多くの宗派で今なお用い ...

インド哲学仏教学

2023/6/10

『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その2(Ⅰ・12~19)

   2回目は第1章12~19節をば。  記事一覧はコチラ→『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!(第1章~第2章11節まで)     テキスト   ①tasya saṃjanayanharṣaṃ kuruvṛddhaḥ pitāmahāḥ /  siṃhanādaṃ vinadyoccaiḥ śańkhaṃ dadhmau pratāpavān // 12 // ②tataḥ śankhaśca bheryaśca paṇavānakagomukhāḥ /  sahasaivābhyahanyanta ...

インド哲学仏教学

2023/6/10

『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その5(Ⅰ・40~47)

       5回目は第1章40~47節  記事一覧はコチラ→『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!(第1章~第2章11節まで)       テキスト   ①kulakṣaye praṇaśyanti kuladharmāḥ sanātanāḥ /  dharme naṣṭe kulaṃ kṛtsnamadharmo'bhibhavatyuta // 40 // ②adharmābhibhavātkṛṣṇa praduṣyanti kulastriyaḥ /  strīṣu duṣṭāsu vārṣṇe ...

感想・レビュー インド哲学仏教学

2024/3/24

【読書感想】ヴィヤーサ著・石原美里訳『邦訳マハーバーラタ 寡妃の巻』

  邦訳マハーバーラタ 寡妃の巻 created by Rinker Amazon 楽天市場  邦訳マハーバーラタ 寡妃の巻 ヴィヤーサ 著 / 石原美里 訳 出版社:パブファンセルフ 発売日:2024/01/29 愛する者を失った悲しみと屈辱  インドの二大叙事詩『マハーバーラタ』と『ラーマーヤナ』。そのうち『マハーバーラタ』(以下MBh)の第11巻「Strī-Parvan」の日本語訳注本。  MBhの日本語完訳は未だなされていない。故上村勝彦博士による翻訳は、急逝のため第8巻途中までにとどま ...

インド哲学仏教学 感想・レビュー

2024/1/5

【読書感想】清水俊史『ブッダという男 初期仏典を読みとく』

ブッダという男 ――初期仏典を読みとく (ちくま新書) created by Rinker Kindle Amazon 楽天市場   ブッダという男 初期仏典を読みとく 清水俊文 出版社:筑摩書房(ちくま新書1763) 発売日:2023/12/07 人間・ブッダは何を語っていたのか  ネット上を一時騒然とさせた仏教学界隈のアカハラ問題。その渦中にあった著者による「あとがき」が脚光を浴び、本書は刊行直後からベストセラーとなっている。若干そればかりが注目され独り歩きしている感は否めないが、本書は内容 ...

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後鳥羽院project

2024/1/8

【隠岐ふたたび…】RE:後鳥羽院を巡るフィールドワーク~前編~

      目次 ・プロローグからの隠岐へ ・「お腰掛けの石」のこと ・隠岐の夜 ・後鳥羽院の気配 ・夕すゞみ あしの葉みだれ よる浪に        Amazon  菊帝悲歌: 小説後鳥羽院 (河出文庫)       プロローグからの隠岐へ ママ「あのね8月の隠岐の件だけど、あれ、わたしキャンセル……」    それは歳の離れたお友達、後鳥羽院単推しの例のママからの唐突な電話だった。  ママとは前年(2022)中に隠岐再訪を計画していたものの、私の身辺でのゴタゴタ続きなどで結局行けずに終わった。それゆえ今 ...

後鳥羽院project

2023/1/4

後鳥羽院『遠島御百首』私見その4~冬 十五首~

      ・その1~春 二十首~ ・その2~夏 十五首~ ・その3~秋 二十首~ ・その4~冬 十五首~ ・その5~雑 三十首(上)~ ・その6~雑 三十首(下)~       冬十五首 目次  五十六、見し世にも  五十七、冬くれば  五十八、しもがれの  五十九、かみな月  六十、をのづから  六十一、こぞよりは  六十二、そめのこし  六十三、たつた山  六十四、苔しける  六十五、冬ごもり  六十六、やまかぜの  六十七、さながらや  六十八、けさみれば  六十九、おく山の  七十、かぞふれば ...

後鳥羽院project

2022/9/20

【運命の四の宮】藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿 序奏

 本稿は、後鳥羽院生前の出来事のうち、院のその後の人生に影響を与えたであろう事柄を、公卿日記をはじめとした史料より抽出したものである。  注意事項として、記事内の各天皇および院の呼称は省略している。また本稿タイトルの「運命の四の宮」は、目崎徳衛『史伝後鳥羽院』の一節による。   ・その1 治承4年~建仁元年(第1巻)   ・その2 建仁2年~元久元年(第1巻)   ・その3 元久2年~建永元年(第1巻)   ・その4 承元元年~承元2年(第2巻)   ・その5 建暦元年~建暦2年(第2巻)   ・その6  ...

後鳥羽院project

2021/12/7

藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿 その4(承元元年~承元2年)

     後鳥羽院の姿を記録する主な公家日記2  (甚之助蔵 藤原家実『猪隈関白記』岩波書店、昭和62年第2刷)   ・【運命の四の宮】藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿 序奏   ・その1 治承4年~建仁元年(第1巻)   ・その2 建仁2年~元久元年(第1巻)   ・その3 元久2年~建永元年(第1巻)   ・その4 承元元年~承元2年(第2巻)   ・その5 建暦元年~建暦2年(第2巻)   ・その6 建保元年~建保6年(第2巻)   ・その7 承久元年~嘉禎元年・その後(第2・3巻) 目次 ●藤 ...

後鳥羽院project

2022/12/22

後鳥羽院『遠島御百首』私見その2~夏 十五首~

      ・その1~春 二十首~ ・その2~夏 十五首~ ・その3~秋 二十首~ ・その4~冬 十五首~ ・その5~雑 三十首(上)~ ・その6~雑 三十首(下)~       夏十五首 目次  二十一、けふとてや  二十二、ふるさとを  二十三、たをやめの  二十四、暮かゝる  二十五、あやめふく  二十六、いまはとて  二十七、五月雨に  二十八、さみだれに  二十九、難波江や  三十、あはれにも  三十一、ゆふだちの  三十二、夕すゞみ  三十三、したくゆる  三十四、くれたけの  三十五、見るか ...

後鳥羽院project

2020/3/20

令和の時代に鎌倉幕府に思いを馳せてみた~後鳥羽院をめぐるフィールドワークその3~

 Field work on KAMAKURA Shogunate around the Jokyu war age.  2019年末、例の後鳥羽院単推しの通称ママとの取材旅行の前に、ひとりブラっと古都・鎌倉に残る承久の乱関連の史蹟を巡ってきましたというレポ。 目次  ・切通しのこと  ・冬の由比ガ浜  ・承久の乱を彩った人々の眠る場所と日蓮の消息  ・鶴岡八幡宮と承久の乱  参考文献 Amazon図説 鎌倉府 新版改訂 鎌倉観光文化検定 公式テキストブック 切通しのこと  平安時代末、栄華を極めた平家の ...

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レポート

2022/8/20

【今日もご安全に】ドラレコ買ったからつけてみた!

 北海道はすっかり冬景色となりましたが、さて、だいぶん前から新しいドラレコをつけようつけようと思っていてなかなかできなかったのを、先日やっと取り付けましたという報告がてら、今回購入したドラレコのレビューなんぞ書こうかという次第。        今回購入したのはこちらのドラレコ。    Amazon  Tapewo【最新版】 4.3インチタミラー型ドライブレコーダー 前後カメラ    ミラータイプでバックカメラ付き、画質はフルHD1080P。    内容物はこんな感じ。    ・本体  ・バックカメラ  ・ ...

レポート

2019/7/30

【探訪】上野『大統領』私的呑みかた論w

     Amazon  上野アンダーグラウンド     ※この記事は飲酒を薦めるものではありません。  未成年の飲酒は法律で禁じられています。  また飲酒運転は絶対にやめましょう。  お酒は程よく気持ちよく!        数年前、「遊んで学ぶお父さん」のUronpoiさんを誘って以来、氏をどっぷりハマらせてしまった感があって若干の責任を感じていたりするのですが、よくよく考えたら自分でレポを書いたことがないなと思い、ホント今更ながらの「大統領」レポ。  レポートと言っても、普段どんな風に大統領で呑んでい ...

レポート

2023/6/2

あがた森魚さんの映画を見に行くin小樽【佐藤敬子先生を探して】

目次  前説  映画『佐藤敬子先生を探して』  私にとっての「あがた森魚」という人  脚注    Amazon  愛は愛とて何になる   ◎前説  8月上旬、私は農作業の傍らで北海道のローカルラジオ番組に耳を傾けていた。  その番組の一コーナーにとあるミュージシャンがゲスト出演していたのだが、なにやら熱心に口角泡を飛ばす勢いで必死に言葉を紡いでいる。件のコーナーでは、さまざまなミュージシャンのメッセージが流されたりゲスト出演した後で楽曲が放送されるのだが、その日に限ってはなかなか曲に移らない。最終的に楽曲 ...

レポート

2019/6/22

オッサンだから今話題の『DEOCO』使ってみましたレポw

     ※個人的な感想です。効果には個人差があります(多分)。      どうも、基本的に口と腋と足が臭く“哀しい臭い”と書いて男の『哀臭(あいしゅう)』を漂わせている甚之助です。見事にオッサンです。    さて、昨今巷のオッサンたちの間では   ●リアル君の名は。おっさんが女の子の匂いを買ってきて身につけたら、たまらない背徳感を味わえた (わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる)   ●デオコで女の子の匂いを感じるためには女の子との思い出が必要という問題 (本しゃぶり)  これらの記事を皮 ...

レポート

2020/6/26

【谷根千の終着駅】由緒正しい下町食堂『動坂食堂』で食す!

       ※2019年12月に訪問した折りの記事です!  さて以前、本家の方で谷根千の散歩レポートを書いた際、千駄木・団子坂のところで「近くの動坂下にある『動坂食堂』がオススメ」みたいなこともあわせて書きましたが、今回は"やっと"件の『動坂食堂』に再訪できたので、その時のレポートです。  cf,谷根千を歩く。    谷根千を歩く。【おまけ編】    Amazon  新版 谷根千ちいさなお店散歩    さてまず個人的な思い出なのですが、東京に住んでいた頃、ここ『動坂食堂』さんの近くに住んでいたこともあっ ...

レポート

2020/1/26

北区赤羽の住宅街をプラっと散歩してきましたレポ

  昨年夏に上京した折、ちょっと時間が空いたので赤羽で途中下車して住宅街を散歩してきたレポートです。  赤羽といえば最近では住んでみたい街として人気もうなぎ上りのようですが、細い路地に"せんべろ"飲み屋街と、知る人ぞ知る隠れたディープスポット密集地帯だったりする。また昨年暮れ、タレントの壇蜜さんと漫画家・清野とおるさんのご結婚が報じられた際、清野さんの地元ということでもその名が更に広まったりしたのは記憶に新しいところ。  駅付近のふざけた七福神像やホテル屋上の自由の女神像なんか特に有名ですが、今回は赤羽駅 ...

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