【読書感想】村井康彦『藤原定家 「明月記」の世界』
藤原定家 『明月記』の世界 村井康彦 出版社:岩波書店(岩波新書 1851) 発売日:2020/10/21 元祖・自己中。あなたの血の色は何色ですか? かねてより、私もそこかしこで藤原定家について書き散らしているのはご存知かと思う。 cf,【とはずがたり】「『明月記』の後鳥羽院」よもやま話 そして書き散らすたびに「性悪だ」とか「人格破綻者だ」など、かなり辛辣な人物評も添えている。本書を読めばその言葉に嘘偽りがないことは確かに証明されるだろう(冷泉家の皆さん、ごめんなさい)。 本書はタイトルの ...
【読書感想】小林昌樹『立ち読みの歴史』
立ち読みの歴史 小林昌樹 出版社:早川書房(ハヤカワ新書) 発売日:2025/04/23 「読む」ことの歴史 『調べる技術: 国会図書館秘伝のレファレンス・チップス』の著者が同書の方法を実践・活用し綴った、"立ち読み"から見える読書変遷史。全体を通して感じるのは、書き手の史料は数あれど、読み手の史料の圧倒的少なさだ。 "立ち読み"といっても、われわれが漠然とイメージするその姿勢の背景に、果たしてどれほどの歴史が積み重なっているのか? まずはその定義にはじまり、発生時期の推察と海外との比較を通じて見 ...
【読書感想】千田稔『カラー版 古代飛鳥を歩く』
カラー版 古代飛鳥を歩く 千田稔 出版社:中央公論新社(中公新書2371) 発売日:2016/04/19 日本王朝黎明期を歩く 今月、世界遺産登録勧告を受け、登録がほぼ確実となった奈良県の飛鳥および藤原宮都。その一報を受けて再読した本書だが、件の地に生まれ育った著者が贈る大人のための飛鳥旅行ハンドブックである。 王朝黎明期、飛鳥という限られた空間の中でさまざまにめぐらされた政治ドラマを、人物と遺跡を鍵に追体験する。ページを繰れば、『古事記』『日本書紀』といった神話の世界と現世のかの土地が時を超えて ...
【読書感想】『会う人すべてがあなたのファンになる 一流の魅せ方』
会う人すべてがあなたのファンになる 一流の魅せ方 鈴鹿久美子 出版社:大和書房 発売日:2017/03/23 セルフブランディングの魅力と威力と魔力 「民主的な殺し合い」と言われる選挙。壮絶な舌戦の中、著者は"勝たせ屋"としてさまざまな人物を政治家として政界に送りこんできた人物。 そんな著者が自身の実体験とさまざまな政治家(特に女性議員)の立ち居振る舞いから見出した「セルフブランディング」ノウハウ。 セルフブランディングとはマーケティン手法のひとつで、自分の価値を相手にどう伝えるか、どう自分 ...
【読書感想】海部健三『結局、ウナギは食べていいのか問題』
結局,ウナギは食べていいのか問題 海部健三 出版社:岩波書店(岩波科学ライブラリー) 発売日:2019/07/19 日本の食文化が直面している危機とこれからのこと 近年、サンマやイカといった日本近海の資源減少が大きな問題となっている。 その中でもウナギに関するものは最たるもので、俎上に上がって久しい。また特に土用の丑の日近辺では、コンビニ業界などの本末転倒なキャンペーンと相俟って毎年のようにその危機的状況が叫ばれている。 本書では、日本の食文化に関わりの深いウナギをめぐる資源保護の現状とこれから ...
【読書感想】オーウェル『パリ・ロンドン放浪記』
パリ・ロンドン放浪記 (岩波文庫) created by Rinker Kindle Amazon 楽天市場 パリ・ロンドン放浪記 ジョージ・オーウェル 出版社:岩波書店(岩波文庫 赤262-2) 発売日:1989/04/17 稀代の作家の真骨頂 名作『1982』の作者・オーウェルのデビュー作にして、創作の背景を形作った原体験のルポ。 パリとロンドンそれぞれで送ったどん底生活を精力溢れる筆致で描いた労作だが、実際はどちらかというと取材あるいは潜入ルポに近いものがある。というのもそもそもオー ...
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『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その6(Ⅱ・1~11)
6回目は第2章1~11節 記事一覧はコチラ→『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!(第1章~第2章11節まで) テキスト ①sañjaya uvāca / taṃ tathā kṛpayāviṣṭam aśrupūrṇākulekṣaṇam / viṣīdantam idaṃ vākyam uvāca madhusūdanaḥ // 1 // ②śrībhagavān uvāca / kutastvā kaśmalam idaṃ viṣame samupasthit ...
『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その3(Ⅰ・20~30)
3回目は第1章20~30節。 記事一覧はコチラ→『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!(第1章~第2章11節まで) テキスト ①atha vyavasthitāndṛṣṭvā dhārtarāṣṭrānkapidhvajaḥ / pravṛtte śastrasaṃpāte dhanurudyamya pāṇḍavaḥ // 20 // hṛṣīkeśaṃ tadā vākyamidamāha mahipate / senayorubhayormadhye rath ...
インド二大叙事詩とヒンドゥー教の聖典について
【改訂記録】 ・2021/02/24 「あらすじ」欄に各巻・章のタイトル追記。 前説 インドの二大叙事詩『マハーバーラタ(Mahābhāratam)』と『ラーマーヤナ(Rāmāyana)』、そしてヒンドゥー教における最高の聖典と称される『バガヴァット・ギーター(Śrīmadbhagavad gītā)』について、その概要をまとめてみました(個人的な復習の意味も含め)。 かなりザックリとしたまとめになっていますが、本記事はちょっと実験したい部分もあって、今後も随時改訂したりしていきたいと思います。 ...
『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その4(Ⅰ・31~39)
4回目は第1章31~39節。 記事一覧はコチラ→『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!(第1章~第2章11節まで) テキスト ①nimittāni ca paśyāmi viparītāni keśava / na ca śreyo'nupaśyāmi hatvā svajanamāhave // 31 // ②na kāṅkṣe vijayaṃ kṛṣṇa na ca rājyaṃ sukhāni ca / kiṃ no rājyena govinda kiṃ bh ...
『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その2(Ⅰ・12~19)
2回目は第1章12~19節をば。 記事一覧はコチラ→『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!(第1章~第2章11節まで) テキスト ①tasya saṃjanayanharṣaṃ kuruvṛddhaḥ pitāmahāḥ / siṃhanādaṃ vinadyoccaiḥ śańkhaṃ dadhmau pratāpavān // 12 // ②tataḥ śankhaśca bheryaśca paṇavānakagomukhāḥ / sahasaivābhyahanyanta ...
『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その5(Ⅰ・40~47)
5回目は第1章40~47節 記事一覧はコチラ→『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!(第1章~第2章11節まで) テキスト ①kulakṣaye praṇaśyanti kuladharmāḥ sanātanāḥ / dharme naṣṭe kulaṃ kṛtsnamadharmo'bhibhavatyuta // 40 // ②adharmābhibhavātkṛṣṇa praduṣyanti kulastriyaḥ / strīṣu duṣṭāsu vārṣṇe ...
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藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿 その7 承久元年~嘉禎元年・その後(第2・3巻)
後鳥羽院像に迫るための資料 (甚之助蔵 『大日本史料』第4輯、東京大学史料編纂所、昭和43年) ・【運命の四の宮】藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿 序奏 ・その1 治承4年~建仁元年(第1巻) ・その2 建仁2年~元久元年(第1巻) ・その3 元久2年~建永元年(第1巻) ・その4 承元元年~承元2年(第2巻) ・その5 建暦元年~建暦2年(第2巻) ・その6 建保元年~建保6年(第2巻) ・その7 承久元年~嘉禎元年・その後(第2・3巻) 目次 ●藤原定家 ...
【隠岐ふたたび…】RE:後鳥羽院を巡るフィールドワーク~前編~
目次 ・プロローグからの隠岐へ ・「お腰掛けの石」のこと ・隠岐の夜 ・後鳥羽院の気配 ・夕すゞみ あしの葉みだれ よる浪に Amazon 菊帝悲歌: 小説後鳥羽院 (河出文庫) プロローグからの隠岐へ ママ「あのね8月の隠岐の件だけど、あれ、わたしキャンセル……」 それは歳の離れたお友達、後鳥羽院単推しの例のママからの唐突な電話だった。 ママとは前年(2022)中に隠岐再訪を計画していたものの、私の身辺でのゴタゴタ続きなどで結局行けずに終わった。それゆえ今 ...
後鳥羽院を巡るフィールドワーク【大原御陵・水無瀬神宮・隠岐】
後鳥羽院 第二版 後鳥羽院 (コレクション日本歌人選) Field work on Go-Toba Tenno[6,Aug,1180~28,Mar,1239(14,Jul,Jisho4~22,Feb,enoh1):82nd emperor(reigning:1183~1198)and Retired Emperor]. He was also a master of Waka(Waka is Japanese traditional poetry) in Japan medieval history. ...
崇徳院と土御門院を巡る四国~後鳥羽院をめぐるフィールドワークその4 最終回~
保元の乱の首謀者として讃岐に流された崇徳院。そしてその曾姪孫(甥の孫)にあたり、承久の乱で流された父・後鳥羽院、弟・順徳院の身の上を憂い、自ら懇願し阿波に流された土御門院。この二人を追ったレポート。 Field work on SUTOKU Tenno & TSUCHIMIKADO Tenno. SUTOKU Tenno[1,Jul,1119~14,Sep,1164(28,May,Genei2~26,Aug,Chokan2):75nd emperor(reigning:1123~1142)and R ...
後鳥羽院『遠島御百首』私見その6~雑 三十首(下)~
(綱掛の松 隠岐・海士町 2018年08月甚之助撮影) ・その1~春 二十首~ ・その2~夏 十五首~ ・その3~秋 二十首~ ・その4~冬 十五首~ ・その5~雑 三十首(上)~ ・その6~雑 三十首(下)~ 雑三十首(下) 目次 八十六、日にそひて 八十七、何となく 八十八、人ごゝろ 八十九、みほのうらの 九十、たとふべき 九十一、はれやらぬ 九十二、うしとだに 九十三、ことづてむ 九十四、とにかくに 九十五、ふるさとの 九十六、おもふ人 九十七、われこそは ...
【隠岐ふたたび…】RE:後鳥羽院を巡るフィールドワーク~後編~
前回のあらすじ コロナ禍を経て念願の隠岐再訪を目指したワタクシ甚之助は、酷暑の中を必死の思いで隠岐・海士町に降り立った。 そして遂に、前回目の当たりにすることのできなかった後鳥羽院「お腰掛けの石」と対面する。 次いで、SNS上では長らく付き合いのある通称・元大賞さんと邂逅し、ふたたび隠岐神社・御在所&火葬塚跡へと足を踏み入れた。そこで目にしたものは「ひと夏の幻」だった……。 目次 ・पुनर्मिलाम ओकि・・・ ・キーポイント美保関 ・それからのこと 出雲国風土記 (講談社 ...
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オッサンだから今話題の『DEOCO』使ってみましたレポw
※個人的な感想です。効果には個人差があります(多分)。 どうも、基本的に口と腋と足が臭く“哀しい臭い”と書いて男の『哀臭(あいしゅう)』を漂わせている甚之助です。見事にオッサンです。 さて、昨今巷のオッサンたちの間では ●リアル君の名は。おっさんが女の子の匂いを買ってきて身につけたら、たまらない背徳感を味わえた (わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる) ●デオコで女の子の匂いを感じるためには女の子との思い出が必要という問題 (本しゃぶり) これらの記事を皮 ...
【溢れ出る昭和感】新宿の老舗食堂・長野屋で定食を食べる。
さて昨年末に上京していた折、久々に行ってみたのでサクッとレポートです。都内住のころ新宿界隈で用事があるとき、食事時なり小腹が空いたときなどにちょいちょい食べにきていたお店。 あのころangle 街と地図の大特集1979新宿・池袋・吉祥寺・中央線沿線編 Kindle版 風景は記憶の順にできていく 新宿駅東南口を出てすぐ。様々な飲食店がひしめく新宿の街のなかでひときわ異彩を放っているのがここ「長野屋」。 この建物に見覚えのある方も多いはず。 こちらの長野屋さんはその外観からもわ ...
あがた森魚さんの映画を見に行くin小樽【佐藤敬子先生を探して】
目次 前説 映画『佐藤敬子先生を探して』 私にとっての「あがた森魚」という人 脚注 Amazon 愛は愛とて何になる ◎前説 8月上旬、私は農作業の傍らで北海道のローカルラジオ番組に耳を傾けていた。 その番組の一コーナーにとあるミュージシャンがゲスト出演していたのだが、なにやら熱心に口角泡を飛ばす勢いで必死に言葉を紡いでいる。件のコーナーでは、さまざまなミュージシャンのメッセージが流されたりゲスト出演した後で楽曲が放送されるのだが、その日に限ってはなかなか曲に移らない。最終的に楽曲 ...
歌人・鳥居さんに会ってきた~三浦綾子記念文学館講演会レポ~
6月13日、北海道旭川市在の三浦綾子記念文学館において、開館20周年を記念した特別講演会が開催された。 ゲストは"セーラー服の歌人"として注目されている歌人・鳥居氏だ。 キリンの子 鳥居歌集 2016年に本家・ネト見の方でも紹介した歌集『キリンの子』は現在までに累計2万部を売り上げている。また、彼女の壮絶な半生もまた注目されている理由のひとつに挙げられていると思うが、今回はそんな前提は一旦置いて、一読者として実際どのような人なのか気になっていたのでその講演会を聴きに行ってきましたというレポー ...
【私的愛用品】ツバメノート「KB4」考
目次 ・「KB4」のココに注目! ・「KB4」今昔物語 ・私的使用法 大分前に本家の方で書いた「私の文房具【私の本棚 余談】」でチラッと紹介した私愛用のノートについて、ここ10年来でいろいろ変わって変化があったのでそこを深堀りしてみようと思います。時代の流れというのか、発展でありまた淋しくもある変化の詳細です。 件のシリーズ「私の本棚」も、あれ以来書斎の模様替えなど相俟って、今では本棚に並ぶ背表紙も大分変わりました。昨今は専門とするインド哲学仏教学と、ここ数年かかずらわ ...
【とはずがたり】「『明月記』の後鳥羽院」よもやま話
調査・研究に用いているノート。 「藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿」調査中の机の上w 目次 ・きっかけ ・隠岐、集中豪雨 ・愛憎半ば、悲喜交々 その1 ・愛憎半ば、悲喜交々 その2 ・ママ、クルマにはねられる ・『吉記』のこと ・青天の霹靂 ・ママ、怒る! ・老いたる定家と後鳥羽院 ・拝啓、藤原定家さま Amazon 夢のなかぞら―父 藤原定家と後鳥羽院 ・きっかけ 「まあ、またなんとも面白そうなことを……」 2021年春、私は ...
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