【読書感想】川井俊夫『金は払う、冒険は愉快だ』
金は払う、冒険は愉快だ created by Rinker Kindle Amazon 楽天市場 金は払う、冒険は愉快だ 川井俊夫 出版社:素粒社 発売日:2023/09/13 古道具界のフィリップ・マーロウ これは不条理小説なのか? それとも無頼派小説なのか? 私小説ともエッセイとも言い難い、6B鉛筆で書きなぐったかのような武骨な一冊。 毒舌と真面目さが入り混じるとある古物商の日常は、悪態と罵倒に満ちていながらどこか頭を殴られたような痛快さと風通しの良さがある。その半生と日常はあまりにも ...
【読書感想】植木雅俊『サンスクリット版縮訳 法華経 現代語訳』
サンスクリット版縮訳 法華経 現代語訳 植木雅俊 出版社:KADOKAWA(角川ソフィア文庫) 発売日:2018/07/24 壮大にして荘厳な大乗仏教の世界。そこに描かれているものとは? 日本でも天台宗や日蓮宗などで日々読誦される『法華経』。正式には『妙法蓮華経』と呼ばれるもので、代表的な大乗仏教経典のひとつである。 本書はその『法華経』のサンスクリット原典を現代語訳し、更に仏教経典に散見する重複部分を省いた縮約版。 著訳者である植木雅俊博士は理系出身の仏教学者で、ジャーナリストや作家としての ...
【読書感想】菅啓次郎『本は読めないものだから心配するな』
本は読めないものだから心配するな (ちくま文庫) created by Rinker 筑摩書房 Amazon 楽天市場 本は読めないものだから心配するな 菅啓次郎 出版社:筑摩書房(ちくま文庫) 発売日:2021/09/13 濃密な本の旅 詩人である著者の読書エッセイ。読書家にとってはなんとも魅力的で心現れるようなタイトルだが、その実本書で引用されている本を次々読みたくなってしまう不思議な一冊。 著者自ら遅読を告白し、20年来の積読に対し深く侘びを入れておきながら「一歩ずつ進めばそれで ...
【読書感想】川端裕人『我々はなぜ我々だけなのか アジアから消えた多様な「人類」たち』
我々はなぜ我々だけなのか アジアから消えた多様な「人類」たち 川端裕人 著 , 海部陽介 監修 出版社:講談社(ブルーバックス) 発売日:2017/12/12 人類が現れる前、アジアには誰がいたのか? そしていつ来たのか? 2003年インドネシアでのフローレス原人発見は、成人でも身長1mほどしかない新種の小型原人が存在したとして人類史を書き換えるほどのセンセーショナルなものだった。 またこれまで知られてきた北京原人やジャワ原人以外にも、複数種の人類が同時期のアジアにいたことも分かってきた。 ...
【読書感想】新井潤美『〈英国紳士〉の生態学 ことばから暮らしまで』
〈英国紳士〉の生態学 ことばから暮らしまで 新井潤美 出版社:講談社(講談社学術文庫) 発売日:2020/01/14 英国紳士の本音と建前 「英国紳士」といえば、日本人の頭の中にはステレオタイプ的な姿があるかもしれない。だがその実際、同じ英国紳士でも上下、その上下の中にもさらに細かい隔たりがある。本書はそんな英国紳士の中でも「中の下」に属する"lower-middle-class"、社会経済の中央の低い部分を占める階級の人々がどのような歴史的背景の中で生まれ、どのような境遇におかれているのかに迫っ ...
【読書感想】劉慈欣『三体』
三体 劉 慈欣 / 大森 望,光吉さくら,ワンチャイ 訳 / 立原透耶 監修 出版社:早川書房 発売日:2019/07/04 次世代へつながるSF界の新巨星 中国での初版以降話題を呼び、英訳版の刊行、そしてSF界の最高賞ヒューゴー賞を受賞するに至った本作品。 日本語訳刊行以降は、各界の著名人からの絶賛を受け続けている。 文化大革命を背景に壮大に広がるストーリーは、圧倒的な想像力と底知れない知識量に裏打ちされて最早なんと称していいか分からないほどだ。 私自身、古今東西を問わずいろんな書籍を多読乱 ...
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『般若心経』をサンスクリット原典で読む!
多分日本で一番有名な仏教経典である『般若心経』は、正式には『般若波羅蜜多心経』と呼ばれ、今から1600年以前、サンスクリット語で書かれた『Prajñāpāramitā-hṛdaya-sūtram』を漢訳したものだ。 そもそも『般若心経』は、仏になるために菩薩が行う修行・知恵(般若波羅蜜・般若波羅蜜多)を説く『般若経』という経典群の中のひとつで、大乗仏教の根本思想である"空"の思想を簡潔にまとめている。そのため、漢訳されたものもその短い文言の中で大乗仏教の根幹が説かれているとされ、多くの宗派で今なお用い ...
【ゆる解説】『「バガヴァッドギーター」原典訳してみた』補遺
『マハーバーラタ』におけるクルクシェートラの戦いを描いた18世紀の写本(A Tribute to Hinduismより) 目次 ・人名用語解説 ・超要約「バガヴァッドギーター」 ・「ギーター」こぼれ話し 参考文献 ※本編はコチラから! Amazon いちばんていねいでいちばん易しいインド哲学 超入門『バガヴァッド・ギーター』 人名用語解説(第1章~第2章11節に限る) ・アシュヴァッターマン:ドローナの長男。カウラヴァ軍の勇士。 ・アナンタヴィジャヤ:ユ ...
『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その3(Ⅰ・20~30)
3回目は第1章20~30節。 記事一覧はコチラ→『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!(第1章~第2章11節まで) テキスト ①atha vyavasthitāndṛṣṭvā dhārtarāṣṭrānkapidhvajaḥ / pravṛtte śastrasaṃpāte dhanurudyamya pāṇḍavaḥ // 20 // hṛṣīkeśaṃ tadā vākyamidamāha mahipate / senayorubhayormadhye rath ...
インド二大叙事詩とヒンドゥー教の聖典について
【改訂記録】 ・2021/02/24 「あらすじ」欄に各巻・章のタイトル追記。 前説 インドの二大叙事詩『マハーバーラタ(Mahābhāratam)』と『ラーマーヤナ(Rāmāyana)』、そしてヒンドゥー教における最高の聖典と称される『バガヴァット・ギーター(Śrīmadbhagavad gītā)』について、その概要をまとめてみました(個人的な復習の意味も含め)。 かなりザックリとしたまとめになっていますが、本記事はちょっと実験したい部分もあって、今後も随時改訂したりしていきたいと思います。 ...
『バガヴァッドギータ―』原典訳してみた!その1(Ⅰ・1~11)
さて『バガヴァッドギータ―』原典訳してみた!の一回目は第1章1~11節までです。 今回扱うテキストについては前説編を参照のこと。 テキスト ①dhṛtarāṣṭra uvāca / dharmakṣetre kurukṣetre samavetā yuyutsavaḥ / māmakāḥ pāṇḍavāścaiva kimakurvata saṃjaya // 1 // ②saṃjaya uvāca / dṛṣṭvā tu pāṇḍavānīkam vyūḍhaṃ duryodhanasta ...
『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その5(Ⅰ・40~47)
5回目は第1章40~47節 記事一覧はコチラ→『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!(第1章~第2章11節まで) テキスト ①kulakṣaye praṇaśyanti kuladharmāḥ sanātanāḥ / dharme naṣṭe kulaṃ kṛtsnamadharmo'bhibhavatyuta // 40 // ②adharmābhibhavātkṛṣṇa praduṣyanti kulastriyaḥ / strīṣu duṣṭāsu vārṣṇe ...
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後鳥羽院『遠島御百首』私見その5~雑 三十首(上)~
・その1~春 二十首~ ・その2~夏 十五首~ ・その3~秋 二十首~ ・その4~冬 十五首~ ・その5~雑 三十首(上)~ ・その6~雑 三十首(下)~ 雑三十首(上) 目次 七十一、いにしへの 七十二、をきわびぬ 七十三、とへかしな 七十四、もしほやく 七十五、かもめなく 七十六、なみまゆく 七十七、しほかぜに 七十八、さととをみ 七十九、とはるゝも 八十、ながき夜を 八十一、あかつきの 八十二、とにかくに 八十三、すぎにける 八十四、夕月夜 八十 ...
【隠岐ふたたび…】RE:後鳥羽院を巡るフィールドワーク~後編~
前回のあらすじ コロナ禍を経て念願の隠岐再訪を目指したワタクシ甚之助は、酷暑の中を必死の思いで隠岐・海士町に降り立った。 そして遂に、前回目の当たりにすることのできなかった後鳥羽院「お腰掛けの石」と対面する。 次いで、SNS上では長らく付き合いのある通称・元大賞さんと邂逅し、ふたたび隠岐神社・御在所&火葬塚跡へと足を踏み入れた。そこで目にしたものは「ひと夏の幻」だった……。 目次 ・पुनर्मिलाम ओकि・・・ ・キーポイント美保関 ・それからのこと 出雲国風土記 (講談社 ...
佐渡の入江の順徳院 前編~後鳥羽院をめぐるフィールドワークその2~
Field work on JUNTOKU Tenno[22,Oct,1197~7,Oct,1242(10,Sep,Kenkyu8~12,Sep,Ninji3):84nd emperor(reigning:1210~1221)and Retired Emperor]. He is a scholarship and the martial arts who resembles his father. However, he was condemned to SADO due to the ...
藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿 その2(建仁2年~元久元年)
(甚之助蔵 『明月記研究』明月記研究会編) ・その1 治承4年~建仁元年(第1巻) ・その2 建仁2年~元久元年(第1巻) ・その3 元久2年~建永元年(第1巻) ・その4 承元元年~承元2年(第2巻) ・その5 建暦元年~建暦2年(第2巻) ・その6 建保元年~建保6年(第2巻) ・その7 承久元年~嘉禎元年・その後(第2・3巻) 目次 ●藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿 その2(建仁2年~元久元年) 建仁2年 建仁3年 元久元年 建仁2年 1202年 後 ...
藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿 その7 承久元年~嘉禎元年・その後(第2・3巻)
後鳥羽院像に迫るための資料 (甚之助蔵 『大日本史料』第4輯、東京大学史料編纂所、昭和43年) ・【運命の四の宮】藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿 序奏 ・その1 治承4年~建仁元年(第1巻) ・その2 建仁2年~元久元年(第1巻) ・その3 元久2年~建永元年(第1巻) ・その4 承元元年~承元2年(第2巻) ・その5 建暦元年~建暦2年(第2巻) ・その6 建保元年~建保6年(第2巻) ・その7 承久元年~嘉禎元年・その後(第2・3巻) 目次 ●藤原定家 ...
後鳥羽院『遠島御百首』私見その4~冬 十五首~
・その1~春 二十首~ ・その2~夏 十五首~ ・その3~秋 二十首~ ・その4~冬 十五首~ ・その5~雑 三十首(上)~ ・その6~雑 三十首(下)~ 冬十五首 目次 五十六、見し世にも 五十七、冬くれば 五十八、しもがれの 五十九、かみな月 六十、をのづから 六十一、こぞよりは 六十二、そめのこし 六十三、たつた山 六十四、苔しける 六十五、冬ごもり 六十六、やまかぜの 六十七、さながらや 六十八、けさみれば 六十九、おく山の 七十、かぞふれば ...
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銀座の老舗バー『ルパン』で呑む
日本屈指の繁華街、東京・銀座。 和光の時計台は海外の旅行者からも人気のスポットですが、そこからほど近いところにあるのが老舗バー『ルパン』。 創業は昭和3(1928)年。開店時には当時近くにあった文藝春秋社の面々からの支援があり、以来文壇バーとして知られています。 注:本記事にはお酒にまつわる記述がありますが、飲酒を勧めるものではありません。 また、未成年の飲酒は法律で禁止されています。 成人であっても節度とマナーを守って過度な飲酒は控えましょう。 飲酒運転は絶対やめましょう。 猪 ...
佐渡島をブラっと散歩してきましたレポ~後鳥羽院をめぐるフィールドワークその2 おまけ編~
今回は本当におまけ編w サムネ画像は、佐渡汽船の看板娘・カーフェリー三人娘の(左から)「あかねちゃん」「ときわちゃん」「おけさちゃん」。 それぞれ佐渡汽船のフェリーがモチーフ。ちなみに「おけさちゃん」が長女。「あかねちゃん」が末っ子とのこと。めんこいwww Amazon 10 地球の歩き方JAPAN 島旅 佐渡 ブラタモリ 9 平泉 新潟 佐渡 広島 宮島 さて、【佐渡の入江の順徳院 後編】で『堂所御所跡』へ行ってきた後で、フェリーまでに相当な時間があったので「さてママ、どーし ...
歌人・鳥居さんに会ってきた~三浦綾子記念文学館講演会レポ~
6月13日、北海道旭川市在の三浦綾子記念文学館において、開館20周年を記念した特別講演会が開催された。 ゲストは"セーラー服の歌人"として注目されている歌人・鳥居氏だ。 キリンの子 鳥居歌集 2016年に本家・ネト見の方でも紹介した歌集『キリンの子』は現在までに累計2万部を売り上げている。また、彼女の壮絶な半生もまた注目されている理由のひとつに挙げられていると思うが、今回はそんな前提は一旦置いて、一読者として実際どのような人なのか気になっていたのでその講演会を聴きに行ってきましたというレポー ...
【浪人時代の思い出】アリミツ君とマコちゃんのこと。
受験シーズンも終わりに近づき、高校・大学はじめ、いろんなところで合格発表の知らせを耳にする季節となった。 毎年この時期になると、必ず浪人していた頃のことを思い出す。 私は某大手予備校で一年間浪人生活を送り、その間は予備校付属の寮で生活していた。 花の都・TOKYOに出てきたはずが、そこはなぜか木々の緑豊かで動物の鳴き声響くところだった。 人生初の満員電車。 都心ド真ん中にある予備校校舎へ通う日々。 起きてる時は(当然)勉強漬けだったが、ときどき破目を外して寮の仲間たちと長時間語り合ってい ...
【2021改訂版】ブログの更新サボってうつ病と闘ってきた
さて今から遡ること6,7年前、メインの方で『ブログの更新サボって鬱病と闘ってきた』(現在削除済み)という記事をアップした。 公開当時はまだまだ頭もボンヤリという感じで、実際その後一年半にわたって更新も休止。その間、なんだかんだ寛解した。 寛解後は再びいろんなことにチャレンジしてみたくなったりで、結果目まぐるしい毎日を送るなか、自分がうつ病だったこともそれに関する記事をアップしたことも忘れていた。 しかし先日、メインの方で『【 鬱病 】経験者が語る! うつ病になるとできないこと5選!【 症状 】』と ...
【探訪】上野『大統領』私的呑みかた論w
Amazon 上野アンダーグラウンド ※この記事は飲酒を薦めるものではありません。 未成年の飲酒は法律で禁じられています。 また飲酒運転は絶対にやめましょう。 お酒は程よく気持ちよく! 数年前、「遊んで学ぶお父さん」のUronpoiさんを誘って以来、氏をどっぷりハマらせてしまった感があって若干の責任を感じていたりするのですが、よくよく考えたら自分でレポを書いたことがないなと思い、ホント今更ながらの「大統領」レポ。 レポートと言っても、普段どんな風に大統領で呑んでい ...
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