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2020/8/27

【読書感想】宇野常寛『遅いインターネット』

  遅いインターネット 宇野常寛 出版社:幻冬舎 発売日:2020/02/19  瞬時に世界とつながれる社会の中で"考える"ことの重要性とその過程  科学の時代の幕が開いて数百年。特にここ数十年でもっとも普及したインターネットは、一体わたしたちの生活になにをもたらしたのか?  かつてのインターネットといえば、ダイアルアップ接続の音を聞きながら回線がつながるのをひたすら待ったりしたものだが、今やスマホを開けば、あるいはパソコンを立ち上げればすぐさま世界中のありとあらゆる情報に接することができる。極めて便利に ...

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2020/11/25

【読書感想】日経コンピュータほか『みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史 史上最大のITプロジェクト「3度目の正直」』

  みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史 史上最大のITプロジェクト「3度目の正直」 日経コンピュータ,山端宏実,岡部一詩,中田敦,大和田尚孝,谷島宣之 出版社:日経BP 発売日:2020/02/14    日本のIT業界における歴史的大プロジェクト。そこから見える組織論とシステム論。    1999年、旧第一勧業銀行・旧富士銀行・旧日本興業銀行の三行が経営統合を発表し、2002年の新銀行設立を目指した。  しかしその当初からさまざまなシステムトラブルに見舞われ、2011年の東日本大震災後の大規模なシス ...

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2018/8/17

【読書感想】薄田泣菫 完本『茶話』(上・中・下 冨山房百科文庫)

     名だたる文豪を輩出した明治文壇にあって、浪漫派・象徴派の詩人として名を馳せた泣菫は、大正の幕開けと共に随筆の世界に飛び込んだ。  大阪毎日新聞社に在籍しながらその紙面において、「茶を飲みながら喋る気楽な世間話」をコンセプトに延べ811編のコラムを執筆した。それがこの『茶話』だ。  古今東西、市井の人々から著名人、果ては歴史上の人物に至るまで、さまざまな逸話・風説、奇行・奇癖、失敗談などを「あたかも見てきたよう」に簡潔でユーモアあふれる文章で綴ったこのコラム群は、著者の広範な知識量と的確な人物評、 ...

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2023/3/16

【読書感想】えむゆみカップル『エロ2.0 「月収4000万円」Pornhuberが実践した「欲望を共有する」最速ファンマーケティング』

  エロ2.0 「月収4000万円」Pornhuberが実践した「欲望を共有する」最速ファンマーケティング えむゆみカップル 出版社:飛鳥新社 発売日:2022/11/08  Z世代の新常識  "大人のYoutube"こと「Pornhub」は世界屈指のアクセス数を誇るWebページである。そこに素人カップルが自身の行為動画をアップし収益を上げる、いわゆる「Pornhuber」というジャンルを打ち立てたのが本書の著者であるえむゆみカップルの二人だ。その界隈では知らぬ人はいない先駆者である。  本書タイトルに「 ...

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2022/1/25

【読書感想】ひすいこたろう『あした死ぬかもよ? 人生最後の日に笑って死ねる27の質問 名言セラピー』

  あした死ぬかもよ? 人生最後の日に笑って死ねる27の質問 名言セラピー ひすいこたろう 出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン 発売日:2012/12/26 人生最後の日に笑っていられるように  以前紹介した清水研『もしも一年後、この世にいないとしたら。』とも多少関連する内容の一冊だが、『もしも一年後~』が死に直面した患者と接する医師の視点から書かれているのに対し、本書は晩年を迎え「死」を意識しはじめた人の視点から描かれている。  人生の終盤、多くの人は自らの人生を振り返って「もっと冒険しておけばよ ...

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2021/9/8

【読書感想】石井千湖『文豪たちの友情』

  文豪たちの友情 石井千湖 出版社:新潮社(新潮文庫) 発売日:2021/08/30  面白いけど時には泣ける、文豪たちの交友録  日本近代文学を彩る数々の文豪たち。そんな彼らの交友関係を紹介してくれる本書は、名作として名高い彼らの作品に感じる難さを離れたあまりに人間臭い一面を伝えてくれる。  文豪に関して、そのエピソードやプライベートを語る書籍は今までも数多く出版されてきているが、"交友関係"という側面にフォーカスされたものはそう多くはない。ただ、本書もそう銘打っておきながら実際は個々の作家のエピソー ...

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インド哲学仏教学

2023/6/10

『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その2(Ⅰ・12~19)

   2回目は第1章12~19節をば。  記事一覧はコチラ→『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!(第1章~第2章11節まで)     テキスト   ①tasya saṃjanayanharṣaṃ kuruvṛddhaḥ pitāmahāḥ /  siṃhanādaṃ vinadyoccaiḥ śańkhaṃ dadhmau pratāpavān // 12 // ②tataḥ śankhaśca bheryaśca paṇavānakagomukhāḥ /  sahasaivābhyahanyanta ...

感想・レビュー インド哲学仏教学

2024/1/5

【読書感想】清水俊史『ブッダという男 初期仏典を読みとく』

ブッダという男 ――初期仏典を読みとく (ちくま新書) created by Rinker Kindle Amazon 楽天市場   ブッダという男 初期仏典を読みとく 清水俊文 出版社:筑摩書房(ちくま新書1763) 発売日:2023/12/07 人間・ブッダは何を語っていたのか  ネット上を一時騒然とさせた仏教学界隈のアカハラ問題。その渦中にあった著者による「あとがき」が脚光を浴び、本書は刊行直後からベストセラーとなっている。若干そればかりが注目され独り歩きしている感は否めないが、本書は内容 ...

インド哲学仏教学

2023/6/13

【ゆる解説】『「バガヴァッドギーター」原典訳してみた』補遺

『マハーバーラタ』におけるクルクシェートラの戦いを描いた18世紀の写本(A Tribute to Hinduismより)      目次  ・人名用語解説  ・超要約「バガヴァッドギーター」  ・「ギーター」こぼれ話し  参考文献    ※本編はコチラから!        Amazon  いちばんていねいでいちばん易しいインド哲学 超入門『バガヴァッド・ギーター』       人名用語解説(第1章~第2章11節に限る) ・アシュヴァッターマン:ドローナの長男。カウラヴァ軍の勇士。 ・アナンタヴィジャヤ:ユ ...

インド哲学仏教学

2023/6/10

インド二大叙事詩とヒンドゥー教の聖典について

【改訂記録】 ・2021/02/24 「あらすじ」欄に各巻・章のタイトル追記。   前説  インドの二大叙事詩『マハーバーラタ(Mahābhāratam)』と『ラーマーヤナ(Rāmāyana)』、そしてヒンドゥー教における最高の聖典と称される『バガヴァット・ギーター(Śrīmadbhagavad gītā)』について、その概要をまとめてみました(個人的な復習の意味も含め)。  かなりザックリとしたまとめになっていますが、本記事はちょっと実験したい部分もあって、今後も随時改訂したりしていきたいと思います。 ...

インド哲学仏教学

2023/6/10

『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その4(Ⅰ・31~39)

       4回目は第1章31~39節。  記事一覧はコチラ→『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!(第1章~第2章11節まで)       テキスト   ①nimittāni ca paśyāmi viparītāni keśava /  na ca śreyo'nupaśyāmi hatvā svajanamāhave // 31 // ②na kāṅkṣe vijayaṃ kṛṣṇa na ca rājyaṃ sukhāni ca /  kiṃ no rājyena govinda kiṃ bh ...

インド哲学仏教学

2020/5/21

『般若心経』をサンスクリット原典で読む!

 多分日本で一番有名な仏教経典である『般若心経』は、正式には『般若波羅蜜多心経』と呼ばれ、今から1600年以前、サンスクリット語で書かれた『Prajñāpāramitā-hṛdaya-sūtram』を漢訳したものだ。  そもそも『般若心経』は、仏になるために菩薩が行う修行・知恵(般若波羅蜜・般若波羅蜜多)を説く『般若経』という経典群の中のひとつで、大乗仏教の根本思想である"空"の思想を簡潔にまとめている。そのため、漢訳されたものもその短い文言の中で大乗仏教の根幹が説かれているとされ、多くの宗派で今なお用い ...

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後鳥羽院project

2024/1/8

【隠岐ふたたび…】RE:後鳥羽院を巡るフィールドワーク~前編~

      目次 ・プロローグからの隠岐へ ・「お腰掛けの石」のこと ・隠岐の夜 ・後鳥羽院の気配 ・夕すゞみ あしの葉みだれ よる浪に        Amazon  菊帝悲歌: 小説後鳥羽院 (河出文庫)       プロローグからの隠岐へ ママ「あのね8月の隠岐の件だけど、あれ、わたしキャンセル……」    それは歳の離れたお友達、後鳥羽院単推しの例のママからの唐突な電話だった。  ママとは前年(2022)中に隠岐再訪を計画していたものの、私の身辺でのゴタゴタ続きなどで結局行けずに終わった。それゆえ今 ...

後鳥羽院project

2021/12/7

藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿 その4(承元元年~承元2年)

     後鳥羽院の姿を記録する主な公家日記2  (甚之助蔵 藤原家実『猪隈関白記』岩波書店、昭和62年第2刷)   ・【運命の四の宮】藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿 序奏   ・その1 治承4年~建仁元年(第1巻)   ・その2 建仁2年~元久元年(第1巻)   ・その3 元久2年~建永元年(第1巻)   ・その4 承元元年~承元2年(第2巻)   ・その5 建暦元年~建暦2年(第2巻)   ・その6 建保元年~建保6年(第2巻)   ・その7 承久元年~嘉禎元年・その後(第2・3巻) 目次 ●藤 ...

後鳥羽院project

2021/12/8

藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿 その5(建暦元年~建暦2年)

     後鳥羽院の姿を記録する主な公家日記3  (甚之助蔵 『源家長日記』風間書房、昭和60年。『続史料大成21 伯家五代記』臨川書店、昭和42年。藤原長兼『増補史料大成31 三長記』臨川書房、昭和40年。藤原経房『史料大成22・23 吉記』内外書籍、昭和10年)   ・【運命の四の宮】藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿 序奏   ・その1 治承4年~建仁元年(第1巻)   ・その2 建仁2年~元久元年(第1巻)   ・その3 元久2年~建永元年(第1巻)   ・その4 承元元年~承元2年(第2巻) ...

後鳥羽院project

2022/12/22

後鳥羽院『遠島御百首』私見その2~夏 十五首~

      ・その1~春 二十首~ ・その2~夏 十五首~ ・その3~秋 二十首~ ・その4~冬 十五首~ ・その5~雑 三十首(上)~ ・その6~雑 三十首(下)~       夏十五首 目次  二十一、けふとてや  二十二、ふるさとを  二十三、たをやめの  二十四、暮かゝる  二十五、あやめふく  二十六、いまはとて  二十七、五月雨に  二十八、さみだれに  二十九、難波江や  三十、あはれにも  三十一、ゆふだちの  三十二、夕すゞみ  三十三、したくゆる  三十四、くれたけの  三十五、見るか ...

レポート 後鳥羽院project

2022/2/24

【とはずがたり】「『明月記』の後鳥羽院」よもやま話

       調査・研究に用いているノート。    「藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿」調査中の机の上w   目次  ・きっかけ  ・隠岐、集中豪雨  ・愛憎半ば、悲喜交々 その1  ・愛憎半ば、悲喜交々 その2  ・ママ、クルマにはねられる  ・『吉記』のこと  ・青天の霹靂  ・ママ、怒る!  ・老いたる定家と後鳥羽院  ・拝啓、藤原定家さま    Amazon  夢のなかぞら―父 藤原定家と後鳥羽院   ・きっかけ   「まあ、またなんとも面白そうなことを……」        2021年春、私は ...

後鳥羽院project

2023/1/30

後鳥羽院『遠島御百首』私見その6~雑 三十首(下)~

(綱掛の松 隠岐・海士町 2018年08月甚之助撮影)     ・その1~春 二十首~ ・その2~夏 十五首~ ・その3~秋 二十首~ ・その4~冬 十五首~ ・その5~雑 三十首(上)~ ・その6~雑 三十首(下)~       雑三十首(下) 目次  八十六、日にそひて  八十七、何となく  八十八、人ごゝろ  八十九、みほのうらの  九十、たとふべき  九十一、はれやらぬ  九十二、うしとだに  九十三、ことづてむ  九十四、とにかくに  九十五、ふるさとの  九十六、おもふ人  九十七、われこそは ...

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レポート

2025/1/3

湖に沈む「幻の橋」タウシュベツ川橋梁を行く!

     ※本記事の内容は2024年08月時点のものです。  北海道上士幌町。  大雪山東南麓に位置するこの街には、「幻の橋」と呼ばれる橋がある。正式名称・タウシュベツ川橋梁は、知る人ぞ知る北海道屈指の秘境だ(「旧国鉄士幌線コンクリートアーチ橋梁群」として北海道遺産や近代化産業遺産に認定されている。なお)。  これは2024年08月にタウシュベツ川橋梁を訪れた時のレポートです(なお見学方法はこちらから)。   300ピース ジグソーパズル KAGAYA 幻の銀河橋(北海道)-天の川とタウシュベツ川橋梁- ...

レポート

2018/8/11

歌人・鳥居さんに会ってきた~三浦綾子記念文学館講演会レポ~

   6月13日、北海道旭川市在の三浦綾子記念文学館において、開館20周年を記念した特別講演会が開催された。  ゲストは"セーラー服の歌人"として注目されている歌人・鳥居氏だ。   キリンの子 鳥居歌集  2016年に本家・ネト見の方でも紹介した歌集『キリンの子』は現在までに累計2万部を売り上げている。また、彼女の壮絶な半生もまた注目されている理由のひとつに挙げられていると思うが、今回はそんな前提は一旦置いて、一読者として実際どのような人なのか気になっていたのでその講演会を聴きに行ってきましたというレポー ...

レポート

2019/2/6

【溢れ出る昭和感】新宿の老舗食堂・長野屋で定食を食べる。

 さて昨年末に上京していた折、久々に行ってみたのでサクッとレポートです。都内住のころ新宿界隈で用事があるとき、食事時なり小腹が空いたときなどにちょいちょい食べにきていたお店。   あのころangle 街と地図の大特集1979新宿・池袋・吉祥寺・中央線沿線編 Kindle版 風景は記憶の順にできていく      新宿駅東南口を出てすぐ。様々な飲食店がひしめく新宿の街のなかでひときわ異彩を放っているのがここ「長野屋」。        この建物に見覚えのある方も多いはず。  こちらの長野屋さんはその外観からもわ ...

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2019/10/20

佐渡島をブラっと散歩してきましたレポ~後鳥羽院をめぐるフィールドワークその2 おまけ編~

 今回は本当におまけ編w  サムネ画像は、佐渡汽船の看板娘・カーフェリー三人娘の(左から)「あかねちゃん」「ときわちゃん」「おけさちゃん」。    それぞれ佐渡汽船のフェリーがモチーフ。ちなみに「おけさちゃん」が長女。「あかねちゃん」が末っ子とのこと。めんこいwww    Amazon  10 地球の歩き方JAPAN 島旅 佐渡 ブラタモリ 9 平泉 新潟 佐渡 広島 宮島      さて、【佐渡の入江の順徳院 後編】で『堂所御所跡』へ行ってきた後で、フェリーまでに相当な時間があったので「さてママ、どーし ...

レポート

2019/7/30

【探訪】上野『大統領』私的呑みかた論w

     Amazon  上野アンダーグラウンド     ※この記事は飲酒を薦めるものではありません。  未成年の飲酒は法律で禁じられています。  また飲酒運転は絶対にやめましょう。  お酒は程よく気持ちよく!        数年前、「遊んで学ぶお父さん」のUronpoiさんを誘って以来、氏をどっぷりハマらせてしまった感があって若干の責任を感じていたりするのですが、よくよく考えたら自分でレポを書いたことがないなと思い、ホント今更ながらの「大統領」レポ。  レポートと言っても、普段どんな風に大統領で呑んでい ...

レポート

2022/8/20

小型ジンバルカメラ『DJI Pocket2』導入してみた!

 ここでは正式に報告していませんでしたが、Youtube始めてました(笑)  cf,ゆーちゅーぶはじめました。 - jinnosuke-labo on Youtube  そこで今回撮影用機材として、VLOG等に特化したジンバルカメラ『DJI Pocket2』を購入したのでそのレビューなんかをササっと書いてみたいと思います。    このDJI Pocket2は、手軽に使えるポケットジンバルとして話題になった『DJI Osmo Pocket』の後継機になります。    Amazon  【国内正規品】 DJI ...

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