【読書感想】清水研『もしも一年後、この世にいないとしたら。』
もしも一年後、この世にいないとしたら。 清水研 出版社:文響社 発売日:2019/10/11 人は必ず死ぬ。その時までできること。 ガンに罹患し精神的に追いつめられた患者らへ、自分らしく前向きに生きることを目指す精神治療を行うレジリエンス。本書の著者は、2016年国内初のレジリエンス専門外来をつくった医師である。 ガンの進行や治療に関わる身体的苦痛の大きさは広く世間的にも知られているが、精神的負担の大きさはそこまで認知されていないだろう。実際、がん患者の自殺率は一般人口のおよそ25倍にもなるとい ...
【読書&音楽感想】『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら』
阿部 謹也 訳 出版社:岩波書店(岩波文庫 赤455-1) 発売日:1990/05/16 中世ドイツの奇人による糞尿譚。下品極まりない逸話の中に垣間見える中世ヨーロッパの賤民世界と、上流階級への痛切なるアイロニー。 日本ではあまり馴染みのない名前かもしれないが、ヨーロッパ、特にドイツ周辺国では幼少時から絵本などを通じ、文字通り子供から大人まで知っているティル・オイレンシュピーゲル。日本の"吉四六"などと比されたりするが、ティル自身はかなり強烈ないたずら好き、スカトロ趣向の持ち主なので ...
【読書感想】齊藤彩『母という呪縛 娘という牢獄』
母という呪縛 娘という牢獄 齊藤彩 出版社:講談社 発売日:2022/12/16 家庭という名のブラックボックス 2018年1月に起こった滋賀医科大学生母親殺害事件。当時看護学生だった娘が母親を殺害し遺体を河川敷へ遺棄したこの事件は、「教育虐待」という言葉を世間に広めた。加害者である娘は医学部9浪という経歴をもつ。幼少期より母から医師になることを切望され厳しく教育された。だがその結果は不合格の連続で、母親からは罵倒や体罰を受ける日々が続くようになる。犯行後、SNSに投稿した「モンスターを倒した。これ ...
【読書感想】浅見帆帆子『あなたは絶対!運がいい』
あなたは絶対!運がいい 浅見 帆帆子 出版社:廣済堂出版 発売日:2007/01/01 負の感情をリセットし、ステキな未来をつくるには? Youtube講演家・鴨頭嘉人氏が、落ち込んだときには必ず読む本として話題になった本書。 タイトル通り、ポジティブのオンパレードのような内容だ。 日常でできるプラス思考を"自分の心を喜ばせる"こととして捉え、さまざまな方法論が示されている。 それはなにか特別なことをするのではなく日常に小さな変化をつけること、ネガティブなものからポジティブなものへと変わ ...
【読書感想】ドミニック・ボービー『潜水服は蝶の夢を見る』
潜水服は蝶の夢を見る ジャン=ドミニック・ボービー 著 / 河野 万里子 訳 出版社:講談社 発売日:1998/03/05 心だけになった人間が見つめた世界 本書は大反響を呼んだ世界的ベストセラー。映画化もされているのでタイトルだけでも聞いたことがある人も多いだろう。 世界的ファッション雑誌『ELLE』の元編集長である著者は、脳幹出血という大病の末、ロックドイン・シンドローム(閉じ込め症候群)に陥る。これは俗にいう「植物状態」と異なり、四肢が麻痺しているものの意識が覚醒している状態、つまり、自己 ...
【読書感想】田邊園子『伝説の編集者 坂本一亀とその時代』
伝説の編集者 坂本一亀とその時代 田邊園子 出版社:河出書房新社(河出文庫) 発売日:2018/04/23 古き良き熱い時代 坂本一亀、ほかでもない音楽家・坂本龍一氏の父親である。龍一氏は一亀氏が亡くなる前後より、インタヴューなどことあるごとに父親のことを語っていた。「とにかく怖い人だった」「子ども頃、まともに顔を見て話した記憶がない」……。子息の活躍ぶりをみればその父親も只者ではないと自然に察せられるが、しかしなぜ「伝説」とまで呼ばれる編集者だったのか? それは一亀氏の編集者人生を顧みると明らか ...
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『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その6(Ⅱ・1~11)
6回目は第2章1~11節 記事一覧はコチラ→『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!(第1章~第2章11節まで) テキスト ①sañjaya uvāca / taṃ tathā kṛpayāviṣṭam aśrupūrṇākulekṣaṇam / viṣīdantam idaṃ vākyam uvāca madhusūdanaḥ // 1 // ②śrībhagavān uvāca / kutastvā kaśmalam idaṃ viṣame samupasthit ...
【ヒンドゥー教の聖典】『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!~前説~
目次 まえがきと若干の解説 『バガヴァッドギーター』テキスト 参考文献 【本編】 ・『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その1(Ⅰ・1~11) ・『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その2(Ⅰ・12~19) ・『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その3(Ⅰ・20~30) ・『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その4(Ⅰ・31~39) ・『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その5(Ⅰ・40~47) ・『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!そ ...
インド二大叙事詩とヒンドゥー教の聖典について
【改訂記録】 ・2021/02/24 「あらすじ」欄に各巻・章のタイトル追記。 前説 インドの二大叙事詩『マハーバーラタ(Mahābhāratam)』と『ラーマーヤナ(Rāmāyana)』、そしてヒンドゥー教における最高の聖典と称される『バガヴァット・ギーター(Śrīmadbhagavad gītā)』について、その概要をまとめてみました(個人的な復習の意味も含め)。 かなりザックリとしたまとめになっていますが、本記事はちょっと実験したい部分もあって、今後も随時改訂したりしていきたいと思います。 ...
【読書感想】清水俊史『ブッダという男 初期仏典を読みとく』
ブッダという男 ――初期仏典を読みとく (ちくま新書) created by Rinker Kindle Amazon 楽天市場 ブッダという男 初期仏典を読みとく 清水俊文 出版社:筑摩書房(ちくま新書1763) 発売日:2023/12/07 人間・ブッダは何を語っていたのか ネット上を一時騒然とさせた仏教学界隈のアカハラ問題。その渦中にあった著者による「あとがき」が脚光を浴び、本書は刊行直後からベストセラーとなっている。若干そればかりが注目され独り歩きしている感は否めないが、本書は内容 ...
『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その3(Ⅰ・20~30)
3回目は第1章20~30節。 記事一覧はコチラ→『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!(第1章~第2章11節まで) テキスト ①atha vyavasthitāndṛṣṭvā dhārtarāṣṭrānkapidhvajaḥ / pravṛtte śastrasaṃpāte dhanurudyamya pāṇḍavaḥ // 20 // hṛṣīkeśaṃ tadā vākyamidamāha mahipate / senayorubhayormadhye rath ...
【読書感想】ヴィヤーサ著・石原美里訳『邦訳マハーバーラタ 寡妃の巻』
邦訳マハーバーラタ 寡妃の巻 created by Rinker Amazon 楽天市場 邦訳マハーバーラタ 寡妃の巻 ヴィヤーサ 著 / 石原美里 訳 出版社:パブファンセルフ 発売日:2024/01/29 愛する者を失った悲しみと屈辱 インドの二大叙事詩『マハーバーラタ』と『ラーマーヤナ』。そのうち『マハーバーラタ』(以下MBh)の第11巻「Strī-Parvan」の日本語訳注本。 MBhの日本語完訳は未だなされていない。故上村勝彦博士による翻訳は、急逝のため第8巻途中までにとどま ...
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【ご冗談でしょ定家さん!?】『明月記』講読その1~治承四五年記①(治承四年二月~五月)~
以前公開した『藤原定家「明月記」にみる後鳥羽院の姿』シリーズをやっていた頃から、いつかは『明月記』自体の講読もやりたいと考えていた。 ただ、当の『明月記』が難解極まりないことと、明月記研究会はじめ堀田善衛御大などさまざまな研究者や愛読者がすでに多くの著作や論文を出している。またネット記事なんかでもあちらこちらで書かれていることもあって、「今さら自分がブログ上でやってもなぁ・・・」と二の足を踏んでいた。 とはいえ相変わらずの性と言おうか、思いついたんだからやってみようかしらと、最近になって ...
佐渡の入江の順徳院 前編~後鳥羽院をめぐるフィールドワークその2~
Field work on JUNTOKU Tenno[22,Oct,1197~7,Oct,1242(10,Sep,Kenkyu8~12,Sep,Ninji3):84nd emperor(reigning:1210~1221)and Retired Emperor]. He is a scholarship and the martial arts who resembles his father. However, he was condemned to SADO due to the ...
後鳥羽院『遠島御百首』私見その3~秋 ニ十首~
・その1~春 二十首~ ・その2~夏 十五首~ ・その3~秋 二十首~ ・その4~冬 十五首~ ・その5~雑 三十首(上)~ ・その6~雑 三十首(下)~ 秋ニ十首 目次 三十六、かたしきの 三十七、よのつねの 三十八、秋されば 三十九、おもひやれ 四十、咲かゝる 四十一、ふるさとを 四十二、いかにせむ 四十三、なきまさる 四十四、いたづらに 四十五、おもひやれ 四十六、ふるさとの 四十七、野をそむる 四十八、あはれなる 四十九、はれよかし 五十、岡の ...
藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿 その5(建暦元年~建暦2年)
後鳥羽院の姿を記録する主な公家日記3 (甚之助蔵 『源家長日記』風間書房、昭和60年。『続史料大成21 伯家五代記』臨川書店、昭和42年。藤原長兼『増補史料大成31 三長記』臨川書房、昭和40年。藤原経房『史料大成22・23 吉記』内外書籍、昭和10年) ・【運命の四の宮】藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿 序奏 ・その1 治承4年~建仁元年(第1巻) ・その2 建仁2年~元久元年(第1巻) ・その3 元久2年~建永元年(第1巻) ・その4 承元元年~承元2年(第2巻) ...
後鳥羽院『遠島御百首』私見その1~春 ニ十首~
・その1~春 二十首~ ・その2~夏 十五首~ ・その3~秋 二十首~ ・その4~冬 十五首~ ・その5~雑 三十首(上)~ ・その6~雑 三十首(下)~ はじめに・・・ 私を後鳥羽院がらみの研究(?)に誘った例のママは、最近は以前にもまして悠々自適の生活をしているらしい。なんでも「野垂れ死にが理想の死に方」なのだそうで、いまだ某ウイルスの話題に事欠かない昨今ながら、全国各地を転々と飛び回っているらしい。 そんなママから最初に後鳥羽院の話しをもらった時、見せられたノートがあった ...
【隠岐ふたたび…】RE:後鳥羽院を巡るフィールドワーク~前編~
目次 ・プロローグからの隠岐へ ・「お腰掛けの石」のこと ・隠岐の夜 ・後鳥羽院の気配 ・夕すゞみ あしの葉みだれ よる浪に Amazon 菊帝悲歌: 小説後鳥羽院 (河出文庫) プロローグからの隠岐へ ママ「あのね8月の隠岐の件だけど、あれ、わたしキャンセル……」 それは歳の離れたお友達、後鳥羽院単推しの例のママからの唐突な電話だった。 ママとは前年(2022)中に隠岐再訪を計画していたものの、私の身辺でのゴタゴタ続きなどで結局行けずに終わった。それゆえ今 ...
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【2021改訂版】ブログの更新サボってうつ病と闘ってきた
さて今から遡ること6,7年前、メインの方で『ブログの更新サボって鬱病と闘ってきた』(現在削除済み)という記事をアップした。 公開当時はまだまだ頭もボンヤリという感じで、実際その後一年半にわたって更新も休止。その間、なんだかんだ寛解した。 寛解後は再びいろんなことにチャレンジしてみたくなったりで、結果目まぐるしい毎日を送るなか、自分がうつ病だったこともそれに関する記事をアップしたことも忘れていた。 しかし先日、メインの方で『【 鬱病 】経験者が語る! うつ病になるとできないこと5選!【 症状 】』と ...
【溢れ出る昭和感】新宿の老舗食堂・長野屋で定食を食べる。
さて昨年末に上京していた折、久々に行ってみたのでサクッとレポートです。都内住のころ新宿界隈で用事があるとき、食事時なり小腹が空いたときなどにちょいちょい食べにきていたお店。 あのころangle 街と地図の大特集1979新宿・池袋・吉祥寺・中央線沿線編 Kindle版 風景は記憶の順にできていく 新宿駅東南口を出てすぐ。様々な飲食店がひしめく新宿の街のなかでひときわ異彩を放っているのがここ「長野屋」。 この建物に見覚えのある方も多いはず。 こちらの長野屋さんはその外観からもわ ...
【23区唯一の渓谷】等々力からめぐる東京古墳散歩♪
Amazon 私のオアシス 等々力渓谷 ※今年(2023年)03月にした散歩です。 例のウイルスも収まりをみせ、所用をかねて上京した折、長い付き合いの知人家族から「朝食でも食べにおいでよ~」とお誘いを受けたので、散歩がてら東京・世田谷区から大田区にかけての多摩川沿いを歩きました。 件の知人宅は東急東横線の多摩川駅が最寄りなのですが、今回は大井町線等々力駅からの出発。 早朝だから人通りもまばら。そういえばこの駅前も再開発云々でいろいろ変わってたな。 ...
【文豪ご用達w】老舗旅館『鳳明館』に泊まってきたときの話し【文京区本郷】
※2019年年末に宿泊しました。 Amazon 「谷根千」地図で時間旅行 コロナウイルスの問題で自粛の風吹き荒れる昨今ですが、今年三月、東京文京区にある老舗旅館・鳳明館からこのようなプランが発表されてのをご記憶されているでしょうか? ●「先生、進んでますか?」進捗コールも完備。旅館「鳳明館」にて、大正・昭和の人気作家になった気分を味わえる「文豪缶詰プラン」 (かーずSP 2020年3月9日) 現在はテレワークにも対応したデイユースプラン「3密・心配ご無用 ...
湖に沈む「幻の橋」タウシュベツ川橋梁を行く!
※本記事の内容は2024年08月時点のものです。 北海道上士幌町。 大雪山東南麓に位置するこの街には、「幻の橋」と呼ばれる橋がある。正式名称・タウシュベツ川橋梁は、知る人ぞ知る北海道屈指の秘境だ(「旧国鉄士幌線コンクリートアーチ橋梁群」として北海道遺産や近代化産業遺産に認定されている。なお)。 これは2024年08月にタウシュベツ川橋梁を訪れた時のレポートです(なお見学方法はこちらから)。 300ピース ジグソーパズル KAGAYA 幻の銀河橋(北海道)-天の川とタウシュベツ川橋梁- ...
北区赤羽の住宅街をプラっと散歩してきましたレポ
昨年夏に上京した折、ちょっと時間が空いたので赤羽で途中下車して住宅街を散歩してきたレポートです。 赤羽といえば最近では住んでみたい街として人気もうなぎ上りのようですが、細い路地に"せんべろ"飲み屋街と、知る人ぞ知る隠れたディープスポット密集地帯だったりする。また昨年暮れ、タレントの壇蜜さんと漫画家・清野とおるさんのご結婚が報じられた際、清野さんの地元ということでもその名が更に広まったりしたのは記憶に新しいところ。 駅付近のふざけた七福神像やホテル屋上の自由の女神像なんか特に有名ですが、今回は赤羽駅 ...
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