【読書感想】岡田利規『掃除機』
掃除機 created by Rinker 白水社 Amazon 楽天市場 掃除機 岡田利規 出版社:白水社 発売日:2023/03/16 日本語、その可能性とは? 正直なところ、自分は本書をどう批評するかの言葉を持っていない。 そもそも戯曲である以上、そこで扱われる言葉は舞台上で評価されるべきだと思うし、その舞台の礎としての台本であるにせよ読み物として本書を扱うべきなのか否か、迷うところである。それ以前に、本書に収録されている作品は日本語で書かれたものでありながら、初演はすべて海外でその ...
【読書感想】笹井宏之『えーえんとくちから』
えーえんとくちから 笹井宏之 出版社:筑摩書房(ちくま文庫) 発売日:2019/01/10 えーえんとくちから (ちくま文庫) Kindle版 なにげない日常を問いただす言葉たち 最近すっかりご無沙汰加減となっている例の後鳥羽院がらみだが、それでもいろいろちまちま進めている。そして去年くらいからは、和歌以外にも以前読んだ短歌集なんかを再び紐解くようになった。そんな折に再読した一冊。 難病を患い長い間ほぼ寝たきりだった歌人・笹井宏之。地方紙やインターネットの短歌サイトでその作品が注目されるよ ...
【読書感想】セルバンデス『ドン・キホーテ』(岩波文庫)
セルバンテス『ドン・キホーテ』全6冊 (岩波文庫) 「人類史上最高の文学作品は?」と問われれば、私はこの作品を挙げる。 言わずと知れた名作中の名作。文学作品としてだけではなく、絵本や芝居など、およそ芸術作品と呼ばれる様々なジャンルで取り上げ続けられてきた作品だ。 とはいえ、正直なところ読んだ感想としては「ダルい……」の一言しかない。 この作品の翻訳など多数出てはいるが、果たしてそれらを読み通したという人はどのくらいいるだろうか? というのもこの作品自体そもそも長い。長いだけならまだしも、まず ...
【読書感想】石井千湖『積ん読の本』
積ん読の本 created by Rinker Kindle Amazon 楽天市場 積ん読の本 石井千湖 出版社:主婦と生活社 発売日:2024/10/01 「積読」という名の読書の形 読書家にとっての最大の悩み、積読。本書の帯には「この山を見よ」の文字。ああ、まさしく読書家にとって積読とは山そのものであり、前人未到ならぬ本人未読の名峰である。 12名の著名人の書斎を取材しその読書体験と積読の山を開陳した本書は、読書家の読書家たる所以を解き明かしてくれる。そこには罪悪感など微塵もない、積 ...
【読書感想】高水裕一『時間は逆戻りするのか 宇宙から量子まで、可能性のすべて』
時間は逆戻りするのか 宇宙から量子まで、可能性のすべて 高水裕一 出版社:講談社(ブルーバックス) 発売日:2020/07/16 ミクロとマクロの量子論が織り成す"時間"にまつわる不思議な話し 今年9月に公開になった映画『TENET』は時間が逆戻りする世界を描いたSF映画だが、もし本当に時間が逆戻りするとしたらどうだろうか? あるいは時間が一方通行なのはなぜなのか? そもそも時間とはなんなのか? そんな興味の尽きることのない"時間"にまつわる最新研究を、「時間が逆戻りしたらこんなに面白いことが起 ...
【読書感想】谷口義明『小さなことにあくせくしなくなる天文学講座 生き方が変わる壮大な宇宙の話』
小さなことにあくせくしなくなる天文学講座 生き方が変わる壮大な宇宙の話 谷口義明 出版社:PHP研究所 発売日:2021/03/20 大きな宇宙と小さなわたし 本書はコロナ禍真っ最中に出版された。「三密」や「ディスタンス」などという言葉がもてはやされたころ、そうした感覚を天文学に置き換えて、宇宙の全体像にまつわる小難しいあれこれを著者一流のユーモアに満ちた文体でやさしくかみ砕いて紹介している。 話しの中心は銀河に関するものだが、我々の住む太陽系のある「天の川銀河」ひとつとってもそのスケールは想 ...
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【ヒンドゥー教の聖典】『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!~前説~
目次 まえがきと若干の解説 『バガヴァッドギーター』テキスト 参考文献 【本編】 ・『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その1(Ⅰ・1~11) ・『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その2(Ⅰ・12~19) ・『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その3(Ⅰ・20~30) ・『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その4(Ⅰ・31~39) ・『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その5(Ⅰ・40~47) ・『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!そ ...
『バガヴァッドギータ―』原典訳してみた!その1(Ⅰ・1~11)
さて『バガヴァッドギータ―』原典訳してみた!の一回目は第1章1~11節までです。 今回扱うテキストについては前説編を参照のこと。 テキスト ①dhṛtarāṣṭra uvāca / dharmakṣetre kurukṣetre samavetā yuyutsavaḥ / māmakāḥ pāṇḍavāścaiva kimakurvata saṃjaya // 1 // ②saṃjaya uvāca / dṛṣṭvā tu pāṇḍavānīkam vyūḍhaṃ duryodhanasta ...
【読書感想】清水俊史『ブッダという男 初期仏典を読みとく』
ブッダという男 ――初期仏典を読みとく (ちくま新書) created by Rinker Kindle Amazon 楽天市場 ブッダという男 初期仏典を読みとく 清水俊文 出版社:筑摩書房(ちくま新書1763) 発売日:2023/12/07 人間・ブッダは何を語っていたのか ネット上を一時騒然とさせた仏教学界隈のアカハラ問題。その渦中にあった著者による「あとがき」が脚光を浴び、本書は刊行直後からベストセラーとなっている。若干そればかりが注目され独り歩きしている感は否めないが、本書は内容 ...
インド二大叙事詩とヒンドゥー教の聖典について
【改訂記録】 ・2021/02/24 「あらすじ」欄に各巻・章のタイトル追記。 前説 インドの二大叙事詩『マハーバーラタ(Mahābhāratam)』と『ラーマーヤナ(Rāmāyana)』、そしてヒンドゥー教における最高の聖典と称される『バガヴァット・ギーター(Śrīmadbhagavad gītā)』について、その概要をまとめてみました(個人的な復習の意味も含め)。 かなりザックリとしたまとめになっていますが、本記事はちょっと実験したい部分もあって、今後も随時改訂したりしていきたいと思います。 ...
『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その5(Ⅰ・40~47)
5回目は第1章40~47節 記事一覧はコチラ→『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!(第1章~第2章11節まで) テキスト ①kulakṣaye praṇaśyanti kuladharmāḥ sanātanāḥ / dharme naṣṭe kulaṃ kṛtsnamadharmo'bhibhavatyuta // 40 // ②adharmābhibhavātkṛṣṇa praduṣyanti kulastriyaḥ / strīṣu duṣṭāsu vārṣṇe ...
『般若心経』をサンスクリット原典で読む!
多分日本で一番有名な仏教経典である『般若心経』は、正式には『般若波羅蜜多心経』と呼ばれ、今から1600年以前、サンスクリット語で書かれた『Prajñāpāramitā-hṛdaya-sūtram』を漢訳したものだ。 そもそも『般若心経』は、仏になるために菩薩が行う修行・知恵(般若波羅蜜・般若波羅蜜多)を説く『般若経』という経典群の中のひとつで、大乗仏教の根本思想である"空"の思想を簡潔にまとめている。そのため、漢訳されたものもその短い文言の中で大乗仏教の根幹が説かれているとされ、多くの宗派で今なお用い ...
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藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿 その5(建暦元年~建暦2年)
後鳥羽院の姿を記録する主な公家日記3 (甚之助蔵 『源家長日記』風間書房、昭和60年。『続史料大成21 伯家五代記』臨川書店、昭和42年。藤原長兼『増補史料大成31 三長記』臨川書房、昭和40年。藤原経房『史料大成22・23 吉記』内外書籍、昭和10年) ・【運命の四の宮】藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿 序奏 ・その1 治承4年~建仁元年(第1巻) ・その2 建仁2年~元久元年(第1巻) ・その3 元久2年~建永元年(第1巻) ・その4 承元元年~承元2年(第2巻) ...
【とはずがたり】「『明月記』の後鳥羽院」よもやま話
調査・研究に用いているノート。 「藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿」調査中の机の上w 目次 ・きっかけ ・隠岐、集中豪雨 ・愛憎半ば、悲喜交々 その1 ・愛憎半ば、悲喜交々 その2 ・ママ、クルマにはねられる ・『吉記』のこと ・青天の霹靂 ・ママ、怒る! ・老いたる定家と後鳥羽院 ・拝啓、藤原定家さま Amazon 夢のなかぞら―父 藤原定家と後鳥羽院 ・きっかけ 「まあ、またなんとも面白そうなことを……」 2021年春、私は ...
後鳥羽院『遠島御百首』私見その1~春 ニ十首~
・その1~春 二十首~ ・その2~夏 十五首~ ・その3~秋 二十首~ ・その4~冬 十五首~ ・その5~雑 三十首(上)~ ・その6~雑 三十首(下)~ はじめに・・・ 私を後鳥羽院がらみの研究(?)に誘った例のママは、最近は以前にもまして悠々自適の生活をしているらしい。なんでも「野垂れ死にが理想の死に方」なのだそうで、いまだ某ウイルスの話題に事欠かない昨今ながら、全国各地を転々と飛び回っているらしい。 そんなママから最初に後鳥羽院の話しをもらった時、見せられたノートがあった ...
【運命の四の宮】藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿 序奏
本稿は、後鳥羽院生前の出来事のうち、院のその後の人生に影響を与えたであろう事柄を、公卿日記をはじめとした史料より抽出したものである。 注意事項として、記事内の各天皇および院の呼称は省略している。また本稿タイトルの「運命の四の宮」は、目崎徳衛『史伝後鳥羽院』の一節による。 ・その1 治承4年~建仁元年(第1巻) ・その2 建仁2年~元久元年(第1巻) ・その3 元久2年~建永元年(第1巻) ・その4 承元元年~承元2年(第2巻) ・その5 建暦元年~建暦2年(第2巻) ・その6 ...
後鳥羽院『遠島御百首』私見その2~夏 十五首~
・その1~春 二十首~ ・その2~夏 十五首~ ・その3~秋 二十首~ ・その4~冬 十五首~ ・その5~雑 三十首(上)~ ・その6~雑 三十首(下)~ 夏十五首 目次 二十一、けふとてや 二十二、ふるさとを 二十三、たをやめの 二十四、暮かゝる 二十五、あやめふく 二十六、いまはとて 二十七、五月雨に 二十八、さみだれに 二十九、難波江や 三十、あはれにも 三十一、ゆふだちの 三十二、夕すゞみ 三十三、したくゆる 三十四、くれたけの 三十五、見るか ...
後鳥羽院『遠島御百首』私見その6~雑 三十首(下)~
(綱掛の松 隠岐・海士町 2018年08月甚之助撮影) ・その1~春 二十首~ ・その2~夏 十五首~ ・その3~秋 二十首~ ・その4~冬 十五首~ ・その5~雑 三十首(上)~ ・その6~雑 三十首(下)~ 雑三十首(下) 目次 八十六、日にそひて 八十七、何となく 八十八、人ごゝろ 八十九、みほのうらの 九十、たとふべき 九十一、はれやらぬ 九十二、うしとだに 九十三、ことづてむ 九十四、とにかくに 九十五、ふるさとの 九十六、おもふ人 九十七、われこそは ...
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小型ジンバルカメラ『DJI Pocket2』導入してみた!
ここでは正式に報告していませんでしたが、Youtube始めてました(笑) cf,ゆーちゅーぶはじめました。 - jinnosuke-labo on Youtube そこで今回撮影用機材として、VLOG等に特化したジンバルカメラ『DJI Pocket2』を購入したのでそのレビューなんかをササっと書いてみたいと思います。 このDJI Pocket2は、手軽に使えるポケットジンバルとして話題になった『DJI Osmo Pocket』の後継機になります。 Amazon 【国内正規品】 DJI ...
湖に沈む「幻の橋」タウシュベツ川橋梁を行く!
※本記事の内容は2024年08月時点のものです。 北海道上士幌町。 大雪山東南麓に位置するこの街には、「幻の橋」と呼ばれる橋がある。正式名称・タウシュベツ川橋梁は、知る人ぞ知る北海道屈指の秘境だ(「旧国鉄士幌線コンクリートアーチ橋梁群」として北海道遺産や近代化産業遺産に認定されている。なお)。 これは2024年08月にタウシュベツ川橋梁を訪れた時のレポートです(なお見学方法はこちらから)。 300ピース ジグソーパズル KAGAYA 幻の銀河橋(北海道)-天の川とタウシュベツ川橋梁- ...
【溢れ出る昭和感】新宿の老舗食堂・長野屋で定食を食べる。
さて昨年末に上京していた折、久々に行ってみたのでサクッとレポートです。都内住のころ新宿界隈で用事があるとき、食事時なり小腹が空いたときなどにちょいちょい食べにきていたお店。 あのころangle 街と地図の大特集1979新宿・池袋・吉祥寺・中央線沿線編 Kindle版 風景は記憶の順にできていく 新宿駅東南口を出てすぐ。様々な飲食店がひしめく新宿の街のなかでひときわ異彩を放っているのがここ「長野屋」。 この建物に見覚えのある方も多いはず。 こちらの長野屋さんはその外観からもわ ...
【文豪ご用達w】老舗旅館『鳳明館』に泊まってきたときの話し【文京区本郷】
※2019年年末に宿泊しました。 Amazon 「谷根千」地図で時間旅行 コロナウイルスの問題で自粛の風吹き荒れる昨今ですが、今年三月、東京文京区にある老舗旅館・鳳明館からこのようなプランが発表されてのをご記憶されているでしょうか? ●「先生、進んでますか?」進捗コールも完備。旅館「鳳明館」にて、大正・昭和の人気作家になった気分を味わえる「文豪缶詰プラン」 (かーずSP 2020年3月9日) 現在はテレワークにも対応したデイユースプラン「3密・心配ご無用 ...
【妖怪博士の遺産】中野区立哲学堂公園を歩く!
Amazon 史上最強の哲学入門 Kindle版 2023年3月、3年前から世界を席巻した某ウイルスの流行も収まりをみせ、久々に(本格的な)上京しました。そのときブラっと『中野区立哲学堂公園』に立ち寄ったので、その時のレポートです。ひさびさの散歩記事。 さて、哲学堂公園への行き方は複数ありますが、今回は都営大江戸線落合南長崎駅から(その他のルートは記事末に記載します)。 A1出口から都道440号線・新青梅街道を西に向かって歩く。 途中、なんのご縁かこんな ...
歌人・鳥居さんに会ってきた~三浦綾子記念文学館講演会レポ~
6月13日、北海道旭川市在の三浦綾子記念文学館において、開館20周年を記念した特別講演会が開催された。 ゲストは"セーラー服の歌人"として注目されている歌人・鳥居氏だ。 キリンの子 鳥居歌集 2016年に本家・ネト見の方でも紹介した歌集『キリンの子』は現在までに累計2万部を売り上げている。また、彼女の壮絶な半生もまた注目されている理由のひとつに挙げられていると思うが、今回はそんな前提は一旦置いて、一読者として実際どのような人なのか気になっていたのでその講演会を聴きに行ってきましたというレポー ...
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