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【読書感想】中川裕『ゴールデンカムイ 絵から学ぶアイヌ文化』

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 ゴールデンカムイ 絵から学ぶアイヌ文化
 中川裕 著 / 野田サトル 絵
 出版社:集英社(集英社新書)
 発売日:2024/02/16

『ゴールデンカムイ』公式解説本

 人気漫画『ゴールデンカムイ』のアイヌ語監修者によるアイヌ文化解説書。前著となる『アイヌ文化で読み解く「ゴールデンカムイ」』から大幅に増補し深く掘り下げられている。それは単なる「拾遺」版とは言い切れないボリュームで、新書にも関わらず200ページ超のいわゆる鈍器レベルの代物だ。この手なら某K談社新書はお手の物だろうが、まさか集英社新書でこの厚さが出るとは・・・驚きである。
 さてそんな本書だが、前著に比べてかなり細かい部分まで言及されているだけあって、原作およびそもそものアイヌ文化への基礎知識がないとハードルを高いと感じる読者も多いだろう。文章自体はかなりかみ砕かれて平易に書かれているものの、前提となる知識が限定的なだけに初見では相応の難しさがあると思う。救いとしては原作マンガの該当ページが豊富に収録されていることだろう。文面から得る知識だけではなく、視覚的にも実に分かりやすい。
 個人的に興味が引かれたのは、暦の週の読み方と星座に対する眼差しの点だ。前者はアイヌらしい背景を読み取れるし、後者に関しては国の東西および現代人との共通点を見いだせてなかなかに興味深い。
 アニメはもちろん、原作もまだ未読という読者にとってはかなりのネタバレ内容が含まれてしまっているが、その点は致し方のない部分だろう。むしろ本書をベースに基礎知識をもって原作を読めば、言葉や文化、作法やしきたりの背景を深く味わいながら読めるに違いない。
 
 Amazonアイヌ文化で読み解く「ゴールデンカムイ」

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