【読書感想】宮口幸治『ケーキの切れない非行少年たち』
ケーキの切れない非行少年たち 宮口幸治 出版社:新潮社(新潮新書) 発売日:2019/07/12 今まで見過ごされてきた非行少年たちが抱えていた問題と、その解決への道筋 センセーショナルなタイトルと、帯に付された異様な絵。 精神科医である著者が少年院に法務技官として勤務していた際、実際に目の当たりにしたものだという。 犯罪を犯した少年たち。かれらをそうした行動に向けさせたのは、家庭や学校といった社会的環境だけではなく、もっと根深い問題だった。 昨今「発達障害」という言葉を耳にするようになって久 ...
【読書感想】飛騨俊吾『戀愛』(ペーパーバック)
戀愛: 上 戀愛: 下 飛騨俊吾 出版社:Independently published(ペーパーバック) 発売日:2022/04/02 恋、その複雑さと心の自由 自分自身、かつては文学青年よろしく古典から現代小説までさまざまな文学作品を読破してきた。 だが昨今は専門書や実用書を読むばかりで、なかなかどうして文芸書に手が出ないでいる。 そんな中、とあるきっかけで知るに至った本書。 さまざまな出版社からの方向性の指摘の末、最近やっと日本でも広まりつつあるペーパーバック(オンデマンド)版と ...
【読書感想】『名言 中原中也』
名言 中原中也 出版社:彩図社 発売日:2010/11/24 不世出の詩人・中原中也の心象風景に触れる詩編 本家の羅列ニュースのコメントなどで時々書いているが、わたしは太宰治が嫌いだ。 正確には太宰はじめ無頼派作家の生き様が好きではない、といったところだ。彼らの私生活は破天荒そのもの。それでいて至極マットウなことを語っている。無頼漢な生き様とは裏腹に、その内面は実に真面目で確固たる信念がある。そこが彼らの魅力そのものなのだろうけど、個人的に到底受け入れられない。不良の格好をした好人物は、結局のところ ...
【読書感想】菅啓次郎『本は読めないものだから心配するな』
本は読めないものだから心配するな (ちくま文庫) created by Rinker 筑摩書房 Amazon 楽天市場 本は読めないものだから心配するな 菅啓次郎 出版社:筑摩書房(ちくま文庫) 発売日:2021/09/13 濃密な本の旅 詩人である著者の読書エッセイ。読書家にとってはなんとも魅力的で心現れるようなタイトルだが、その実本書で引用されている本を次々読みたくなってしまう不思議な一冊。 著者自ら遅読を告白し、20年来の積読に対し深く侘びを入れておきながら「一歩ずつ進めばそれで ...
【読書感想】『松丸家の育て方』
松丸家の育て方 松丸悟/DaiGo/松丸彗吾/松丸怜吾/松丸亮吾 出版社:repicbook 発売日:2021/12/22 家族、その一つのあり方 日本唯一のメンタリスト・DaiGoさん、謎解きブームの仕掛け人・松丸亮吾さん。この二人が兄弟であることは周知の事実だが、その間にも二人の兄弟がいる。 そんな松丸家の四兄弟が、実父とともに各々の半生と松丸家のこれまでを邂逅している本書。 「答えは親が教えるのではなく、子どもに考えさせる」 「子どもには投資をしよう」 亡き妻とさまざま話しあい決め ...
【読書感想】ルイジ・コルナロ『無病法』
無病法 ルイジ・コルナロ 著 / 中倉玄喜 訳 出版社:PHP研究所 発売日:2012/05/24 先駆的"食べない"健康法 近年、「プチ断食」や「ファスティング」といった空腹状態を活用した健康法が広まりつつある。 2016年ノーベル生理学・医学賞を受賞した大隅良典博士らによるオートファジーの解明など、科学的な裏付けも相俟ってその注目度合いはより高くなっている。 本書は今から遡ることおよそ500年前、ルネサンス期のイタリアを生きた貴族による健康法の講和記録だ。 著者のルイジ・コルナロは、同時 ...
もっと見る
『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その3(Ⅰ・20~30)
3回目は第1章20~30節。 記事一覧はコチラ→『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!(第1章~第2章11節まで) テキスト ①atha vyavasthitāndṛṣṭvā dhārtarāṣṭrānkapidhvajaḥ / pravṛtte śastrasaṃpāte dhanurudyamya pāṇḍavaḥ // 20 // hṛṣīkeśaṃ tadā vākyamidamāha mahipate / senayorubhayormadhye rath ...
【読書感想】ヴィヤーサ著・石原美里訳『邦訳マハーバーラタ 寡妃の巻』
邦訳マハーバーラタ 寡妃の巻 created by Rinker Amazon 楽天市場 邦訳マハーバーラタ 寡妃の巻 ヴィヤーサ 著 / 石原美里 訳 出版社:パブファンセルフ 発売日:2024/01/29 愛する者を失った悲しみと屈辱 インドの二大叙事詩『マハーバーラタ』と『ラーマーヤナ』。そのうち『マハーバーラタ』(以下MBh)の第11巻「Strī-Parvan」の日本語訳注本。 MBhの日本語完訳は未だなされていない。故上村勝彦博士による翻訳は、急逝のため第8巻途中までにとどま ...
インド二大叙事詩とヒンドゥー教の聖典について
【改訂記録】 ・2021/02/24 「あらすじ」欄に各巻・章のタイトル追記。 前説 インドの二大叙事詩『マハーバーラタ(Mahābhāratam)』と『ラーマーヤナ(Rāmāyana)』、そしてヒンドゥー教における最高の聖典と称される『バガヴァット・ギーター(Śrīmadbhagavad gītā)』について、その概要をまとめてみました(個人的な復習の意味も含め)。 かなりザックリとしたまとめになっていますが、本記事はちょっと実験したい部分もあって、今後も随時改訂したりしていきたいと思います。 ...
『バガヴァッドギータ―』原典訳してみた!その1(Ⅰ・1~11)
さて『バガヴァッドギータ―』原典訳してみた!の一回目は第1章1~11節までです。 今回扱うテキストについては前説編を参照のこと。 テキスト ①dhṛtarāṣṭra uvāca / dharmakṣetre kurukṣetre samavetā yuyutsavaḥ / māmakāḥ pāṇḍavāścaiva kimakurvata saṃjaya // 1 // ②saṃjaya uvāca / dṛṣṭvā tu pāṇḍavānīkam vyūḍhaṃ duryodhanasta ...
『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その6(Ⅱ・1~11)
6回目は第2章1~11節 記事一覧はコチラ→『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!(第1章~第2章11節まで) テキスト ①sañjaya uvāca / taṃ tathā kṛpayāviṣṭam aśrupūrṇākulekṣaṇam / viṣīdantam idaṃ vākyam uvāca madhusūdanaḥ // 1 // ②śrībhagavān uvāca / kutastvā kaśmalam idaṃ viṣame samupasthit ...
『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その5(Ⅰ・40~47)
5回目は第1章40~47節 記事一覧はコチラ→『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!(第1章~第2章11節まで) テキスト ①kulakṣaye praṇaśyanti kuladharmāḥ sanātanāḥ / dharme naṣṭe kulaṃ kṛtsnamadharmo'bhibhavatyuta // 40 // ②adharmābhibhavātkṛṣṇa praduṣyanti kulastriyaḥ / strīṣu duṣṭāsu vārṣṇe ...
もっと見る
崇徳院と土御門院を巡る四国~後鳥羽院をめぐるフィールドワークその4 最終回~
保元の乱の首謀者として讃岐に流された崇徳院。そしてその曾姪孫(甥の孫)にあたり、承久の乱で流された父・後鳥羽院、弟・順徳院の身の上を憂い、自ら懇願し阿波に流された土御門院。この二人を追ったレポート。 Field work on SUTOKU Tenno & TSUCHIMIKADO Tenno. SUTOKU Tenno[1,Jul,1119~14,Sep,1164(28,May,Genei2~26,Aug,Chokan2):75nd emperor(reigning:1123~1142)and R ...
後鳥羽院『遠島御百首』私見その5~雑 三十首(上)~
・その1~春 二十首~ ・その2~夏 十五首~ ・その3~秋 二十首~ ・その4~冬 十五首~ ・その5~雑 三十首(上)~ ・その6~雑 三十首(下)~ 雑三十首(上) 目次 七十一、いにしへの 七十二、をきわびぬ 七十三、とへかしな 七十四、もしほやく 七十五、かもめなく 七十六、なみまゆく 七十七、しほかぜに 七十八、さととをみ 七十九、とはるゝも 八十、ながき夜を 八十一、あかつきの 八十二、とにかくに 八十三、すぎにける 八十四、夕月夜 八十 ...
藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿 その3(元久2年~建永元年)
後鳥羽院の姿を記録する主な公家日記 (甚之助蔵 九条兼実『玉葉』国書刊行会、明治39年刊。九条道家『玉蘂』今川文雄校訂、思文閣出版、昭和59年刊) ・【運命の四の宮】藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿 序奏 ・その1 治承4年~建仁元年(第1巻) ・その2 建仁2年~元久元年(第1巻) ・その3 元久2年~建永元年(第1巻) ・その4 承元元年~承元2年(第2巻) ・その5 建暦元年~建暦2年(第2巻) ・その6 建保元年~建保6年(第2巻) ・その7 承久元 ...
【とはずがたり】「『明月記』の後鳥羽院」よもやま話
調査・研究に用いているノート。 「藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿」調査中の机の上w 目次 ・きっかけ ・隠岐、集中豪雨 ・愛憎半ば、悲喜交々 その1 ・愛憎半ば、悲喜交々 その2 ・ママ、クルマにはねられる ・『吉記』のこと ・青天の霹靂 ・ママ、怒る! ・老いたる定家と後鳥羽院 ・拝啓、藤原定家さま Amazon 夢のなかぞら―父 藤原定家と後鳥羽院 ・きっかけ 「まあ、またなんとも面白そうなことを……」 2021年春、私は ...
令和の時代に鎌倉幕府に思いを馳せてみた~後鳥羽院をめぐるフィールドワークその3~
Field work on KAMAKURA Shogunate around the Jokyu war age. 2019年末、例の後鳥羽院単推しの通称ママとの取材旅行の前に、ひとりブラっと古都・鎌倉に残る承久の乱関連の史蹟を巡ってきましたというレポ。 目次 ・切通しのこと ・冬の由比ガ浜 ・承久の乱を彩った人々の眠る場所と日蓮の消息 ・鶴岡八幡宮と承久の乱 参考文献 Amazon図説 鎌倉府 新版改訂 鎌倉観光文化検定 公式テキストブック 切通しのこと 平安時代末、栄華を極めた平家の ...
藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿 その7 承久元年~嘉禎元年・その後(第2・3巻)
後鳥羽院像に迫るための資料 (甚之助蔵 『大日本史料』第4輯、東京大学史料編纂所、昭和43年) ・【運命の四の宮】藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿 序奏 ・その1 治承4年~建仁元年(第1巻) ・その2 建仁2年~元久元年(第1巻) ・その3 元久2年~建永元年(第1巻) ・その4 承元元年~承元2年(第2巻) ・その5 建暦元年~建暦2年(第2巻) ・その6 建保元年~建保6年(第2巻) ・その7 承久元年~嘉禎元年・その後(第2・3巻) 目次 ●藤原定家 ...
もっと見る
【妖怪博士の遺産】中野区立哲学堂公園を歩く!
Amazon 史上最強の哲学入門 Kindle版 2023年3月、3年前から世界を席巻した某ウイルスの流行も収まりをみせ、久々に(本格的な)上京しました。そのときブラっと『中野区立哲学堂公園』に立ち寄ったので、その時のレポートです。ひさびさの散歩記事。 さて、哲学堂公園への行き方は複数ありますが、今回は都営大江戸線落合南長崎駅から(その他のルートは記事末に記載します)。 A1出口から都道440号線・新青梅街道を西に向かって歩く。 途中、なんのご縁かこんな ...
北区赤羽の住宅街をプラっと散歩してきましたレポ
昨年夏に上京した折、ちょっと時間が空いたので赤羽で途中下車して住宅街を散歩してきたレポートです。 赤羽といえば最近では住んでみたい街として人気もうなぎ上りのようですが、細い路地に"せんべろ"飲み屋街と、知る人ぞ知る隠れたディープスポット密集地帯だったりする。また昨年暮れ、タレントの壇蜜さんと漫画家・清野とおるさんのご結婚が報じられた際、清野さんの地元ということでもその名が更に広まったりしたのは記憶に新しいところ。 駅付近のふざけた七福神像やホテル屋上の自由の女神像なんか特に有名ですが、今回は赤羽駅 ...
【探訪】上野『大統領』私的呑みかた論w
Amazon 上野アンダーグラウンド ※この記事は飲酒を薦めるものではありません。 未成年の飲酒は法律で禁じられています。 また飲酒運転は絶対にやめましょう。 お酒は程よく気持ちよく! 数年前、「遊んで学ぶお父さん」のUronpoiさんを誘って以来、氏をどっぷりハマらせてしまった感があって若干の責任を感じていたりするのですが、よくよく考えたら自分でレポを書いたことがないなと思い、ホント今更ながらの「大統領」レポ。 レポートと言っても、普段どんな風に大統領で呑んでい ...
【私的愛用品】ツバメノート「KB4」考
目次 ・「KB4」のココに注目! ・「KB4」今昔物語 ・私的使用法 大分前に本家の方で書いた「私の文房具【私の本棚 余談】」でチラッと紹介した私愛用のノートについて、ここ10年来でいろいろ変わって変化があったのでそこを深堀りしてみようと思います。時代の流れというのか、発展でありまた淋しくもある変化の詳細です。 件のシリーズ「私の本棚」も、あれ以来書斎の模様替えなど相俟って、今では本棚に並ぶ背表紙も大分変わりました。昨今は専門とするインド哲学仏教学と、ここ数年かかずらわ ...
佐渡島をブラっと散歩してきましたレポ~後鳥羽院をめぐるフィールドワークその2 おまけ編~
今回は本当におまけ編w サムネ画像は、佐渡汽船の看板娘・カーフェリー三人娘の(左から)「あかねちゃん」「ときわちゃん」「おけさちゃん」。 それぞれ佐渡汽船のフェリーがモチーフ。ちなみに「おけさちゃん」が長女。「あかねちゃん」が末っ子とのこと。めんこいwww Amazon 10 地球の歩き方JAPAN 島旅 佐渡 ブラタモリ 9 平泉 新潟 佐渡 広島 宮島 さて、【佐渡の入江の順徳院 後編】で『堂所御所跡』へ行ってきた後で、フェリーまでに相当な時間があったので「さてママ、どーし ...
銀座の老舗バー『ルパン』で呑む
日本屈指の繁華街、東京・銀座。 和光の時計台は海外の旅行者からも人気のスポットですが、そこからほど近いところにあるのが老舗バー『ルパン』。 創業は昭和3(1928)年。開店時には当時近くにあった文藝春秋社の面々からの支援があり、以来文壇バーとして知られています。 注:本記事にはお酒にまつわる記述がありますが、飲酒を勧めるものではありません。 また、未成年の飲酒は法律で禁止されています。 成人であっても節度とマナーを守って過度な飲酒は控えましょう。 飲酒運転は絶対やめましょう。 猪 ...
もっと見る















