【読書感想】おかざき真里『かしましめし』
かしましめし おかざき真里 出版社:祥伝社 発売日:2017/09/08 アラサー女二人とひとりの男。実生活で負った傷を癒してくれるのはおいしいご飯。 美大出身の仲良し三人組が織り成すご飯系マンガだが、一見普通に見えても三者三様に一筋縄ではいかない事情を抱えているヒューマンドラマともいえるこの作品。 なぜタイトルが『かしましめし』なのかは読んで推してはかるべしという感じだが、設定もストーリーもどれもが素直でやさしい印象を受ける。 多少ネタバレになるが、本作品の中心を担う三人は会社や恋愛はじめ社会 ...
【読書感想】さけハラス『私は今、旅をしています。』
私は今、旅をしています。 さけハラス 出版社:実業之日本社 発売日:2019/11/08 現代社会の喧騒の中、忘れてしまっていた日本の原風景に「再会」する 謎の組織から謎の指令を受け旅に出る少女の旅物語。 正直、設定もあらすじもどうでもいいと感じたけれど、写真加工×イラストのエキスパート・さけハラス氏が描き出す風景画いちまい一枚には、まるで自分がその光景を目の当たりにしているかと錯覚するほどに引き込まれた。 全国津々浦々の風景。私もかつて訪れたことのある場所もかなりあったが、そのいずれもが二次元 ...
【読書感想】小林昌樹『調べる技術: 国会図書館秘伝のレファレンス・チップス』
調べる技術: 国会図書館秘伝のレファレンス・チップス 小林昌樹 出版社:皓星社 発売日:2022/12/09 お調べものはなんですか? 図書館には「司書」とよばれる人がいること、その認知度はあくまで肌感覚だが決して高くはないと思う。仮に司書という仕事を知っていても、実際なにをやっているのか知らない、あるいは助力を頼んだことがないという人も多いだろう。 本書は、長らく国会図書館に勤め、現在は大学でレファレンスに関する授業も受け持つ著者がおくる「調べもの」の極意を集めたような一冊。調べ物のプロたる「司 ...
【読書感想】岡西正典『新種の発見-見つけ、名づけ、系統づける動物分類学』
新種の発見-見つけ、名づけ、系統づける動物分類学 岡西正典 出版社:中央公論社(中公新書) 発売日:2020/04/18 動物分類学者の悲喜こもごもと、多様な生物界の奥深い様相 年間2万種を越える新種が発見・報告されている。 新種の発見に伴う採集方法・生態調査・分類学上の命名の手順、学名の名付け方など、本書は普段触れる機会のない動物分類学について語られた専門書だ。 とはいえ内容はそこまで堅苦しいものではない。著者が実際に行ったフィールドワークのエピソードなど、多少専門的・学術的用語も飛び交うが ...
【読書感想】佐伯良隆『100分でわかる! 決算書「分析」超入門 2021』
100分でわかる! 決算書「分析」超入門 2021 佐伯良隆 出版社:朝日新聞出版 発売日:2020/09/18 決算書分析初心者にとってのチャート式 ハーバード大学でMBA(経営学修士)を取得した著者が編み出した「最強・佐伯メソッド」。 それを駆使し、決算書を読み解くために必要な最低限の知識と方法をギュッと一冊にまとめた書籍の2021年版。 すでに決算の入門書としての新定番化していることを知っている人も多いだろう。 どうしてそこまで支持を受けるのか? 第一に挙げられるのは「凄まじい」までに分 ...
【読書感想】大島正二『漢字伝来』
漢字伝来 大島正二 出版社:岩波書店(岩波新書) 発売日:2006/08/18 古代日本における漢字の受容と日本語への変遷を辿る歴史書 「さすが岩波新書!」と雄叫びを挙げたくなる良書。泣く子も黙る岩波新書だと感嘆せざるを得ない。 中国伝来の漢字と出会って以来、古代の日本人が試行錯誤を繰り返すなかで次第に日本語への置換がすすみ、かな文字を完成していく過程が克明に解説されている。 言語構造も音韻体系も異なる漢字の受容がいかに困難な作業であったか、現存するものが少ないとはいえ可能な限り当時の史料( ...
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『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その2(Ⅰ・12~19)
2回目は第1章12~19節をば。 記事一覧はコチラ→『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!(第1章~第2章11節まで) テキスト ①tasya saṃjanayanharṣaṃ kuruvṛddhaḥ pitāmahāḥ / siṃhanādaṃ vinadyoccaiḥ śańkhaṃ dadhmau pratāpavān // 12 // ②tataḥ śankhaśca bheryaśca paṇavānakagomukhāḥ / sahasaivābhyahanyanta ...
『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その4(Ⅰ・31~39)
4回目は第1章31~39節。 記事一覧はコチラ→『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!(第1章~第2章11節まで) テキスト ①nimittāni ca paśyāmi viparītāni keśava / na ca śreyo'nupaśyāmi hatvā svajanamāhave // 31 // ②na kāṅkṣe vijayaṃ kṛṣṇa na ca rājyaṃ sukhāni ca / kiṃ no rājyena govinda kiṃ bh ...
【ヒンドゥー教の聖典】『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!~前説~
目次 まえがきと若干の解説 『バガヴァッドギーター』テキスト 参考文献 【本編】 ・『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その1(Ⅰ・1~11) ・『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その2(Ⅰ・12~19) ・『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その3(Ⅰ・20~30) ・『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その4(Ⅰ・31~39) ・『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その5(Ⅰ・40~47) ・『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!そ ...
【読書感想】清水俊史『ブッダという男 初期仏典を読みとく』
ブッダという男 ――初期仏典を読みとく (ちくま新書) created by Rinker ¥946 (2026/04/06 20:23:38時点 Amazon調べ-詳細) Kindle Amazon 楽天市場 ブッダという男 初期仏典を読みとく 清水俊文 出版社:筑摩書房(ちくま新書1763) 発売日:2023/12/07 人間・ブッダは何を語っていたのか ネット上を一時騒然とさせた仏教学界隈のアカハラ問題。その渦中にあった著者による「あとがき」が脚光を浴び、本書は刊行直後から ...
『般若心経』をサンスクリット原典で読む!
多分日本で一番有名な仏教経典である『般若心経』は、正式には『般若波羅蜜多心経』と呼ばれ、今から1600年以前、サンスクリット語で書かれた『Prajñāpāramitā-hṛdaya-sūtram』を漢訳したものだ。 そもそも『般若心経』は、仏になるために菩薩が行う修行・知恵(般若波羅蜜・般若波羅蜜多)を説く『般若経』という経典群の中のひとつで、大乗仏教の根本思想である"空"の思想を簡潔にまとめている。そのため、漢訳されたものもその短い文言の中で大乗仏教の根幹が説かれているとされ、多くの宗派で今なお用い ...
【ゆる解説】『「バガヴァッドギーター」原典訳してみた』補遺
『マハーバーラタ』におけるクルクシェートラの戦いを描いた18世紀の写本(A Tribute to Hinduismより) 目次 ・人名用語解説 ・超要約「バガヴァッドギーター」 ・「ギーター」こぼれ話し 参考文献 ※本編はコチラから! Amazon いちばんていねいでいちばん易しいインド哲学 超入門『バガヴァッド・ギーター』 人名用語解説(第1章~第2章11節に限る) ・アシュヴァッターマン:ドローナの長男。カウラヴァ軍の勇士。 ・アナンタヴィジャヤ:ユ ...
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藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿 その6(建保元年~建保6年)
後鳥羽院像に迫るための資料 (甚之助蔵 『宸記集』藝林社、昭和49年。田邑二枝『海士町史』海士町役場、昭和49年) ・【運命の四の宮】藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿 序奏 ・その1 治承4年~建仁元年(第1巻) ・その2 建仁2年~元久元年(第1巻) ・その3 元久2年~建永元年(第1巻) ・その4 承元元年~承元2年(第2巻) ・その5 建暦元年~建暦2年(第2巻) ・その6 建保元年~建保6年(第2巻) ・その7 承久元年~嘉禎元年・その後(第2・3巻 ...
後鳥羽院『遠島御百首』私見その4~冬 十五首~
・その1~春 二十首~ ・その2~夏 十五首~ ・その3~秋 二十首~ ・その4~冬 十五首~ ・その5~雑 三十首(上)~ ・その6~雑 三十首(下)~ 冬十五首 目次 五十六、見し世にも 五十七、冬くれば 五十八、しもがれの 五十九、かみな月 六十、をのづから 六十一、こぞよりは 六十二、そめのこし 六十三、たつた山 六十四、苔しける 六十五、冬ごもり 六十六、やまかぜの 六十七、さながらや 六十八、けさみれば 六十九、おく山の 七十、かぞふれば ...
藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿 その2(建仁2年~元久元年)
(甚之助蔵 『明月記研究』明月記研究会編) ・その1 治承4年~建仁元年(第1巻) ・その2 建仁2年~元久元年(第1巻) ・その3 元久2年~建永元年(第1巻) ・その4 承元元年~承元2年(第2巻) ・その5 建暦元年~建暦2年(第2巻) ・その6 建保元年~建保6年(第2巻) ・その7 承久元年~嘉禎元年・その後(第2・3巻) 目次 ●藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿 その2(建仁2年~元久元年) 建仁2年 建仁3年 元久元年 建仁2年 1202年 後 ...
後鳥羽院『遠島御百首』私見その6~雑 三十首(下)~
(綱掛の松 隠岐・海士町 2018年08月甚之助撮影) ・その1~春 二十首~ ・その2~夏 十五首~ ・その3~秋 二十首~ ・その4~冬 十五首~ ・その5~雑 三十首(上)~ ・その6~雑 三十首(下)~ 雑三十首(下) 目次 八十六、日にそひて 八十七、何となく 八十八、人ごゝろ 八十九、みほのうらの 九十、たとふべき 九十一、はれやらぬ 九十二、うしとだに 九十三、ことづてむ 九十四、とにかくに 九十五、ふるさとの 九十六、おもふ人 九十七、われこそは ...
後鳥羽院『遠島御百首』私見その1~春 ニ十首~
・その1~春 二十首~ ・その2~夏 十五首~ ・その3~秋 二十首~ ・その4~冬 十五首~ ・その5~雑 三十首(上)~ ・その6~雑 三十首(下)~ はじめに・・・ 私を後鳥羽院がらみの研究(?)に誘った例のママは、最近は以前にもまして悠々自適の生活をしているらしい。なんでも「野垂れ死にが理想の死に方」なのだそうで、いまだ某ウイルスの話題に事欠かない昨今ながら、全国各地を転々と飛び回っているらしい。 そんなママから最初に後鳥羽院の話しをもらった時、見せられたノートがあった ...
後鳥羽院『遠島御百首』私見その3~秋 ニ十首~
・その1~春 二十首~ ・その2~夏 十五首~ ・その3~秋 二十首~ ・その4~冬 十五首~ ・その5~雑 三十首(上)~ ・その6~雑 三十首(下)~ 秋ニ十首 目次 三十六、かたしきの 三十七、よのつねの 三十八、秋されば 三十九、おもひやれ 四十、咲かゝる 四十一、ふるさとを 四十二、いかにせむ 四十三、なきまさる 四十四、いたづらに 四十五、おもひやれ 四十六、ふるさとの 四十七、野をそむる 四十八、あはれなる 四十九、はれよかし 五十、岡の ...
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【谷根千の終着駅】由緒正しい下町食堂『動坂食堂』で食す!
※2019年12月に訪問した折りの記事です! さて以前、本家の方で谷根千の散歩レポートを書いた際、千駄木・団子坂のところで「近くの動坂下にある『動坂食堂』がオススメ」みたいなこともあわせて書きましたが、今回は"やっと"件の『動坂食堂』に再訪できたので、その時のレポートです。 cf,谷根千を歩く。 谷根千を歩く。【おまけ編】 Amazon 新版 谷根千ちいさなお店散歩 さてまず個人的な思い出なのですが、東京に住んでいた頃、ここ『動坂食堂』さんの近くに住んでいたこともあっ ...
夏目漱石『こころ』の散歩道
「日本で一番売れている」本(2016年時点) cf,漱石没後100年、人気衰えず 書店で文庫フェア 夏目漱石『こころ』(新潮文庫版) 夏目漱石後期三部作の一つ『こころ』。 その中でも第三章にあたる「下 先生と遺書」は今でも高校の教科書に掲載されている。 あらすじに関しては……長くなるので以下のサイトに譲ります。 cf,夏目漱石「こころ」のあらすじを紹介 さて、主人公の『私』が鎌倉で出会った『先生』は、学生時代に現在の文京区小石川にある伝通院裏で下宿していたのですが、物語のキーパーソンで ...
【とはずがたり】「『明月記』の後鳥羽院」よもやま話
調査・研究に用いているノート。 「藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿」調査中の机の上w 目次 ・きっかけ ・隠岐、集中豪雨 ・愛憎半ば、悲喜交々 その1 ・愛憎半ば、悲喜交々 その2 ・ママ、クルマにはねられる ・『吉記』のこと ・青天の霹靂 ・ママ、怒る! ・老いたる定家と後鳥羽院 ・拝啓、藤原定家さま Amazon 夢のなかぞら―父 藤原定家と後鳥羽院 ・きっかけ 「まあ、またなんとも面白そうなことを……」 2021年春、私は ...
【探訪】上野『大統領』私的呑みかた論w
Amazon 上野アンダーグラウンド ※この記事は飲酒を薦めるものではありません。 未成年の飲酒は法律で禁じられています。 また飲酒運転は絶対にやめましょう。 お酒は程よく気持ちよく! 数年前、「遊んで学ぶお父さん」のUronpoiさんを誘って以来、氏をどっぷりハマらせてしまった感があって若干の責任を感じていたりするのですが、よくよく考えたら自分でレポを書いたことがないなと思い、ホント今更ながらの「大統領」レポ。 レポートと言っても、普段どんな風に大統領で呑んでい ...
【浪人時代の思い出】アリミツ君とマコちゃんのこと。
受験シーズンも終わりに近づき、高校・大学はじめ、いろんなところで合格発表の知らせを耳にする季節となった。 毎年この時期になると、必ず浪人していた頃のことを思い出す。 私は某大手予備校で一年間浪人生活を送り、その間は予備校付属の寮で生活していた。 花の都・TOKYOに出てきたはずが、そこはなぜか木々の緑豊かで動物の鳴き声響くところだった。 人生初の満員電車。 都心ド真ん中にある予備校校舎へ通う日々。 起きてる時は(当然)勉強漬けだったが、ときどき破目を外して寮の仲間たちと長時間語り合ってい ...
北区赤羽の住宅街をプラっと散歩してきましたレポ
昨年夏に上京した折、ちょっと時間が空いたので赤羽で途中下車して住宅街を散歩してきたレポートです。 赤羽といえば最近では住んでみたい街として人気もうなぎ上りのようですが、細い路地に"せんべろ"飲み屋街と、知る人ぞ知る隠れたディープスポット密集地帯だったりする。また昨年暮れ、タレントの壇蜜さんと漫画家・清野とおるさんのご結婚が報じられた際、清野さんの地元ということでもその名が更に広まったりしたのは記憶に新しいところ。 駅付近のふざけた七福神像やホテル屋上の自由の女神像なんか特に有名ですが、今回は赤羽駅 ...
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