【読書感想】成毛眞『2040年の未来予測』

 
 2040年の未来予測
 成毛眞
 出版社:日経BP
 発売日:2021/01/08

 将来、世界を待ち受ける悲劇の様相

 これから向こう20年間で世の中はどう変化していくのか?
 著者は元マイクロソフト日本法人の社長である。その経歴からテクノロジーの側面より将来的な展望を語るのかと思いきや、日本をはじめとした先進国の暗澹たる未来への予測が連綿と記されている。年金、インフラ、住宅、医療、デバイス、食料など、広範な視点から大局的な未来予想図が考察されており、その実現可能性や時間軸についてイメージしやすい。
 しかし読み進めるにつれ、それらの大半が世間で思われている以上のスピードで進展あるいは悪化の道を辿っている事実に驚愕を隠せなかった。特に税制と医療に関しては顕著である事実には愕然としてしまう。

 しかしAmazonでもビジネス・経済のIT部門でベストセラーを頂いている本書だが、正直そこまで評価されて然るべきかと疑問に思う。
 実際、他の関連書籍などでも散々語られていることが寄せ集められた程度の内容に過ぎない。また根拠となる前提知識や背景などが抜け落ちている点も多く、説得力に欠ける。
 たとえば税制の問題ひとつにしても、これから起こるであろう行く末が淡々と語られているが、その暗部をさらけ出すだけで解決策はなんら示されていない。あとがきで多少のフォローもされているが、必要十分な内容とは感じられなかった。
 もちろん、来るべき未来に向けて現状から予測される事実を真摯に見つめ、それを踏まえた戦略を立てる意味では警鐘的な意義もあるが、それもまた他の書籍ですでに語られている内容である。

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