感想・レビュー

2023/3/16

【読書感想】えむゆみカップル『エロ2.0 「月収4000万円」Pornhuberが実践した「欲望を共有する」最速ファンマーケティング』

  エロ2.0 「月収4000万円」Pornhuberが実践した「欲望を共有する」最速ファンマーケティング えむゆみカップル 出版社:飛鳥新社 発売日:2022/11/08  Z世代の新常識  "大人のYoutube"こと「Pornhub」は世界屈指のアクセス数を誇るWebページである。そこに素人カップルが自身の行為動画をアップし収益を上げる、いわゆる「Pornhuber」というジャンルを打ち立てたのが本書の著者であるえむゆみカップルの二人だ。その界隈では知らぬ人はいない先駆者である。  本書タイトルに「 ...

感想・レビュー

2024/4/14

【読書感想】見坊行徳『三省堂国語辞典から消えたことば辞典』

三省堂国語辞典から 消えたことば辞典 created by Rinker Amazon 楽天市場  三省堂国語辞典から消えたことば辞典 見坊行徳 / 三省堂編修所 出版社:三省堂 発売日:2023/04/05 辞書作りの舞台裏  時代と共に言葉の流行り廃りがあることは自明のことだが、それは辞書においてもまた然りで、古語あるいは死語として残るものもあれば掲載そのものが削除されるものもある。本書は『三省堂国語辞典(以下、三国)』から削除された言葉について、前身となる『明解国語辞典』から各改訂版ごとに ...

感想・レビュー

2021/1/13

【読書感想】田村由美『ミステリと言う勿れ』

  ミステリと言う勿れ(1) 田村由美 出版社:小学館 発売日:2018/01/10  ミステリっぽいけどミステリっぽくもない、ミステリな対話編  『BASARA』などの作者・田村由美先生の話題作。  作者曰く「舞台劇をイメージ」した「閉鎖空間での会話だけ」が織り成される内容は、主人公と登場人物との対話に重点が置かれ、数あるミステリや探偵ものの小説やマンガにはない独特の世界観を描き出している。  主人公はどこにでもいる大学生……ではなく、名前も髪型も趣味趣向もどこかちょっと風変わりで、いうなれば"不思議ち ...

感想・レビュー

2021/1/26

【読書感想】ひろゆき『叩かれるから今まで黙っておいた「世の中の真実」』

  叩かれるから今まで黙っておいた「世の中の真実」 ひろゆき 出版社:三笠書房 発売日:2020/11/25  これから社会に出る人に知っておいてほしい現実と、自分の頭で考えることの大切さ。  よくテレビ番組に出演した際、飄々としながらも歯に衣着せぬ物言いで"論破祭り"などと騒がれるひろゆきさん。本書でもその論調は変わらない。  普段から自著について「自分はしゃべっただけで、書いたのはライターさんや編集さん」と言っている通り、多分今回もそうなのだろうが、相変わらずの緩い口ぶりながら切れ味鋭い言葉が並ぶ。 ...

感想・レビュー

2023/2/11

【読書感想】谷口義明『小さなことにあくせくしなくなる天文学講座 生き方が変わる壮大な宇宙の話』

  小さなことにあくせくしなくなる天文学講座 生き方が変わる壮大な宇宙の話 谷口義明 出版社:PHP研究所 発売日:2021/03/20 大きな宇宙と小さなわたし    本書はコロナ禍真っ最中に出版された。「三密」や「ディスタンス」などという言葉がもてはやされたころ、そうした感覚を天文学に置き換えて、宇宙の全体像にまつわる小難しいあれこれを著者一流のユーモアに満ちた文体でやさしくかみ砕いて紹介している。  話しの中心は銀河に関するものだが、我々の住む太陽系のある「天の川銀河」ひとつとってもそのスケールは想 ...

感想・レビュー

2023/2/23

【読書感想】小林昌樹『調べる技術: 国会図書館秘伝のレファレンス・チップス』

  調べる技術: 国会図書館秘伝のレファレンス・チップス 小林昌樹 出版社:皓星社 発売日:2022/12/09 お調べものはなんですか?  図書館には「司書」とよばれる人がいること、その認知度はあくまで肌感覚だが決して高くはないと思う。仮に司書という仕事を知っていても、実際なにをやっているのか知らない、あるいは助力を頼んだことがないという人も多いだろう。  本書は、長らく国会図書館に勤め、現在は大学でレファレンスに関する授業も受け持つ著者がおくる「調べもの」の極意を集めたような一冊。調べ物のプロたる「司 ...

もっと見る

インド哲学仏教学

2020/5/21

『般若心経』をサンスクリット原典で読む!

 多分日本で一番有名な仏教経典である『般若心経』は、正式には『般若波羅蜜多心経』と呼ばれ、今から1600年以前、サンスクリット語で書かれた『Prajñāpāramitā-hṛdaya-sūtram』を漢訳したものだ。  そもそも『般若心経』は、仏になるために菩薩が行う修行・知恵(般若波羅蜜・般若波羅蜜多)を説く『般若経』という経典群の中のひとつで、大乗仏教の根本思想である"空"の思想を簡潔にまとめている。そのため、漢訳されたものもその短い文言の中で大乗仏教の根幹が説かれているとされ、多くの宗派で今なお用い ...

インド哲学仏教学

2023/6/10

『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その4(Ⅰ・31~39)

       4回目は第1章31~39節。  記事一覧はコチラ→『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!(第1章~第2章11節まで)       テキスト   ①nimittāni ca paśyāmi viparītāni keśava /  na ca śreyo'nupaśyāmi hatvā svajanamāhave // 31 // ②na kāṅkṣe vijayaṃ kṛṣṇa na ca rājyaṃ sukhāni ca /  kiṃ no rājyena govinda kiṃ bh ...

インド哲学仏教学

2023/6/10

『バガヴァッドギータ―』原典訳してみた!その1(Ⅰ・1~11)

 さて『バガヴァッドギータ―』原典訳してみた!の一回目は第1章1~11節までです。  今回扱うテキストについては前説編を参照のこと。 テキスト   ①dhṛtarāṣṭra uvāca /  dharmakṣetre kurukṣetre samavetā yuyutsavaḥ /  māmakāḥ pāṇḍavāścaiva kimakurvata saṃjaya // 1 // ②saṃjaya uvāca /  dṛṣṭvā tu pāṇḍavānīkam vyūḍhaṃ duryodhanasta ...

インド哲学仏教学

2023/8/1

【ヒンドゥー教の聖典】『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!~前説~

      目次  まえがきと若干の解説  『バガヴァッドギーター』テキスト  参考文献        【本編】  ・『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その1(Ⅰ・1~11)  ・『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その2(Ⅰ・12~19)  ・『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その3(Ⅰ・20~30)   ・『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その4(Ⅰ・31~39)  ・『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その5(Ⅰ・40~47)  ・『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!そ ...

インド哲学仏教学

2023/6/10

インド二大叙事詩とヒンドゥー教の聖典について

【改訂記録】 ・2021/02/24 「あらすじ」欄に各巻・章のタイトル追記。   前説  インドの二大叙事詩『マハーバーラタ(Mahābhāratam)』と『ラーマーヤナ(Rāmāyana)』、そしてヒンドゥー教における最高の聖典と称される『バガヴァット・ギーター(Śrīmadbhagavad gītā)』について、その概要をまとめてみました(個人的な復習の意味も含め)。  かなりザックリとしたまとめになっていますが、本記事はちょっと実験したい部分もあって、今後も随時改訂したりしていきたいと思います。 ...

インド哲学仏教学

2023/6/10

『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その2(Ⅰ・12~19)

   2回目は第1章12~19節をば。  記事一覧はコチラ→『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!(第1章~第2章11節まで)     テキスト   ①tasya saṃjanayanharṣaṃ kuruvṛddhaḥ pitāmahāḥ /  siṃhanādaṃ vinadyoccaiḥ śańkhaṃ dadhmau pratāpavān // 12 // ②tataḥ śankhaśca bheryaśca paṇavānakagomukhāḥ /  sahasaivābhyahanyanta ...

もっと見る

後鳥羽院project

2024/1/8

【隠岐ふたたび…】RE:後鳥羽院を巡るフィールドワーク~前編~

      目次 ・プロローグからの隠岐へ ・「お腰掛けの石」のこと ・隠岐の夜 ・後鳥羽院の気配 ・夕すゞみ あしの葉みだれ よる浪に        Amazon  菊帝悲歌: 小説後鳥羽院 (河出文庫)       プロローグからの隠岐へ ママ「あのね8月の隠岐の件だけど、あれ、わたしキャンセル……」    それは歳の離れたお友達、後鳥羽院単推しの例のママからの唐突な電話だった。  ママとは前年(2022)中に隠岐再訪を計画していたものの、私の身辺でのゴタゴタ続きなどで結局行けずに終わった。それゆえ今 ...

後鳥羽院project

2024/1/8

【隠岐ふたたび…】RE:後鳥羽院を巡るフィールドワーク~後編~

      前回のあらすじ  コロナ禍を経て念願の隠岐再訪を目指したワタクシ甚之助は、酷暑の中を必死の思いで隠岐・海士町に降り立った。  そして遂に、前回目の当たりにすることのできなかった後鳥羽院「お腰掛けの石」と対面する。  次いで、SNS上では長らく付き合いのある通称・元大賞さんと邂逅し、ふたたび隠岐神社・御在所&火葬塚跡へと足を踏み入れた。そこで目にしたものは「ひと夏の幻」だった……。   目次 ・पुनर्मिलाम ओकि・・・ ・キーポイント美保関 ・それからのこと   出雲国風土記 (講談社 ...

後鳥羽院project

2023/1/4

後鳥羽院『遠島御百首』私見その4~冬 十五首~

      ・その1~春 二十首~ ・その2~夏 十五首~ ・その3~秋 二十首~ ・その4~冬 十五首~ ・その5~雑 三十首(上)~ ・その6~雑 三十首(下)~       冬十五首 目次  五十六、見し世にも  五十七、冬くれば  五十八、しもがれの  五十九、かみな月  六十、をのづから  六十一、こぞよりは  六十二、そめのこし  六十三、たつた山  六十四、苔しける  六十五、冬ごもり  六十六、やまかぜの  六十七、さながらや  六十八、けさみれば  六十九、おく山の  七十、かぞふれば ...

後鳥羽院project

2019/8/10

佐渡の入江の順徳院 前編~後鳥羽院をめぐるフィールドワークその2~

      Field work on JUNTOKU Tenno[22,Oct,1197~7,Oct,1242(10,Sep,Kenkyu8~12,Sep,Ninji3):84nd emperor(reigning:1210~1221)and Retired Emperor].  He is a scholarship and the martial arts who resembles his father.  However, he was condemned to SADO due to the ...

後鳥羽院project

2024/3/19

京の都とその周辺と【RE:後鳥羽院を巡るフィールドワークその2】

      目次 プロローグ~そうだ京都へ行こう!~ 金ヶ原の裾野 私的聖地巡礼   参考文献   るるぶ京都’25 (るるぶ情報版) created by Rinker ジェイティビィパブリッシング Amazon 楽天市場   プロローグ~そうだ京都へ行こう!~    2023年末、所用をかねて上京した折、一日半ほど予定がぽっかり空いてしまった・・・。  今までならこんな時、時間が出来れば国会図書館に籠るなりネット上のつながりのある人に片っ端から連絡を入れるなりするのだが、最近はなんだかそんな ...

後鳥羽院project

2023/8/23

【ご冗談でしょ定家さん!?】『明月記』講読その2~治承四五年記②(治承四年六月~十二月)~

     今回は前回に引き続き、治承四五年記のうち治承四年六月~十二月を読んでいこうと思います。     目次 【凡例】   治承四年(一一八〇)<定家十九歳・従五位上侍従> ・遷都、決定!!(六月一日条) ・藤原定家という人(七月十五日、九月十五日、十月二十二日条) ・俊成一家でパンデミック(七月十七日~二十五日条) ・平清盛、激怒!(十一月七日条) ・姉、健御前のこと(十一月八日条) ・帝、福原より還る(十一月二十五・二十六日条) ・定家卿、叱られる(十二月二十四日条)    参考文献       【 ...

もっと見る

レポート

2025/1/3

湖に沈む「幻の橋」タウシュベツ川橋梁を行く!

     ※本記事の内容は2024年08月時点のものです。  北海道上士幌町。  大雪山東南麓に位置するこの街には、「幻の橋」と呼ばれる橋がある。正式名称・タウシュベツ川橋梁は、知る人ぞ知る北海道屈指の秘境だ(「旧国鉄士幌線コンクリートアーチ橋梁群」として北海道遺産や近代化産業遺産に認定されている。なお)。  これは2024年08月にタウシュベツ川橋梁を訪れた時のレポートです(なお見学方法はこちらから)。   300ピース ジグソーパズル KAGAYA 幻の銀河橋(北海道)-天の川とタウシュベツ川橋梁- ...

レポート

2021/2/26

【2021改訂版】ブログの更新サボってうつ病と闘ってきた

 さて今から遡ること6,7年前、メインの方で『ブログの更新サボって鬱病と闘ってきた』(現在削除済み)という記事をアップした。  公開当時はまだまだ頭もボンヤリという感じで、実際その後一年半にわたって更新も休止。その間、なんだかんだ寛解した。  寛解後は再びいろんなことにチャレンジしてみたくなったりで、結果目まぐるしい毎日を送るなか、自分がうつ病だったこともそれに関する記事をアップしたことも忘れていた。  しかし先日、メインの方で『【 鬱病 】経験者が語る! うつ病になるとできないこと5選!【 症状 】』と ...

レポート

2021/3/12

【浪人時代の思い出】アリミツ君とマコちゃんのこと。

 受験シーズンも終わりに近づき、高校・大学はじめ、いろんなところで合格発表の知らせを耳にする季節となった。  毎年この時期になると、必ず浪人していた頃のことを思い出す。  私は某大手予備校で一年間浪人生活を送り、その間は予備校付属の寮で生活していた。  花の都・TOKYOに出てきたはずが、そこはなぜか木々の緑豊かで動物の鳴き声響くところだった。    人生初の満員電車。  都心ド真ん中にある予備校校舎へ通う日々。  起きてる時は(当然)勉強漬けだったが、ときどき破目を外して寮の仲間たちと長時間語り合ってい ...

レポート

2018/8/23

銀座の老舗バー『ルパン』で呑む

 日本屈指の繁華街、東京・銀座。  和光の時計台は海外の旅行者からも人気のスポットですが、そこからほど近いところにあるのが老舗バー『ルパン』。  創業は昭和3(1928)年。開店時には当時近くにあった文藝春秋社の面々からの支援があり、以来文壇バーとして知られています。  注:本記事にはお酒にまつわる記述がありますが、飲酒を勧めるものではありません。    また、未成年の飲酒は法律で禁止されています。    成人であっても節度とマナーを守って過度な飲酒は控えましょう。    飲酒運転は絶対やめましょう。 猪 ...

レポート

2020/1/26

北区赤羽の住宅街をプラっと散歩してきましたレポ

  昨年夏に上京した折、ちょっと時間が空いたので赤羽で途中下車して住宅街を散歩してきたレポートです。  赤羽といえば最近では住んでみたい街として人気もうなぎ上りのようですが、細い路地に"せんべろ"飲み屋街と、知る人ぞ知る隠れたディープスポット密集地帯だったりする。また昨年暮れ、タレントの壇蜜さんと漫画家・清野とおるさんのご結婚が報じられた際、清野さんの地元ということでもその名が更に広まったりしたのは記憶に新しいところ。  駅付近のふざけた七福神像やホテル屋上の自由の女神像なんか特に有名ですが、今回は赤羽駅 ...

レポート

2023/6/2

あがた森魚さんの映画を見に行くin小樽【佐藤敬子先生を探して】

目次  前説  映画『佐藤敬子先生を探して』  私にとっての「あがた森魚」という人  脚注    Amazon  愛は愛とて何になる   ◎前説  8月上旬、私は農作業の傍らで北海道のローカルラジオ番組に耳を傾けていた。  その番組の一コーナーにとあるミュージシャンがゲスト出演していたのだが、なにやら熱心に口角泡を飛ばす勢いで必死に言葉を紡いでいる。件のコーナーでは、さまざまなミュージシャンのメッセージが流されたりゲスト出演した後で楽曲が放送されるのだが、その日に限ってはなかなか曲に移らない。最終的に楽曲 ...

もっと見る