感想・レビュー

2020/9/30

【読書感想】平民金子『ごろごろ、神戸。』

  ごろごろ、神戸。 平民金子 出版社:ぴあ 発売日:2019/12/10  市井をみつめる異色の子育て日記  以前紹介した『深夜高速バスに100回ぐらい乗ってわかったこと』の著者・スズキナオさんは、またの名を"平民金子"さんという。  以前は『平民新聞』というブログを運営していたが、現在は更新を止めメルカリで日記を売っている。  その平民金子さんが、自身が住まう兵庫県神戸市の広報課HPで連載していたエッセイをまとめた一冊が本書。  ベビーカーを押しながら昼飲みしつつ巡る市中。奥様の自由時間確保という名目 ...

感想・レビュー

2021/1/13

【読書感想】田村由美『ミステリと言う勿れ』

  ミステリと言う勿れ(1) 田村由美 出版社:小学館 発売日:2018/01/10  ミステリっぽいけどミステリっぽくもない、ミステリな対話編  『BASARA』などの作者・田村由美先生の話題作。  作者曰く「舞台劇をイメージ」した「閉鎖空間での会話だけ」が織り成される内容は、主人公と登場人物との対話に重点が置かれ、数あるミステリや探偵ものの小説やマンガにはない独特の世界観を描き出している。  主人公はどこにでもいる大学生……ではなく、名前も髪型も趣味趣向もどこかちょっと風変わりで、いうなれば"不思議ち ...

感想・レビュー

2021/9/8

【読書感想】石井千湖『文豪たちの友情』

  文豪たちの友情 石井千湖 出版社:新潮社(新潮文庫) 発売日:2021/08/30  面白いけど時には泣ける、文豪たちの交友録  日本近代文学を彩る数々の文豪たち。そんな彼らの交友関係を紹介してくれる本書は、名作として名高い彼らの作品に感じる難さを離れたあまりに人間臭い一面を伝えてくれる。  文豪に関して、そのエピソードやプライベートを語る書籍は今までも数多く出版されてきているが、"交友関係"という側面にフォーカスされたものはそう多くはない。ただ、本書もそう銘打っておきながら実際は個々の作家のエピソー ...

感想・レビュー

2026/4/23

【読書感想】R.P.ファインマン『困ります、ファインマンさん』

  困ります、ファインマンさん R.P.ファインマン 著 / 大貫昌子 訳 出版社:岩波書店(岩波現代文庫 社会 29) 発売日:2001/01/16 他の人が考えていることなんて気にしてられない  昨年、原著刊行40周年を記念し新装版が出た『ご冗談でしょう、ファインマンさん』。同書の続きとしてファインマンの回想をもとに執筆されたのが本書である。先日、ひょんなことから前作と併せて再読した。  ノーベル物理学賞受賞者であるファインマンの経歴を知る人も多いと思うのでwikipedeiaなどに譲るが、その生涯に ...

感想・レビュー

2018/7/25

【読書感想】吉田洋一『零の発見』(岩波新書)

 まともな記事の一発目はやはり書評かなと思い、そうします。  で、やっぱりその一冊目に選ぶならこれにしようかと思います。 吉田洋一『零の発見』岩波新書    言わずと知れた岩波新書屈指の名著。    本書は表題ともなっている“零(0)の発見”と“直線を切る-連続の問題-”という数学の分野において根底をなす二点に対し、単に数学的な意味合いを解説するにとどまらず、その起源や変遷、または革命的な邂逅などの歴史的な軌跡をなぞるものだ。  初版は1939年だが、21世紀と称して久しい今日においても内容は極めて新鮮の ...

感想・レビュー

2018/7/25

【読書感想】高野悦子『二十歳の原点』

     高校の時、担任や教科担当ではなかったけれど比較的気の合う先生がいた。  ある日他愛もないことを話していた折になんの前触れもなく「君みたいな人の日記だから読んでみるといい」と言われた。同時にその前段となる『ノート』『序章』があることも教えてくれたが、当時最寄りの大型書店で手に入ったのは新潮文庫版の『二十歳の原点』のみだった。他の2冊は絶版の状態だった。  学生紛争がこの国で一番盛んだった頃、一人の女学生が自殺した。当時立命館大学に通っていた高野悦子、その人だ。彼女が一体何に悩み不安を抱えていたのか ...

もっと見る

感想・レビュー インド哲学仏教学

2024/3/24

【読書感想】ヴィヤーサ著・石原美里訳『邦訳マハーバーラタ 寡妃の巻』

  邦訳マハーバーラタ 寡妃の巻 created by Rinker Amazon 楽天市場  邦訳マハーバーラタ 寡妃の巻 ヴィヤーサ 著 / 石原美里 訳 出版社:パブファンセルフ 発売日:2024/01/29 愛する者を失った悲しみと屈辱  インドの二大叙事詩『マハーバーラタ』と『ラーマーヤナ』。そのうち『マハーバーラタ』(以下MBh)の第11巻「Strī-Parvan」の日本語訳注本。  MBhの日本語完訳は未だなされていない。故上村勝彦博士による翻訳は、急逝のため第8巻途中までにとどま ...

インド哲学仏教学 感想・レビュー

2024/1/5

【読書感想】清水俊史『ブッダという男 初期仏典を読みとく』

ブッダという男 ――初期仏典を読みとく (ちくま新書) created by Rinker Kindle Amazon 楽天市場   ブッダという男 初期仏典を読みとく 清水俊文 出版社:筑摩書房(ちくま新書1763) 発売日:2023/12/07 人間・ブッダは何を語っていたのか  ネット上を一時騒然とさせた仏教学界隈のアカハラ問題。その渦中にあった著者による「あとがき」が脚光を浴び、本書は刊行直後からベストセラーとなっている。若干そればかりが注目され独り歩きしている感は否めないが、本書は内容 ...

インド哲学仏教学

2023/6/10

『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その2(Ⅰ・12~19)

   2回目は第1章12~19節をば。  記事一覧はコチラ→『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!(第1章~第2章11節まで)     テキスト   ①tasya saṃjanayanharṣaṃ kuruvṛddhaḥ pitāmahāḥ /  siṃhanādaṃ vinadyoccaiḥ śańkhaṃ dadhmau pratāpavān // 12 // ②tataḥ śankhaśca bheryaśca paṇavānakagomukhāḥ /  sahasaivābhyahanyanta ...

インド哲学仏教学

2023/6/10

『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その4(Ⅰ・31~39)

       4回目は第1章31~39節。  記事一覧はコチラ→『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!(第1章~第2章11節まで)       テキスト   ①nimittāni ca paśyāmi viparītāni keśava /  na ca śreyo'nupaśyāmi hatvā svajanamāhave // 31 // ②na kāṅkṣe vijayaṃ kṛṣṇa na ca rājyaṃ sukhāni ca /  kiṃ no rājyena govinda kiṃ bh ...

インド哲学仏教学

2023/6/13

【ゆる解説】『「バガヴァッドギーター」原典訳してみた』補遺

『マハーバーラタ』におけるクルクシェートラの戦いを描いた18世紀の写本(A Tribute to Hinduismより)      目次  ・人名用語解説  ・超要約「バガヴァッドギーター」  ・「ギーター」こぼれ話し  参考文献    ※本編はコチラから!        Amazon  いちばんていねいでいちばん易しいインド哲学 超入門『バガヴァッド・ギーター』       人名用語解説(第1章~第2章11節に限る) ・アシュヴァッターマン:ドローナの長男。カウラヴァ軍の勇士。 ・アナンタヴィジャヤ:ユ ...

インド哲学仏教学

2023/6/10

『バガヴァッドギータ―』原典訳してみた!その1(Ⅰ・1~11)

 さて『バガヴァッドギータ―』原典訳してみた!の一回目は第1章1~11節までです。  今回扱うテキストについては前説編を参照のこと。 テキスト   ①dhṛtarāṣṭra uvāca /  dharmakṣetre kurukṣetre samavetā yuyutsavaḥ /  māmakāḥ pāṇḍavāścaiva kimakurvata saṃjaya // 1 // ②saṃjaya uvāca /  dṛṣṭvā tu pāṇḍavānīkam vyūḍhaṃ duryodhanasta ...

もっと見る

後鳥羽院project

2024/1/8

【隠岐ふたたび…】RE:後鳥羽院を巡るフィールドワーク~後編~

      前回のあらすじ  コロナ禍を経て念願の隠岐再訪を目指したワタクシ甚之助は、酷暑の中を必死の思いで隠岐・海士町に降り立った。  そして遂に、前回目の当たりにすることのできなかった後鳥羽院「お腰掛けの石」と対面する。  次いで、SNS上では長らく付き合いのある通称・元大賞さんと邂逅し、ふたたび隠岐神社・御在所&火葬塚跡へと足を踏み入れた。そこで目にしたものは「ひと夏の幻」だった……。   目次 ・पुनर्मिलाम ओकि・・・ ・キーポイント美保関 ・それからのこと   出雲国風土記 (講談社 ...

後鳥羽院project

2018/11/6

後鳥羽院を巡るフィールドワーク【大原御陵・水無瀬神宮・隠岐】

後鳥羽院 第二版 後鳥羽院 (コレクション日本歌人選)  Field work on Go-Toba Tenno[6,Aug,1180~28,Mar,1239(14,Jul,Jisho4~22,Feb,enoh1):82nd emperor(reigning:1183~1198)and Retired Emperor].  He was also a master of Waka(Waka is Japanese traditional poetry) in Japan medieval history. ...

後鳥羽院project

2021/10/28

藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿 その3(元久2年~建永元年)

     後鳥羽院の姿を記録する主な公家日記  (甚之助蔵 九条兼実『玉葉』国書刊行会、明治39年刊。九条道家『玉蘂』今川文雄校訂、思文閣出版、昭和59年刊)   ・【運命の四の宮】藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿 序奏   ・その1 治承4年~建仁元年(第1巻)   ・その2 建仁2年~元久元年(第1巻)   ・その3 元久2年~建永元年(第1巻)   ・その4 承元元年~承元2年(第2巻)   ・その5 建暦元年~建暦2年(第2巻)   ・その6 建保元年~建保6年(第2巻)   ・その7 承久元 ...

後鳥羽院project

2019/8/10

佐渡の入江の順徳院 前編~後鳥羽院をめぐるフィールドワークその2~

      Field work on JUNTOKU Tenno[22,Oct,1197~7,Oct,1242(10,Sep,Kenkyu8~12,Sep,Ninji3):84nd emperor(reigning:1210~1221)and Retired Emperor].  He is a scholarship and the martial arts who resembles his father.  However, he was condemned to SADO due to the ...

後鳥羽院project

2019/8/15

【佐渡の秘境!!】順徳院崩御の地・堂所御所跡へ【佐渡の入江の順徳院 後編】

 Field work on JUNTOKU Tenno[22,Oct,1197~7,Oct,1242(10,Sep,Kenkyu8~12,Sep,Ninji3):84nd emperor(reigning:1210~1221)and Retired Emperor].  Click here for the part1  前編はこちら   ↓↓↓↓  佐渡の入江の順徳院 前編~後鳥羽院をめぐるフィールドワークその2~      パパ・後鳥羽院譲りの文武両道の逸材      目次  前説  堂所御所跡へ ...

後鳥羽院project

2022/12/15

後鳥羽院『遠島御百首』私見その1~春 ニ十首~

      ・その1~春 二十首~ ・その2~夏 十五首~ ・その3~秋 二十首~ ・その4~冬 十五首~ ・その5~雑 三十首(上)~ ・その6~雑 三十首(下)~       はじめに・・・  私を後鳥羽院がらみの研究(?)に誘った例のママは、最近は以前にもまして悠々自適の生活をしているらしい。なんでも「野垂れ死にが理想の死に方」なのだそうで、いまだ某ウイルスの話題に事欠かない昨今ながら、全国各地を転々と飛び回っているらしい。  そんなママから最初に後鳥羽院の話しをもらった時、見せられたノートがあった ...

もっと見る

レポート

2020/1/26

北区赤羽の住宅街をプラっと散歩してきましたレポ

  昨年夏に上京した折、ちょっと時間が空いたので赤羽で途中下車して住宅街を散歩してきたレポートです。  赤羽といえば最近では住んでみたい街として人気もうなぎ上りのようですが、細い路地に"せんべろ"飲み屋街と、知る人ぞ知る隠れたディープスポット密集地帯だったりする。また昨年暮れ、タレントの壇蜜さんと漫画家・清野とおるさんのご結婚が報じられた際、清野さんの地元ということでもその名が更に広まったりしたのは記憶に新しいところ。  駅付近のふざけた七福神像やホテル屋上の自由の女神像なんか特に有名ですが、今回は赤羽駅 ...

レポート

2021/3/12

【浪人時代の思い出】アリミツ君とマコちゃんのこと。

 受験シーズンも終わりに近づき、高校・大学はじめ、いろんなところで合格発表の知らせを耳にする季節となった。  毎年この時期になると、必ず浪人していた頃のことを思い出す。  私は某大手予備校で一年間浪人生活を送り、その間は予備校付属の寮で生活していた。  花の都・TOKYOに出てきたはずが、そこはなぜか木々の緑豊かで動物の鳴き声響くところだった。    人生初の満員電車。  都心ド真ん中にある予備校校舎へ通う日々。  起きてる時は(当然)勉強漬けだったが、ときどき破目を外して寮の仲間たちと長時間語り合ってい ...

レポート 後鳥羽院project

2022/2/24

【とはずがたり】「『明月記』の後鳥羽院」よもやま話

       調査・研究に用いているノート。    「藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿」調査中の机の上w   目次  ・きっかけ  ・隠岐、集中豪雨  ・愛憎半ば、悲喜交々 その1  ・愛憎半ば、悲喜交々 その2  ・ママ、クルマにはねられる  ・『吉記』のこと  ・青天の霹靂  ・ママ、怒る!  ・老いたる定家と後鳥羽院  ・拝啓、藤原定家さま    Amazon  夢のなかぞら―父 藤原定家と後鳥羽院   ・きっかけ   「まあ、またなんとも面白そうなことを……」        2021年春、私は ...

レポート

2019/6/22

オッサンだから今話題の『DEOCO』使ってみましたレポw

     ※個人的な感想です。効果には個人差があります(多分)。      どうも、基本的に口と腋と足が臭く“哀しい臭い”と書いて男の『哀臭(あいしゅう)』を漂わせている甚之助です。見事にオッサンです。    さて、昨今巷のオッサンたちの間では   ●リアル君の名は。おっさんが女の子の匂いを買ってきて身につけたら、たまらない背徳感を味わえた (わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる)   ●デオコで女の子の匂いを感じるためには女の子との思い出が必要という問題 (本しゃぶり)  これらの記事を皮 ...

レポート

2022/8/20

【今日もご安全に】ドラレコ買ったからつけてみた!

 北海道はすっかり冬景色となりましたが、さて、だいぶん前から新しいドラレコをつけようつけようと思っていてなかなかできなかったのを、先日やっと取り付けましたという報告がてら、今回購入したドラレコのレビューなんぞ書こうかという次第。        今回購入したのはこちらのドラレコ。    Amazon  Tapewo【最新版】 4.3インチタミラー型ドライブレコーダー 前後カメラ    ミラータイプでバックカメラ付き、画質はフルHD1080P。    内容物はこんな感じ。    ・本体  ・バックカメラ  ・ ...

レポート

2023/6/2

あがた森魚さんの映画を見に行くin小樽【佐藤敬子先生を探して】

目次  前説  映画『佐藤敬子先生を探して』  私にとっての「あがた森魚」という人  脚注    Amazon  愛は愛とて何になる   ◎前説  8月上旬、私は農作業の傍らで北海道のローカルラジオ番組に耳を傾けていた。  その番組の一コーナーにとあるミュージシャンがゲスト出演していたのだが、なにやら熱心に口角泡を飛ばす勢いで必死に言葉を紡いでいる。件のコーナーでは、さまざまなミュージシャンのメッセージが流されたりゲスト出演した後で楽曲が放送されるのだが、その日に限ってはなかなか曲に移らない。最終的に楽曲 ...

もっと見る