感想・レビュー

2020/9/27

【読書感想】斎藤毅『数学原論』

  数学原論 斎藤毅 出版社:東京大学出版会 発売日:2020/04/13  学部レベルのほとんどの分野を網羅する数学界の新たなる"魔導書"  『数学原論』といえばブルバキの全37巻7000ページ超のそれがあまりにも有名だが、本書はそのタイトルを拝借し、圏論の視点から現代数学がもつポテンシャルを読み説こうと試みる意欲的な一冊。  しかし、はっきりいって内容は非常にハイレベルなものとなっている。学部で学ぶほぼ全ての分野について網羅的に説明がされているが、まず目次を見て「あ、ここはあの分野のあそこをこんな感じ ...

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2022/11/28

【読書感想】『しょせん他人事ですから ~とある弁護士の本音の仕事~』

  しょせん他人事ですから ~とある弁護士の本音の仕事~ 富士屋カツヒト・画 左藤真通・原作 清水陽平・監修 出版社:白泉社(ヤングアニマルコミックス) 発売日:2022/08/29  しょせん他人事ですから ~とある弁護士の本音の仕事~ 2 しょせん他人事ですから ~とある弁護士の本音の仕事~ 3  誠実な仕事とはなにか?  インターネット上の誹謗中傷やデマ。SNS全盛の昨今、現実世界でも無視し難い問題になってきているのは周知のことだろう。  本作品は、ネット上でのトラブルに強い弁護士と依頼人とが織り成 ...

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2022/2/18

【読書感想】小田全宏『頭がいい人の脳の使い方 記憶力を高める8つのメソッド』

  頭がいい人の脳の使い方―――記憶力を高める8つのメソッド 小田全宏 出版社:あさ出版 発売日:2020/02/06 これからの時代だからこそ必要な力  一昔前なら人間は脳のほとんどを活用していないといわれていたが、近年の脳科学の研究などでそれは否定されている。  また脳の良し悪しは遺伝によって決まるといった話しも、科学的な根拠がある一方で後天的環境からの影響が大きいことも分かってきている。  加齢によって記憶力が低下するという半ば常識的な話しさえ、昨今は否定されている。つまり、脳はいつでも鍛えることが ...

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2022/1/28

【読書感想】高槻泰郎『大坂堂島米市場 江戸幕府vs市場経済』

  大坂堂島米市場 江戸幕府vs市場経済 高槻泰郎 出版社:講談社(講談社現代新書) 発売日:2018/07/19 世界最古の先物取引所、その実情  金融の歴史について書かれた本はあまたあるが、本書はその中でも先物取引の祖といわれる大坂・堂島米市場に関する最新の研究成果を報告してくれる良書である。  金融市場の暴走、それは現代に生きる我々もまた経験しているところだが、今のようにネット環境はおろか人力以外の情報伝達手段がない中でいかに証券的市場を形成したか、著者は豊富な史料をもとに解説してくれている。図版の ...

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2023/6/17

【読書感想】にしおかすみこ『ポンコツ一家』

  ポンコツ一家 にしおかすみこ 出版社:講談社 発売日:2023/01/20 ある芸人の面白くて辛い家族の群像  いわゆる「一発屋芸人」は数多くいても、SM女王の姿でテレビ画面に颯爽と登場し一世を風靡した「にしおかすみこ」という芸人は特異だ。過激な見た目とは裏腹な線の細い声質とにじみ出る真面目さが相俟って、視聴者の記憶に強烈な印象を与えてまたたくまにブレイクした。  そんなにしおかさんが自身の家族の姿をつづった本書。Web連載に書き下ろしを追加してまとめられたものだ。  認知症の母、ダウン症の姉、酔っぱ ...

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2021/1/13

【読書感想】田村由美『ミステリと言う勿れ』

  ミステリと言う勿れ(1) 田村由美 出版社:小学館 発売日:2018/01/10  ミステリっぽいけどミステリっぽくもない、ミステリな対話編  『BASARA』などの作者・田村由美先生の話題作。  作者曰く「舞台劇をイメージ」した「閉鎖空間での会話だけ」が織り成される内容は、主人公と登場人物との対話に重点が置かれ、数あるミステリや探偵ものの小説やマンガにはない独特の世界観を描き出している。  主人公はどこにでもいる大学生……ではなく、名前も髪型も趣味趣向もどこかちょっと風変わりで、いうなれば"不思議ち ...

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インド哲学仏教学

2023/6/10

『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その5(Ⅰ・40~47)

       5回目は第1章40~47節  記事一覧はコチラ→『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!(第1章~第2章11節まで)       テキスト   ①kulakṣaye praṇaśyanti kuladharmāḥ sanātanāḥ /  dharme naṣṭe kulaṃ kṛtsnamadharmo'bhibhavatyuta // 40 // ②adharmābhibhavātkṛṣṇa praduṣyanti kulastriyaḥ /  strīṣu duṣṭāsu vārṣṇe ...

インド哲学仏教学

2023/6/10

『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その4(Ⅰ・31~39)

       4回目は第1章31~39節。  記事一覧はコチラ→『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!(第1章~第2章11節まで)       テキスト   ①nimittāni ca paśyāmi viparītāni keśava /  na ca śreyo'nupaśyāmi hatvā svajanamāhave // 31 // ②na kāṅkṣe vijayaṃ kṛṣṇa na ca rājyaṃ sukhāni ca /  kiṃ no rājyena govinda kiṃ bh ...

感想・レビュー インド哲学仏教学

2024/3/24

【読書感想】ヴィヤーサ著・石原美里訳『邦訳マハーバーラタ 寡妃の巻』

  邦訳マハーバーラタ 寡妃の巻 created by Rinker Amazon 楽天市場  邦訳マハーバーラタ 寡妃の巻 ヴィヤーサ 著 / 石原美里 訳 出版社:パブファンセルフ 発売日:2024/01/29 愛する者を失った悲しみと屈辱  インドの二大叙事詩『マハーバーラタ』と『ラーマーヤナ』。そのうち『マハーバーラタ』(以下MBh)の第11巻「Strī-Parvan」の日本語訳注本。  MBhの日本語完訳は未だなされていない。故上村勝彦博士による翻訳は、急逝のため第8巻途中までにとどま ...

感想・レビュー インド哲学仏教学

2024/1/5

【読書感想】清水俊史『ブッダという男 初期仏典を読みとく』

ブッダという男 ――初期仏典を読みとく (ちくま新書) created by Rinker Kindle Amazon 楽天市場   ブッダという男 初期仏典を読みとく 清水俊文 出版社:筑摩書房(ちくま新書1763) 発売日:2023/12/07 人間・ブッダは何を語っていたのか  ネット上を一時騒然とさせた仏教学界隈のアカハラ問題。その渦中にあった著者による「あとがき」が脚光を浴び、本書は刊行直後からベストセラーとなっている。若干そればかりが注目され独り歩きしている感は否めないが、本書は内容 ...

インド哲学仏教学

2023/6/10

『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その2(Ⅰ・12~19)

   2回目は第1章12~19節をば。  記事一覧はコチラ→『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!(第1章~第2章11節まで)     テキスト   ①tasya saṃjanayanharṣaṃ kuruvṛddhaḥ pitāmahāḥ /  siṃhanādaṃ vinadyoccaiḥ śańkhaṃ dadhmau pratāpavān // 12 // ②tataḥ śankhaśca bheryaśca paṇavānakagomukhāḥ /  sahasaivābhyahanyanta ...

インド哲学仏教学

2023/6/13

【ゆる解説】『「バガヴァッドギーター」原典訳してみた』補遺

『マハーバーラタ』におけるクルクシェートラの戦いを描いた18世紀の写本(A Tribute to Hinduismより)      目次  ・人名用語解説  ・超要約「バガヴァッドギーター」  ・「ギーター」こぼれ話し  参考文献    ※本編はコチラから!        Amazon  いちばんていねいでいちばん易しいインド哲学 超入門『バガヴァッド・ギーター』       人名用語解説(第1章~第2章11節に限る) ・アシュヴァッターマン:ドローナの長男。カウラヴァ軍の勇士。 ・アナンタヴィジャヤ:ユ ...

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後鳥羽院project

2022/9/20

【運命の四の宮】藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿 序奏

 本稿は、後鳥羽院生前の出来事のうち、院のその後の人生に影響を与えたであろう事柄を、公卿日記をはじめとした史料より抽出したものである。  注意事項として、記事内の各天皇および院の呼称は省略している。また本稿タイトルの「運命の四の宮」は、目崎徳衛『史伝後鳥羽院』の一節による。   ・その1 治承4年~建仁元年(第1巻)   ・その2 建仁2年~元久元年(第1巻)   ・その3 元久2年~建永元年(第1巻)   ・その4 承元元年~承元2年(第2巻)   ・その5 建暦元年~建暦2年(第2巻)   ・その6  ...

後鳥羽院project

2021/12/8

藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿 その5(建暦元年~建暦2年)

     後鳥羽院の姿を記録する主な公家日記3  (甚之助蔵 『源家長日記』風間書房、昭和60年。『続史料大成21 伯家五代記』臨川書店、昭和42年。藤原長兼『増補史料大成31 三長記』臨川書房、昭和40年。藤原経房『史料大成22・23 吉記』内外書籍、昭和10年)   ・【運命の四の宮】藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿 序奏   ・その1 治承4年~建仁元年(第1巻)   ・その2 建仁2年~元久元年(第1巻)   ・その3 元久2年~建永元年(第1巻)   ・その4 承元元年~承元2年(第2巻) ...

後鳥羽院project

2018/11/6

後鳥羽院を巡るフィールドワーク【大原御陵・水無瀬神宮・隠岐】

後鳥羽院 第二版 後鳥羽院 (コレクション日本歌人選)  Field work on Go-Toba Tenno[6,Aug,1180~28,Mar,1239(14,Jul,Jisho4~22,Feb,enoh1):82nd emperor(reigning:1183~1198)and Retired Emperor].  He was also a master of Waka(Waka is Japanese traditional poetry) in Japan medieval history. ...

後鳥羽院project

2021/12/17

藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿 その7 承久元年~嘉禎元年・その後(第2・3巻)

     後鳥羽院像に迫るための資料  (甚之助蔵 『大日本史料』第4輯、東京大学史料編纂所、昭和43年)   ・【運命の四の宮】藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿 序奏   ・その1 治承4年~建仁元年(第1巻)   ・その2 建仁2年~元久元年(第1巻)   ・その3 元久2年~建永元年(第1巻)   ・その4 承元元年~承元2年(第2巻)   ・その5 建暦元年~建暦2年(第2巻)   ・その6 建保元年~建保6年(第2巻)   ・その7 承久元年~嘉禎元年・その後(第2・3巻) 目次 ●藤原定家 ...

後鳥羽院project

2023/1/15

後鳥羽院『遠島御百首』私見その5~雑 三十首(上)~

      ・その1~春 二十首~ ・その2~夏 十五首~ ・その3~秋 二十首~ ・その4~冬 十五首~ ・その5~雑 三十首(上)~ ・その6~雑 三十首(下)~       雑三十首(上) 目次  七十一、いにしへの  七十二、をきわびぬ  七十三、とへかしな  七十四、もしほやく  七十五、かもめなく  七十六、なみまゆく  七十七、しほかぜに  七十八、さととをみ  七十九、とはるゝも  八十、ながき夜を  八十一、あかつきの  八十二、とにかくに  八十三、すぎにける  八十四、夕月夜  八十 ...

後鳥羽院project

2021/12/8

藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿 その6(建保元年~建保6年)

     後鳥羽院像に迫るための資料  (甚之助蔵 『宸記集』藝林社、昭和49年。田邑二枝『海士町史』海士町役場、昭和49年)   ・【運命の四の宮】藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿 序奏   ・その1 治承4年~建仁元年(第1巻)   ・その2 建仁2年~元久元年(第1巻)   ・その3 元久2年~建永元年(第1巻)   ・その4 承元元年~承元2年(第2巻)   ・その5 建暦元年~建暦2年(第2巻)   ・その6 建保元年~建保6年(第2巻)   ・その7 承久元年~嘉禎元年・その後(第2・3巻 ...

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レポート

2022/8/20

小型ジンバルカメラ『DJI Pocket2』導入してみた!

 ここでは正式に報告していませんでしたが、Youtube始めてました(笑)  cf,ゆーちゅーぶはじめました。 - jinnosuke-labo on Youtube  そこで今回撮影用機材として、VLOG等に特化したジンバルカメラ『DJI Pocket2』を購入したのでそのレビューなんかをササっと書いてみたいと思います。    このDJI Pocket2は、手軽に使えるポケットジンバルとして話題になった『DJI Osmo Pocket』の後継機になります。    Amazon  【国内正規品】 DJI ...

レポート

2019/2/6

【溢れ出る昭和感】新宿の老舗食堂・長野屋で定食を食べる。

 さて昨年末に上京していた折、久々に行ってみたのでサクッとレポートです。都内住のころ新宿界隈で用事があるとき、食事時なり小腹が空いたときなどにちょいちょい食べにきていたお店。   あのころangle 街と地図の大特集1979新宿・池袋・吉祥寺・中央線沿線編 Kindle版 風景は記憶の順にできていく      新宿駅東南口を出てすぐ。様々な飲食店がひしめく新宿の街のなかでひときわ異彩を放っているのがここ「長野屋」。        この建物に見覚えのある方も多いはず。  こちらの長野屋さんはその外観からもわ ...

レポート

2021/3/12

【浪人時代の思い出】アリミツ君とマコちゃんのこと。

 受験シーズンも終わりに近づき、高校・大学はじめ、いろんなところで合格発表の知らせを耳にする季節となった。  毎年この時期になると、必ず浪人していた頃のことを思い出す。  私は某大手予備校で一年間浪人生活を送り、その間は予備校付属の寮で生活していた。  花の都・TOKYOに出てきたはずが、そこはなぜか木々の緑豊かで動物の鳴き声響くところだった。    人生初の満員電車。  都心ド真ん中にある予備校校舎へ通う日々。  起きてる時は(当然)勉強漬けだったが、ときどき破目を外して寮の仲間たちと長時間語り合ってい ...

レポート

2021/2/26

【2021改訂版】ブログの更新サボってうつ病と闘ってきた

 さて今から遡ること6,7年前、メインの方で『ブログの更新サボって鬱病と闘ってきた』(現在削除済み)という記事をアップした。  公開当時はまだまだ頭もボンヤリという感じで、実際その後一年半にわたって更新も休止。その間、なんだかんだ寛解した。  寛解後は再びいろんなことにチャレンジしてみたくなったりで、結果目まぐるしい毎日を送るなか、自分がうつ病だったこともそれに関する記事をアップしたことも忘れていた。  しかし先日、メインの方で『【 鬱病 】経験者が語る! うつ病になるとできないこと5選!【 症状 】』と ...

レポート

2020/6/26

【谷根千の終着駅】由緒正しい下町食堂『動坂食堂』で食す!

       ※2019年12月に訪問した折りの記事です!  さて以前、本家の方で谷根千の散歩レポートを書いた際、千駄木・団子坂のところで「近くの動坂下にある『動坂食堂』がオススメ」みたいなこともあわせて書きましたが、今回は"やっと"件の『動坂食堂』に再訪できたので、その時のレポートです。  cf,谷根千を歩く。    谷根千を歩く。【おまけ編】    Amazon  新版 谷根千ちいさなお店散歩    さてまず個人的な思い出なのですが、東京に住んでいた頃、ここ『動坂食堂』さんの近くに住んでいたこともあっ ...

レポート

2019/10/20

佐渡島をブラっと散歩してきましたレポ~後鳥羽院をめぐるフィールドワークその2 おまけ編~

 今回は本当におまけ編w  サムネ画像は、佐渡汽船の看板娘・カーフェリー三人娘の(左から)「あかねちゃん」「ときわちゃん」「おけさちゃん」。    それぞれ佐渡汽船のフェリーがモチーフ。ちなみに「おけさちゃん」が長女。「あかねちゃん」が末っ子とのこと。めんこいwww    Amazon  10 地球の歩き方JAPAN 島旅 佐渡 ブラタモリ 9 平泉 新潟 佐渡 広島 宮島      さて、【佐渡の入江の順徳院 後編】で『堂所御所跡』へ行ってきた後で、フェリーまでに相当な時間があったので「さてママ、どーし ...

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