【読書感想】日経コンピュータほか『みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史 史上最大のITプロジェクト「3度目の正直」』

 
 みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史 史上最大のITプロジェクト「3度目の正直」
 日経コンピュータ,山端宏実,岡部一詩,中田敦,大和田尚孝,谷島宣之

 出版社:日経BP
 発売日:2020/02/14
 

 日本のIT業界における歴史的大プロジェクト。そこから見える組織論とシステム論。

 
 1999年、旧第一勧業銀行・旧富士銀行・旧日本興業銀行の三行が経営統合を発表し、2002年の新銀行設立を目指した。
 しかしその当初からさまざまなシステムトラブルに見舞われ、2011年の東日本大震災後の大規模なシステム障害は致命的な爪痕を残した。
 それを契機に、東京スカイツリー7本分の資金、総工数35万人月、1000社におよぶ参加ベンダーを導入し、新システム構築を目指した一大プロジェクトがはじまった。「IT業界のサグラダファミリア」と揶揄されたこのプロジェクトは、約8年もの時間を要した。

 今年はじめに発売され、その直後に重版がかかるなど話題を呼んだ本書。
 三行統合時の経営陣によるIT軽視と知識不足そして問題の先送り、各部門間の連携不足、度重なる増改築を経てブラックボックス化した古いシステムの長期運用など、そこに垣間見える社内の禍根は他人事ではない。
 しかし本書全体を通して、問題の掘り下げや当時の現場の克明な記述があるわけでもないので臨場感に欠ける。
 平易にかつわかりやすく書かれた「プロジェクトX」という感じの読み物としては良いと思うが、全3部のうち後半の2部は前作(『システム障害はなぜ二度起きたか みずほ、12年の教訓』)をほぼ再掲しているにすぎない。
 また、社内政治に左右されない立場で書かれてあるがゆえに淡々とした書き口だが、どこか”後出し・上から目線”という印象を受ける。
 総じて読むべき真新しいことがない、というのが個人的な感想。
 わたし自身、当の2002年に必要あってみずほ銀行に口座をもったのだが、その当時も「システムトラブルがさ~」などと人口に膾炙していたが、その裏側でこんなことが起こっていたのかと、若干思い出を懐かしむ風に読めないこともなかったが。……

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 システム障害はなぜ二度起きたか みずほ、12年の教訓

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