感想・レビュー

2021/12/28

【読書感想】文春オンライン特集班『娘の遺体は凍っていた 旭川女子中学生イジメ凍死事件』

  娘の遺体は凍っていた 旭川女子中学生イジメ凍死事件 文春オンライン特集班 出版社:文藝春秋 発売日:2021/09/10 同じ悲劇を二度と繰り返さないために……  今年3月、凍死体として発見された廣瀬爽彩さん。学校でのイジメを苦にした自殺。  その後、この事件は大々的に報じられ、それは海外でも取り上げられるほどだった。そこにメスを入れた文春オンラインによる取材手記。    正直、読んでいても胸糞悪くなる事件の真相である。  普段なら芸能人のゴシップをすっぱ抜くなど、良い意味でも悪い意味でも存在意義を示 ...

感想・レビュー

2024/5/24

【読書感想】岡田利規『掃除機』

掃除機 created by Rinker 白水社 Amazon 楽天市場  掃除機 岡田利規 出版社:白水社 発売日:2023/03/16 日本語、その可能性とは?  正直なところ、自分は本書をどう批評するかの言葉を持っていない。  そもそも戯曲である以上、そこで扱われる言葉は舞台上で評価されるべきだと思うし、その舞台の礎としての台本であるにせよ読み物として本書を扱うべきなのか否か、迷うところである。それ以前に、本書に収録されている作品は日本語で書かれたものでありながら、初演はすべて海外でその ...

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2023/5/21

【読書感想】樺沢紫苑『言語化の魔力 言葉にすれば「悩み」は消える』

  言語化の魔力 言葉にすれば「悩み」は消える 樺沢紫苑 出版社:幻冬舎 発売日:2022/11/09 「不安」を打ち消すためにいまできること  言わずと知れた精神科医・樺沢紫苑先生の著書。内容的には、数々の動画で語られてきたことを総編集したような体裁になっている。裏を返せば、それだけ不安や悩みを解消する方法を求めている人が多いことでもある。  「不安」や「悩み」を受け流すためにどういう手法があるか、本書では取り組みやすい形で明示・羅列している。だが注意しておきたいのは、自らの感情を言語化できない人が言語 ...

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2022/2/19

【読書感想】宇山卓栄『「民族」で読み解く世界史』

  「民族」で読み解く世界史 宇山卓栄 出版社:日本実業出版社 発売日:2018/01/25 "民族"というダイナミズムの見えざる壁    学び直しや教養と銘打って国内外の歴史を解説する書籍は、近年溢れかえっている。  本書はその中でも「民族」という言語・文化・慣習などの社会的特徴からカテゴライズされる集団を基軸に、これまで歩んできた人類の歴史を紐解いている。    本書の特徴的な部分は、ヨーロッパや東アジアの歴史にちょい足しで周辺部の歴史を解説することなく、中央アジアやアフリカなどかなり広い視点に立って ...

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2022/9/20

【読書感想】鈴木宣弘『農業消滅 農政の失敗がまねく国家存亡の危機』

  農業消滅 農政の失敗がまねく国家存亡の危機 鈴木宣弘 出版社:平凡社(平凡社新書) 発売日:2021/07/19 日本国民が知るべき日本の現状  現在、日本の農業界が陥っている危機的状況。これを克明に記し暴露した問題作。  日本における農業問題は、担い手不足や耕作放棄地などこれまでも様々に語られてきた。昨今はTPPをはじめとした国際的な枠組みの中で、農作物の輸出入など新たな問題も浮上している。  ではそのなにが問題なのか?  著者は、日本は農薬・添加物・遺伝子組み換え作物の輸入を「世界一」許容した国だ ...

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2021/4/16

【読書感想】ゲオルギー・システマスキー『人生は楽しいかい?』

  人生は楽しいかい? ゲオルギー・システマスキー 著 / 北川 貴英 監修 出版社:夜間飛行 発売日:2016/06/20 ロシア軍格闘術・システマ、それはロシア版ヨーガ  ロシア生まれの武術・システマをご存知だろうか?  武道や格闘技に興味のある人なら一度ならず名前を聞いたことがあるだろう。  近年その注目度が増しているシステマという一武術の奥義が、本書では遺憾なく開陳されている。  内容も以前紹介した『もしアドラーが上司だったら』のようなストーリー仕立てになっており、親しみやすい。  流暢な関西弁を ...

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インド哲学仏教学

2023/6/10

『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その2(Ⅰ・12~19)

   2回目は第1章12~19節をば。  記事一覧はコチラ→『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!(第1章~第2章11節まで)     テキスト   ①tasya saṃjanayanharṣaṃ kuruvṛddhaḥ pitāmahāḥ /  siṃhanādaṃ vinadyoccaiḥ śańkhaṃ dadhmau pratāpavān // 12 // ②tataḥ śankhaśca bheryaśca paṇavānakagomukhāḥ /  sahasaivābhyahanyanta ...

感想・レビュー インド哲学仏教学

2024/3/24

【読書感想】ヴィヤーサ著・石原美里訳『邦訳マハーバーラタ 寡妃の巻』

  邦訳マハーバーラタ 寡妃の巻 created by Rinker Amazon 楽天市場  邦訳マハーバーラタ 寡妃の巻 ヴィヤーサ 著 / 石原美里 訳 出版社:パブファンセルフ 発売日:2024/01/29 愛する者を失った悲しみと屈辱  インドの二大叙事詩『マハーバーラタ』と『ラーマーヤナ』。そのうち『マハーバーラタ』(以下MBh)の第11巻「Strī-Parvan」の日本語訳注本。  MBhの日本語完訳は未だなされていない。故上村勝彦博士による翻訳は、急逝のため第8巻途中までにとどま ...

インド哲学仏教学

2023/6/13

『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その6(Ⅱ・1~11)

       6回目は第2章1~11節  記事一覧はコチラ→『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!(第1章~第2章11節まで)       テキスト   ①sañjaya uvāca /  taṃ tathā kṛpayāviṣṭam aśrupūrṇākulekṣaṇam /  viṣīdantam idaṃ vākyam uvāca madhusūdanaḥ // 1 // ②śrībhagavān uvāca /  kutastvā kaśmalam idaṃ viṣame samupasthit ...

インド哲学仏教学

2020/5/21

『般若心経』をサンスクリット原典で読む!

 多分日本で一番有名な仏教経典である『般若心経』は、正式には『般若波羅蜜多心経』と呼ばれ、今から1600年以前、サンスクリット語で書かれた『Prajñāpāramitā-hṛdaya-sūtram』を漢訳したものだ。  そもそも『般若心経』は、仏になるために菩薩が行う修行・知恵(般若波羅蜜・般若波羅蜜多)を説く『般若経』という経典群の中のひとつで、大乗仏教の根本思想である"空"の思想を簡潔にまとめている。そのため、漢訳されたものもその短い文言の中で大乗仏教の根幹が説かれているとされ、多くの宗派で今なお用い ...

インド哲学仏教学

2023/6/13

【ゆる解説】『「バガヴァッドギーター」原典訳してみた』補遺

『マハーバーラタ』におけるクルクシェートラの戦いを描いた18世紀の写本(A Tribute to Hinduismより)      目次  ・人名用語解説  ・超要約「バガヴァッドギーター」  ・「ギーター」こぼれ話し  参考文献    ※本編はコチラから!        Amazon  いちばんていねいでいちばん易しいインド哲学 超入門『バガヴァッド・ギーター』       人名用語解説(第1章~第2章11節に限る) ・アシュヴァッターマン:ドローナの長男。カウラヴァ軍の勇士。 ・アナンタヴィジャヤ:ユ ...

インド哲学仏教学

2023/6/10

インド二大叙事詩とヒンドゥー教の聖典について

【改訂記録】 ・2021/02/24 「あらすじ」欄に各巻・章のタイトル追記。   前説  インドの二大叙事詩『マハーバーラタ(Mahābhāratam)』と『ラーマーヤナ(Rāmāyana)』、そしてヒンドゥー教における最高の聖典と称される『バガヴァット・ギーター(Śrīmadbhagavad gītā)』について、その概要をまとめてみました(個人的な復習の意味も含め)。  かなりザックリとしたまとめになっていますが、本記事はちょっと実験したい部分もあって、今後も随時改訂したりしていきたいと思います。 ...

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後鳥羽院project

2024/3/19

京の都とその周辺と【RE:後鳥羽院を巡るフィールドワークその2】

      目次 プロローグ~そうだ京都へ行こう!~ 金ヶ原の裾野 私的聖地巡礼   参考文献   るるぶ京都’25 (るるぶ情報版) created by Rinker ジェイティビィパブリッシング Amazon 楽天市場   プロローグ~そうだ京都へ行こう!~    2023年末、所用をかねて上京した折、一日半ほど予定がぽっかり空いてしまった・・・。  今までならこんな時、時間が出来れば国会図書館に籠るなりネット上のつながりのある人に片っ端から連絡を入れるなりするのだが、最近はなんだかそんな ...

後鳥羽院project

2023/7/28

【ご冗談でしょ定家さん!?】『明月記』講読その1~治承四五年記①(治承四年二月~五月)~

       以前公開した『藤原定家「明月記」にみる後鳥羽院の姿』シリーズをやっていた頃から、いつかは『明月記』自体の講読もやりたいと考えていた。  ただ、当の『明月記』が難解極まりないことと、明月記研究会はじめ堀田善衛御大などさまざまな研究者や愛読者がすでに多くの著作や論文を出している。またネット記事なんかでもあちらこちらで書かれていることもあって、「今さら自分がブログ上でやってもなぁ・・・」と二の足を踏んでいた。  とはいえ相変わらずの性と言おうか、思いついたんだからやってみようかしらと、最近になって ...

レポート 後鳥羽院project

2022/2/24

【とはずがたり】「『明月記』の後鳥羽院」よもやま話

       調査・研究に用いているノート。    「藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿」調査中の机の上w   目次  ・きっかけ  ・隠岐、集中豪雨  ・愛憎半ば、悲喜交々 その1  ・愛憎半ば、悲喜交々 その2  ・ママ、クルマにはねられる  ・『吉記』のこと  ・青天の霹靂  ・ママ、怒る!  ・老いたる定家と後鳥羽院  ・拝啓、藤原定家さま    Amazon  夢のなかぞら―父 藤原定家と後鳥羽院   ・きっかけ   「まあ、またなんとも面白そうなことを……」        2021年春、私は ...

後鳥羽院project

2023/1/30

後鳥羽院『遠島御百首』私見その6~雑 三十首(下)~

(綱掛の松 隠岐・海士町 2018年08月甚之助撮影)     ・その1~春 二十首~ ・その2~夏 十五首~ ・その3~秋 二十首~ ・その4~冬 十五首~ ・その5~雑 三十首(上)~ ・その6~雑 三十首(下)~       雑三十首(下) 目次  八十六、日にそひて  八十七、何となく  八十八、人ごゝろ  八十九、みほのうらの  九十、たとふべき  九十一、はれやらぬ  九十二、うしとだに  九十三、ことづてむ  九十四、とにかくに  九十五、ふるさとの  九十六、おもふ人  九十七、われこそは ...

後鳥羽院project

2022/12/22

後鳥羽院『遠島御百首』私見その2~夏 十五首~

      ・その1~春 二十首~ ・その2~夏 十五首~ ・その3~秋 二十首~ ・その4~冬 十五首~ ・その5~雑 三十首(上)~ ・その6~雑 三十首(下)~       夏十五首 目次  二十一、けふとてや  二十二、ふるさとを  二十三、たをやめの  二十四、暮かゝる  二十五、あやめふく  二十六、いまはとて  二十七、五月雨に  二十八、さみだれに  二十九、難波江や  三十、あはれにも  三十一、ゆふだちの  三十二、夕すゞみ  三十三、したくゆる  三十四、くれたけの  三十五、見るか ...

後鳥羽院project

2022/9/20

崇徳院と土御門院を巡る四国~後鳥羽院をめぐるフィールドワークその4 最終回~

 保元の乱の首謀者として讃岐に流された崇徳院。そしてその曾姪孫(甥の孫)にあたり、承久の乱で流された父・後鳥羽院、弟・順徳院の身の上を憂い、自ら懇願し阿波に流された土御門院。この二人を追ったレポート。  Field work on SUTOKU Tenno & TSUCHIMIKADO Tenno.  SUTOKU Tenno[1,Jul,1119~14,Sep,1164(28,May,Genei2~26,Aug,Chokan2):75nd emperor(reigning:1123~1142)and R ...

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レポート

2021/3/12

【浪人時代の思い出】アリミツ君とマコちゃんのこと。

 受験シーズンも終わりに近づき、高校・大学はじめ、いろんなところで合格発表の知らせを耳にする季節となった。  毎年この時期になると、必ず浪人していた頃のことを思い出す。  私は某大手予備校で一年間浪人生活を送り、その間は予備校付属の寮で生活していた。  花の都・TOKYOに出てきたはずが、そこはなぜか木々の緑豊かで動物の鳴き声響くところだった。    人生初の満員電車。  都心ド真ん中にある予備校校舎へ通う日々。  起きてる時は(当然)勉強漬けだったが、ときどき破目を外して寮の仲間たちと長時間語り合ってい ...

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2018/12/25

夏目漱石『こころ』の散歩道

 「日本で一番売れている」本(2016年時点)  cf,漱石没後100年、人気衰えず 書店で文庫フェア   夏目漱石『こころ』(新潮文庫版)  夏目漱石後期三部作の一つ『こころ』。  その中でも第三章にあたる「下 先生と遺書」は今でも高校の教科書に掲載されている。  あらすじに関しては……長くなるので以下のサイトに譲ります。   cf,夏目漱石「こころ」のあらすじを紹介  さて、主人公の『私』が鎌倉で出会った『先生』は、学生時代に現在の文京区小石川にある伝通院裏で下宿していたのですが、物語のキーパーソンで ...

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2023/6/2

あがた森魚さんの映画を見に行くin小樽【佐藤敬子先生を探して】

目次  前説  映画『佐藤敬子先生を探して』  私にとっての「あがた森魚」という人  脚注    Amazon  愛は愛とて何になる   ◎前説  8月上旬、私は農作業の傍らで北海道のローカルラジオ番組に耳を傾けていた。  その番組の一コーナーにとあるミュージシャンがゲスト出演していたのだが、なにやら熱心に口角泡を飛ばす勢いで必死に言葉を紡いでいる。件のコーナーでは、さまざまなミュージシャンのメッセージが流されたりゲスト出演した後で楽曲が放送されるのだが、その日に限ってはなかなか曲に移らない。最終的に楽曲 ...

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2023/4/15

【妖怪博士の遺産】中野区立哲学堂公園を歩く!

       Amazon  史上最強の哲学入門 Kindle版        2023年3月、3年前から世界を席巻した某ウイルスの流行も収まりをみせ、久々に(本格的な)上京しました。そのときブラっと『中野区立哲学堂公園』に立ち寄ったので、その時のレポートです。ひさびさの散歩記事。  さて、哲学堂公園への行き方は複数ありますが、今回は都営大江戸線落合南長崎駅から(その他のルートは記事末に記載します)。  A1出口から都道440号線・新青梅街道を西に向かって歩く。          途中、なんのご縁かこんな ...

レポート

2021/2/26

【2021改訂版】ブログの更新サボってうつ病と闘ってきた

 さて今から遡ること6,7年前、メインの方で『ブログの更新サボって鬱病と闘ってきた』(現在削除済み)という記事をアップした。  公開当時はまだまだ頭もボンヤリという感じで、実際その後一年半にわたって更新も休止。その間、なんだかんだ寛解した。  寛解後は再びいろんなことにチャレンジしてみたくなったりで、結果目まぐるしい毎日を送るなか、自分がうつ病だったこともそれに関する記事をアップしたことも忘れていた。  しかし先日、メインの方で『【 鬱病 】経験者が語る! うつ病になるとできないこと5選!【 症状 】』と ...

レポート 考察

2023/6/3

【私的愛用品】ツバメノート「KB4」考

      目次  ・「KB4」のココに注目!  ・「KB4」今昔物語  ・私的使用法         大分前に本家の方で書いた「私の文房具【私の本棚 余談】」でチラッと紹介した私愛用のノートについて、ここ10年来でいろいろ変わって変化があったのでそこを深堀りしてみようと思います。時代の流れというのか、発展でありまた淋しくもある変化の詳細です。  件のシリーズ「私の本棚」も、あれ以来書斎の模様替えなど相俟って、今では本棚に並ぶ背表紙も大分変わりました。昨今は専門とするインド哲学仏教学と、ここ数年かかずらわ ...

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