感想・レビュー

2023/5/21

【読書感想】樺沢紫苑『言語化の魔力 言葉にすれば「悩み」は消える』

  言語化の魔力 言葉にすれば「悩み」は消える 樺沢紫苑 出版社:幻冬舎 発売日:2022/11/09 「不安」を打ち消すためにいまできること  言わずと知れた精神科医・樺沢紫苑先生の著書。内容的には、数々の動画で語られてきたことを総編集したような体裁になっている。裏を返せば、それだけ不安や悩みを解消する方法を求めている人が多いことでもある。  「不安」や「悩み」を受け流すためにどういう手法があるか、本書では取り組みやすい形で明示・羅列している。だが注意しておきたいのは、自らの感情を言語化できない人が言語 ...

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2020/7/16

【読書感想】ヘンリー・ジェイ・プリスビロー『意識と感覚のない世界――実のところ、麻酔科医は何をしているのか』

  意識と感覚のない世界――実のところ、麻酔科医は何をしているのか ヘンリー・ジェイ・プリスビロー 著 小田嶋由美子 訳  勝間田敬弘 監修 出版社:みすず書房 発売日:2019/12/16 麻酔科医という謎多き医師の仕事とは? 現場から見えてくる人間模様  著者は長年にわたり何千件という全身麻酔を伴う手術に立ち会ってきたその道のスペシャリスト。しかも、麻酔を施す上でも技術と経験が必要とされる小児科専門の麻酔科医。  最近解明されたようだが、全身麻酔でなぜ人が意識を失うのかついてのメカニズムは科学的には長 ...

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2022/1/25

【読書感想】ひすいこたろう『あした死ぬかもよ? 人生最後の日に笑って死ねる27の質問 名言セラピー』

  あした死ぬかもよ? 人生最後の日に笑って死ねる27の質問 名言セラピー ひすいこたろう 出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン 発売日:2012/12/26 人生最後の日に笑っていられるように  以前紹介した清水研『もしも一年後、この世にいないとしたら。』とも多少関連する内容の一冊だが、『もしも一年後~』が死に直面した患者と接する医師の視点から書かれているのに対し、本書は晩年を迎え「死」を意識しはじめた人の視点から描かれている。  人生の終盤、多くの人は自らの人生を振り返って「もっと冒険しておけばよ ...

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2024/7/28

【読書感想】赤信号わたる『全てを筋肉で解決する童話』

全てを筋肉で解決する童話 created by Rinker Kindle Amazon 楽天市場  全てを筋肉で解決する童話 赤信号わたる 出版社:双葉社 発売日:2024/03/21 筋肉筋肉、やっぱ筋肉!  近年の筋トレブームと相俟って「筋肉はすべてを解決する」という言葉も巷を賑わせている。その言葉をそのまま童話の世界に当てはめたらというコンセプトで描かれた本書は、2023年刊行『筋肉童話~読むプロテイン~』に書き下ろしを加え再編集されたものだ。  結論、タイトル通りすべての結末で筋肉によ ...

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2019/10/28

【読書感想】『つながりっぱなしの日常を生きる ソーシャルメディアが若者にもたらしたもの』

  つながりっぱなしの日常を生きる ソーシャルメディアが若者にもたらしたもの ダナ・ボイド 著  野中モモ 訳 出版社;草思社 発売日:2014/10/09   若者にとっての"社会=公(パブリック)"とインターネットに対する親子間の認識のギャップ、その背景にあるもの。  少しラフな感じを受けるタイトル。そしてキャッチ―な表紙イラスト。  副題の「ソーシャルメディアが若者にもたらしたもの」という言葉から分かる通り、本書はインターネット、その中でも特に若者によるSNS利用について、その背景にある問題や影響な ...

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2022/9/22

【読書感想】ピエール・バイヤール『読んでいない本について堂々と語る方法』

  読んでいない本について堂々と語る方法 ピエール・バイヤール 著 / 大浦康介 訳 出版社:筑摩書房(ちくま学芸文庫) 発売日:20216/10/06 実はムズカシイ"読まない"技術  知る人ぞ知る世界的名(迷?)著。人を食ったようなタイトルながら、中身は実に硬派。  大学で教鞭をとる著者は、職業柄日々膨大な書物や論文と格闘している。専門は精神分析とのことだが、本書は近代フランス文学の話題を中心として「読まずにコメントするという経験」について語られている。特に秀逸なのは、引用あるいは参考文献として挙げら ...

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インド哲学仏教学

2023/6/10

『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その5(Ⅰ・40~47)

       5回目は第1章40~47節  記事一覧はコチラ→『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!(第1章~第2章11節まで)       テキスト   ①kulakṣaye praṇaśyanti kuladharmāḥ sanātanāḥ /  dharme naṣṭe kulaṃ kṛtsnamadharmo'bhibhavatyuta // 40 // ②adharmābhibhavātkṛṣṇa praduṣyanti kulastriyaḥ /  strīṣu duṣṭāsu vārṣṇe ...

インド哲学仏教学

2023/6/10

『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その4(Ⅰ・31~39)

       4回目は第1章31~39節。  記事一覧はコチラ→『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!(第1章~第2章11節まで)       テキスト   ①nimittāni ca paśyāmi viparītāni keśava /  na ca śreyo'nupaśyāmi hatvā svajanamāhave // 31 // ②na kāṅkṣe vijayaṃ kṛṣṇa na ca rājyaṃ sukhāni ca /  kiṃ no rājyena govinda kiṃ bh ...

インド哲学仏教学

2020/5/21

『般若心経』をサンスクリット原典で読む!

 多分日本で一番有名な仏教経典である『般若心経』は、正式には『般若波羅蜜多心経』と呼ばれ、今から1600年以前、サンスクリット語で書かれた『Prajñāpāramitā-hṛdaya-sūtram』を漢訳したものだ。  そもそも『般若心経』は、仏になるために菩薩が行う修行・知恵(般若波羅蜜・般若波羅蜜多)を説く『般若経』という経典群の中のひとつで、大乗仏教の根本思想である"空"の思想を簡潔にまとめている。そのため、漢訳されたものもその短い文言の中で大乗仏教の根幹が説かれているとされ、多くの宗派で今なお用い ...

インド哲学仏教学

2023/6/10

インド二大叙事詩とヒンドゥー教の聖典について

【改訂記録】 ・2021/02/24 「あらすじ」欄に各巻・章のタイトル追記。   前説  インドの二大叙事詩『マハーバーラタ(Mahābhāratam)』と『ラーマーヤナ(Rāmāyana)』、そしてヒンドゥー教における最高の聖典と称される『バガヴァット・ギーター(Śrīmadbhagavad gītā)』について、その概要をまとめてみました(個人的な復習の意味も含め)。  かなりザックリとしたまとめになっていますが、本記事はちょっと実験したい部分もあって、今後も随時改訂したりしていきたいと思います。 ...

感想・レビュー インド哲学仏教学

2024/3/24

【読書感想】ヴィヤーサ著・石原美里訳『邦訳マハーバーラタ 寡妃の巻』

  邦訳マハーバーラタ 寡妃の巻 created by Rinker Amazon 楽天市場  邦訳マハーバーラタ 寡妃の巻 ヴィヤーサ 著 / 石原美里 訳 出版社:パブファンセルフ 発売日:2024/01/29 愛する者を失った悲しみと屈辱  インドの二大叙事詩『マハーバーラタ』と『ラーマーヤナ』。そのうち『マハーバーラタ』(以下MBh)の第11巻「Strī-Parvan」の日本語訳注本。  MBhの日本語完訳は未だなされていない。故上村勝彦博士による翻訳は、急逝のため第8巻途中までにとどま ...

インド哲学仏教学

2023/6/10

『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その2(Ⅰ・12~19)

   2回目は第1章12~19節をば。  記事一覧はコチラ→『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!(第1章~第2章11節まで)     テキスト   ①tasya saṃjanayanharṣaṃ kuruvṛddhaḥ pitāmahāḥ /  siṃhanādaṃ vinadyoccaiḥ śańkhaṃ dadhmau pratāpavān // 12 // ②tataḥ śankhaśca bheryaśca paṇavānakagomukhāḥ /  sahasaivābhyahanyanta ...

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後鳥羽院project

2022/9/20

【運命の四の宮】藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿 序奏

 本稿は、後鳥羽院生前の出来事のうち、院のその後の人生に影響を与えたであろう事柄を、公卿日記をはじめとした史料より抽出したものである。  注意事項として、記事内の各天皇および院の呼称は省略している。また本稿タイトルの「運命の四の宮」は、目崎徳衛『史伝後鳥羽院』の一節による。   ・その1 治承4年~建仁元年(第1巻)   ・その2 建仁2年~元久元年(第1巻)   ・その3 元久2年~建永元年(第1巻)   ・その4 承元元年~承元2年(第2巻)   ・その5 建暦元年~建暦2年(第2巻)   ・その6  ...

後鳥羽院project

2021/12/7

藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿 その4(承元元年~承元2年)

     後鳥羽院の姿を記録する主な公家日記2  (甚之助蔵 藤原家実『猪隈関白記』岩波書店、昭和62年第2刷)   ・【運命の四の宮】藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿 序奏   ・その1 治承4年~建仁元年(第1巻)   ・その2 建仁2年~元久元年(第1巻)   ・その3 元久2年~建永元年(第1巻)   ・その4 承元元年~承元2年(第2巻)   ・その5 建暦元年~建暦2年(第2巻)   ・その6 建保元年~建保6年(第2巻)   ・その7 承久元年~嘉禎元年・その後(第2・3巻) 目次 ●藤 ...

後鳥羽院project レポート

2022/2/24

【とはずがたり】「『明月記』の後鳥羽院」よもやま話

       調査・研究に用いているノート。    「藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿」調査中の机の上w   目次  ・きっかけ  ・隠岐、集中豪雨  ・愛憎半ば、悲喜交々 その1  ・愛憎半ば、悲喜交々 その2  ・ママ、クルマにはねられる  ・『吉記』のこと  ・青天の霹靂  ・ママ、怒る!  ・老いたる定家と後鳥羽院  ・拝啓、藤原定家さま    Amazon  夢のなかぞら―父 藤原定家と後鳥羽院   ・きっかけ   「まあ、またなんとも面白そうなことを……」        2021年春、私は ...

後鳥羽院project

2023/1/15

後鳥羽院『遠島御百首』私見その5~雑 三十首(上)~

      ・その1~春 二十首~ ・その2~夏 十五首~ ・その3~秋 二十首~ ・その4~冬 十五首~ ・その5~雑 三十首(上)~ ・その6~雑 三十首(下)~       雑三十首(上) 目次  七十一、いにしへの  七十二、をきわびぬ  七十三、とへかしな  七十四、もしほやく  七十五、かもめなく  七十六、なみまゆく  七十七、しほかぜに  七十八、さととをみ  七十九、とはるゝも  八十、ながき夜を  八十一、あかつきの  八十二、とにかくに  八十三、すぎにける  八十四、夕月夜  八十 ...

後鳥羽院project

2018/11/6

後鳥羽院を巡るフィールドワーク【大原御陵・水無瀬神宮・隠岐】

後鳥羽院 第二版 後鳥羽院 (コレクション日本歌人選)  Field work on Go-Toba Tenno[6,Aug,1180~28,Mar,1239(14,Jul,Jisho4~22,Feb,enoh1):82nd emperor(reigning:1183~1198)and Retired Emperor].  He was also a master of Waka(Waka is Japanese traditional poetry) in Japan medieval history. ...

後鳥羽院project

2021/12/8

藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿 その6(建保元年~建保6年)

     後鳥羽院像に迫るための資料  (甚之助蔵 『宸記集』藝林社、昭和49年。田邑二枝『海士町史』海士町役場、昭和49年)   ・【運命の四の宮】藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿 序奏   ・その1 治承4年~建仁元年(第1巻)   ・その2 建仁2年~元久元年(第1巻)   ・その3 元久2年~建永元年(第1巻)   ・その4 承元元年~承元2年(第2巻)   ・その5 建暦元年~建暦2年(第2巻)   ・その6 建保元年~建保6年(第2巻)   ・その7 承久元年~嘉禎元年・その後(第2・3巻 ...

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レポート 考察

2023/6/3

【私的愛用品】ツバメノート「KB4」考

      目次  ・「KB4」のココに注目!  ・「KB4」今昔物語  ・私的使用法         大分前に本家の方で書いた「私の文房具【私の本棚 余談】」でチラッと紹介した私愛用のノートについて、ここ10年来でいろいろ変わって変化があったのでそこを深堀りしてみようと思います。時代の流れというのか、発展でありまた淋しくもある変化の詳細です。  件のシリーズ「私の本棚」も、あれ以来書斎の模様替えなど相俟って、今では本棚に並ぶ背表紙も大分変わりました。昨今は専門とするインド哲学仏教学と、ここ数年かかずらわ ...

レポート

2020/1/26

北区赤羽の住宅街をプラっと散歩してきましたレポ

  昨年夏に上京した折、ちょっと時間が空いたので赤羽で途中下車して住宅街を散歩してきたレポートです。  赤羽といえば最近では住んでみたい街として人気もうなぎ上りのようですが、細い路地に"せんべろ"飲み屋街と、知る人ぞ知る隠れたディープスポット密集地帯だったりする。また昨年暮れ、タレントの壇蜜さんと漫画家・清野とおるさんのご結婚が報じられた際、清野さんの地元ということでもその名が更に広まったりしたのは記憶に新しいところ。  駅付近のふざけた七福神像やホテル屋上の自由の女神像なんか特に有名ですが、今回は赤羽駅 ...

レポート

2023/7/8

【23区唯一の渓谷】等々力からめぐる東京古墳散歩♪

       Amazon  私のオアシス 等々力渓谷       ※今年(2023年)03月にした散歩です。        例のウイルスも収まりをみせ、所用をかねて上京した折、長い付き合いの知人家族から「朝食でも食べにおいでよ~」とお誘いを受けたので、散歩がてら東京・世田谷区から大田区にかけての多摩川沿いを歩きました。  件の知人宅は東急東横線の多摩川駅が最寄りなのですが、今回は大井町線等々力駅からの出発。        早朝だから人通りもまばら。そういえばこの駅前も再開発云々でいろいろ変わってたな。 ...

レポート

2021/3/12

【浪人時代の思い出】アリミツ君とマコちゃんのこと。

 受験シーズンも終わりに近づき、高校・大学はじめ、いろんなところで合格発表の知らせを耳にする季節となった。  毎年この時期になると、必ず浪人していた頃のことを思い出す。  私は某大手予備校で一年間浪人生活を送り、その間は予備校付属の寮で生活していた。  花の都・TOKYOに出てきたはずが、そこはなぜか木々の緑豊かで動物の鳴き声響くところだった。    人生初の満員電車。  都心ド真ん中にある予備校校舎へ通う日々。  起きてる時は(当然)勉強漬けだったが、ときどき破目を外して寮の仲間たちと長時間語り合ってい ...

レポート

2023/6/2

あがた森魚さんの映画を見に行くin小樽【佐藤敬子先生を探して】

目次  前説  映画『佐藤敬子先生を探して』  私にとっての「あがた森魚」という人  脚注    Amazon  愛は愛とて何になる   ◎前説  8月上旬、私は農作業の傍らで北海道のローカルラジオ番組に耳を傾けていた。  その番組の一コーナーにとあるミュージシャンがゲスト出演していたのだが、なにやら熱心に口角泡を飛ばす勢いで必死に言葉を紡いでいる。件のコーナーでは、さまざまなミュージシャンのメッセージが流されたりゲスト出演した後で楽曲が放送されるのだが、その日に限ってはなかなか曲に移らない。最終的に楽曲 ...

レポート

2018/12/25

夏目漱石『こころ』の散歩道

 「日本で一番売れている」本(2016年時点)  cf,漱石没後100年、人気衰えず 書店で文庫フェア   夏目漱石『こころ』(新潮文庫版)  夏目漱石後期三部作の一つ『こころ』。  その中でも第三章にあたる「下 先生と遺書」は今でも高校の教科書に掲載されている。  あらすじに関しては……長くなるので以下のサイトに譲ります。   cf,夏目漱石「こころ」のあらすじを紹介  さて、主人公の『私』が鎌倉で出会った『先生』は、学生時代に現在の文京区小石川にある伝通院裏で下宿していたのですが、物語のキーパーソンで ...

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