【読書感想】カイザー・ファング『ヤバい統計学』
ヤバい統計学 カイザー・ファング 著 / 矢羽野 薫 訳 出版社:CCCメディアハウス 発売日:2011/02/19 統計データからなにを読み取りどう分析するのか、統計的思考の重要性を説いた名著 2011年に翻訳が出版されて以降、今なお統計学あるいは統計的思考の最高の入門書として名高い本書。 ・データの「ばらつき」への注目 ・実用性の優先 因果・相関の関係性 ・似たもの同士を比べる際の対応 ・2種類の間違いの相殺 ・稀な事象の取り扱い方 統計学におけるこの重要な5つのテーマについて、 ...
【読書感想】大島正二『漢字伝来』
漢字伝来 大島正二 出版社:岩波書店(岩波新書) 発売日:2006/08/18 古代日本における漢字の受容と日本語への変遷を辿る歴史書 「さすが岩波新書!」と雄叫びを挙げたくなる良書。泣く子も黙る岩波新書だと感嘆せざるを得ない。 中国伝来の漢字と出会って以来、古代の日本人が試行錯誤を繰り返すなかで次第に日本語への置換がすすみ、かな文字を完成していく過程が克明に解説されている。 言語構造も音韻体系も異なる漢字の受容がいかに困難な作業であったか、現存するものが少ないとはいえ可能な限り当時の史料( ...
【読書感想】赤松利市『鯖』
赤松利市 鯖 出版社:徳間書店 発売日:2018/07/21 伝説の一本釣漁師たちをめぐる"欲"にまみれた愛憎劇 海の雑賀衆― 独自の釣法でその名を轟かせた紀州生まれの伝説の漁師集団は、戦国時代の傭兵集団「雑賀衆」に例えられそう呼ばれた。 しかしその技術も時代の趨勢とともに多く需要されるものではなくなり、いつしか知る人ぞ知るという存在に成り果てていた。 最後に残された5人が行き着いたのは北陸の小さな小島だった。 本作はそんな背景をもとに描き出された作者初の長編小説。 読み終えての感想は ...
令和の時代に鎌倉幕府に思いを馳せてみた~後鳥羽院をめぐるフィールドワークその3~
Field work on KAMAKURA Shogunate around the Jokyu war age. 2019年末、例の後鳥羽院単推しの通称ママとの取材旅行の前に、ひとりブラっと古都・鎌倉に残る承久の乱関連の史蹟を巡ってきましたというレポ。 目次 ・切通しのこと ・冬の由比ガ浜 ・承久の乱を彩った人々の眠る場所と日蓮の消息 ・鶴岡八幡宮と承久の乱 参考文献 Amazon図説 鎌倉府 新版改訂 鎌倉観光文化検定 公式テキストブック 切通しのこと 平安時代末、栄華を極めた平家の ...
【読書感想】『名言 中原中也』
名言 中原中也 出版社:彩図社 発売日:2010/11/24 不世出の詩人・中原中也の心象風景に触れる詩編 本家の羅列ニュースのコメントなどで時々書いているが、わたしは太宰治が嫌いだ。 正確には太宰はじめ無頼派作家の生き様が好きではない、といったところだ。彼らの私生活は破天荒そのもの。それでいて至極マットウなことを語っている。無頼漢な生き様とは裏腹に、その内面は実に真面目で確固たる信念がある。そこが彼らの魅力そのものなのだろうけど、個人的に到底受け入れられない。不良の格好をした好人物は、結局のところ ...
【読書感想】Joshua Higuchi『ベテルギウス』
ベテルギウス Joshua Higuchi 出版社:幻冬舎 発売日:2019/11/28 地球からもっとも輝いて見える恒星。その終末を巡る理論派SF 夜空を見上げてみえる星空の中、もっとも輝いて見える恒星がオリオン座のベテルギウスだといわれている。 また数年来、その輝きの減光が取りざたされ、今や超新星爆発寸前の星とも言われている。 多少物理学に興味のある人ならその異様さが分かると思うが、現在確認できるベテルギウスの形態は雪だるまのようにいびつな形をしている。 このことがなにを意味しているのか ...
【読書感想】増田奏『住まいの解剖図鑑』
住まいの解剖図鑑 増田 奏 出版社:エクスナレッジ 発売日:2009/11/20 建築士の頭の中。心地よい住まいを実現するための「平面のトポロジー」 二十歳そこそこの頃、飲み屋で一緒になった建築デザイナーに「建築ってのは法律に雁字搦めにされてるようなもんなんだ」といった話しを滔々と聞かされながらお酒を飲んでいたことがあった。 「法律に雁字搦め」にされているという点については、当時世間を賑わせていた耐震偽装の問題等を考えるにつけてすぐに合点がいった。 一方、テレビでたびたびリフォームものの番組を観 ...
【読書感想】久我勝利『死を考える100冊の本』
死を考える100冊の本 久我勝利 出版社:致知出版社 発売日:2012/11/15 「死」を考えるとはどういうことか? を考えるための読書案内 「死」とはなにか? このことへの見解は人それぞれさまざまの回答が存在しうることは想像に難くない。 そしてそれは現代にあるのと同様、過去さまざまなひとびとがそれぞれに多彩な論を展開してきた。 これといった答えがない問いだからこそ、また自分自身が今生きているその裏側であるが故に、古来よりひとびとの興味を誘って仕方ないのだろう。 本書はそんな「死」にま ...
【読書感想】おかざき真里『かしましめし』
かしましめし おかざき真里 出版社:祥伝社 発売日:2017/09/08 アラサー女二人とひとりの男。実生活で負った傷を癒してくれるのはおいしいご飯。 美大出身の仲良し三人組が織り成すご飯系マンガだが、一見普通に見えても三者三様に一筋縄ではいかない事情を抱えているヒューマンドラマともいえるこの作品。 なぜタイトルが『かしましめし』なのかは読んで推してはかるべしという感じだが、設定もストーリーもどれもが素直でやさしい印象を受ける。 多少ネタバレになるが、本作品の中心を担う三人は会社や恋愛はじめ社会 ...


