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【読書感想】さけハラス『私は今、旅をしています。』

 
 私は今、旅をしています。
 さけハラス

 出版社:実業之日本社
 発売日:2019/11/08

現代社会の喧騒の中、忘れてしまっていた日本の原風景に「再会」する

 謎の組織から謎の指令を受け旅に出る少女の旅物語。
 正直、設定もあらすじもどうでもいいと感じたけれど、写真加工×イラストのエキスパート・さけハラス氏が描き出す風景画いちまい一枚には、まるで自分がその光景を目の当たりにしているかと錯覚するほどに引き込まれた。
 全国津々浦々の風景。私もかつて訪れたことのある場所もかなりあったが、そのいずれもが二次元と三次元のちょうど狭間に立ち現れているような不思議な感覚に陥るイラストはかなり幻想的だ。
 なにより、その一つひとつがどこか懐かしい趣きを湛えている。
 
 テレビをつければ世知辛い話題。周囲を見渡せば心曇るような人間関係。
 
 かつて寺山修司は「書を捨てよ街に出よう」と書いたが、本書を読んで、ふと、「日常を捨てよ、旅に出よう」と呟かざるを得なかった。
 旅自体は非日常そのものだが、それが度重なればまた日常となる。しかし、その日常がルーティンで終わってしまうか、日々新たな発見を得るものなのかで、そこから学べるものは大いに違うだろう。
 "旅"を経てなにと巡り合うのか?
 本書はそのことへの真摯な回答を用意していない。だがそれがミソだ。
 過去の思い出とこれからの未来。旅とはその両方と邂逅することなのかもしれない。

 ……取り留めもない書き方になってしまったが、ひとつ、これだけは言える。
 どのページ、どの一枚を見ても、心揺さぶる風景とカワイイ女の子がいるw
 いや、いろんな意味で目の保養になるとはこのことかと思ってしまったりしまわなかったり。……旅に郷愁、カワイイ女の子に萌えって、単に私がすっかりオッサンになっただけの話しなんだが。

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