【読書感想】宮口幸治『ケーキの切れない非行少年たち』

 
 ケーキの切れない非行少年たち
 宮口幸治

 出版社:新潮社(新潮新書)
 発売日:2019/07/12

今まで見過ごされてきた非行少年たちが抱えていた問題と、その解決への道筋

 センセーショナルなタイトルと、帯に付された異様な絵。
 精神科医である著者が少年院に法務技官として勤務していた際、実際に目の当たりにしたものだという。
 犯罪を犯した少年たち。かれらをそうした行動に向けさせたのは、家庭や学校といった社会的環境だけではなく、もっと根深い問題だった。

 昨今「発達障害」という言葉を耳にするようになって久しい。認知や言語など、子どもに限らず大人であってもそうした障害に悩まされているひとの話しをよく耳にする。
 犯罪に走ろうとするあるいは走ってしまった”非行少年”たちと数多く出会った著者は、その中で感じた「反省する以前のなにか」をこの発達障害の問題に見いだしている。
 脳科学などの分野が進展したことで明るみになってきた発達障害の実際。これまで教育の現場では見過ごされてきたが故に、健常者とも障害者ともされず、周囲から理解されないままに苦悩してきた子どもたちがいかに大勢いたのかという実態。
 本来ならば彼らは支援を必要としていたといわれれば、暗に犯罪を犯した者と糾弾するだけでは終わらせられない。彼らの言動の水面下にある事象、その解決が果たされなければなにも進展していかない現状。
 著者は同じ主張を本書で何度も繰り返しているが、それはこの問題がいかに深刻で重大であるか、警鐘の意を込め急務で議論されるべきだとすることの現れなのだろう。

 著者はまた、認知機能の力を伸ばすトレーニングである「コグトレ」の考案者だ。「コグトレ」は全国的に導入する学校も増えている。そういう点からしても、本書は教育現場でこそ読まれるべきだ。
 一筋縄では理解できない犯罪。そのニュース報道などに触れるにつけて、見方や感じ方も大きく変わることだろう。
 
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 発達障害 僕にはイラつく理由がある!

 

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