jinnosuke

『ねと見!』の管理人です。
昭和の終わりの方に北海道で生まれる。 専攻は哲学(インド哲学・仏教学)。 趣味は読書と散歩。愛読書は辞書。

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インド哲学仏教学/後鳥羽院と定家さん

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感想・レビュー

2026/4/18

【読書感想】松下隼士『オーロラの下、北極で働く』

  オーロラの下、北極で働く 松下隼士 出版社:雷鳥社 発売日:2025/03/01 極地で出会った「生きる」ことの輝き  ノルウェー領スヴァールバル諸島にある世界最北の町・ロングイェールビン。そこから更に100kmほど北上したところにあるニーオルスンは、民間人が定住する場所としては世界最北に位置する町だが、その実際は世界中の極地研究者が集うサイエンスタウンである。  日本の国立極地研究所もここに基地を設けており、本書は観測のほかさまざまな業務を行う「観測技術者」として長期滞在した著者の当時の日記をもとに ...

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2026/3/30

【読書感想】小林昌樹『立ち読みの歴史』

  立ち読みの歴史 小林昌樹 出版社:早川書房(ハヤカワ新書) 発売日:2025/04/23 「読む」ことの歴史  『調べる技術: 国会図書館秘伝のレファレンス・チップス』の著者が同書の方法を実践・活用し綴った、"立ち読み"から見える読書変遷史。全体を通して感じるのは、書き手の史料は数あれど、読み手の史料の圧倒的少なさだ。  "立ち読み"といっても、われわれが漠然とイメージするその姿勢の背景に、果たしてどれほどの歴史が積み重なっているのか? まずはその定義にはじまり、発生時期の推察と海外との比較を通じて見 ...

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2026/3/21

【読書感想】井川直子『ピッツァ職人』

  ピッツァ職人 井川直子 出版社:ミシマ社 発売日:2023/05/19 天職を得るということ  スポーツに打ち込むも挫折し、高校も中退。何物にも成れない自分と葛藤する日々、少年は料理の道に歩みを進めそこで運命のピッツァと出会う。まるで少年ジャンプに掲載される漫画のような世界観だが、これは若さゆえの無謀さとは違う情熱と向上心と矜持の物語だ。  単身イタリア・ナポリに渡り武者修行に励む日々。もちろん身内も伝手もなにもない中への飛び込みだった。外部から来たことのアウェイ感と現場に馴染むことの重要性の狭間で、 ...

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2026/2/25

【読書感想】八條忠基『呪術と科学の有職故実図鑑』

  呪術と科学の有職故実図鑑 八條忠基 出版社:平凡社 発売日:2025/11/27 気軽に触れ合える有職故実の世界  古代日本において呪術とは科学そのものであったという視点から、日本の伝統的な生活様式や文化的背景を紐解く本書は、とにかく知識欲が満たされる一冊だといえる。学生時代、授業そっちのけで国語便覧や世界史・日本史の資料集に目を通していた経験のある人なら分かるであろう、あの感覚そのままで読める図鑑なのだ。  有職故実という言葉だけでどこかお堅いものを感じる人もいるかもしれない。確かに内容は学術的にき ...

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2026/2/23

【読書感想】彬子女王『飼い犬に腹を噛まれる』

 飼い犬に腹を噛まれる 彬子女王 出版社:PHP出版 発売日:2025/09/29 プリンセスの日常事件簿  ベストセラー『赤と青のガウン』のその後を綴ったエッセイ集。新聞掲載のものを中心に、似たような内容のものを全6章立てで収録されている。  まず本書を繰る前に、『赤と青のガウン』以降、『日本美のこころ』『京都 ものがたりの道』など皇族らしい著作が並ぶなか、意表を突くようなタイトルに驚かされる。序盤に収録されているエッセイの表題からとられているとのことだが、その内容を読むにつけても著者の人柄がとてもよく ...

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2026/1/24

【読書感想】服部正也『ルワンダ中央銀行総裁日記 [増補版]』

 ルワンダ中央銀行総裁日記 [増補版] 服部正也 出版社:中央公論新社(中公新書290) 発売日:2009/11/25    ルワンダ中央銀行総裁日記 [増補版] (中公新書) Kindle版   その国の人々が生きていくための援助とは?  50年以上前、アフリカの小国ルワンダの中央銀行総裁として派遣された著者が、ルワンダ発展のために奔走する過程を追った実録。中公新書の中でも屈指のロングセラーであり、2009年にルワンダ動乱に関する一文が増補されてからは「リアルなろう小説」「リアル異世界召喚」などとしてS ...

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2026/1/17

【読書感想】笹井宏之『えーえんとくちから』

 えーえんとくちから 笹井宏之 出版社:筑摩書房(ちくま文庫) 発売日:2019/01/10    えーえんとくちから (ちくま文庫) Kindle版   なにげない日常を問いただす言葉たち  最近すっかりご無沙汰加減となっている例の後鳥羽院がらみだが、それでもいろいろちまちま進めている。そして去年くらいからは、和歌以外にも以前読んだ短歌集なんかを再び紐解くようになった。そんな折に再読した一冊。  難病を患い長い間ほぼ寝たきりだった歌人・笹井宏之。地方紙やインターネットの短歌サイトでその作品が注目されるよ ...

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2025/12/29

【読書感想】窪田新之助『対馬の海に沈む』

対馬の海に沈む [ 窪田 新之助 ] created by Rinker ¥2,310 (2026/04/23 11:09:46時点 楽天市場調べ-詳細) Amazon 楽天市場  対馬の海に沈む 窪田新之助 出版社:集英社 発売日:2024/12/05    対馬の海に沈む (集英社学芸単行本) Kindle版 田舎社会の闇、農協組織の闇  2024年開高健ノンフィクション賞を受賞して以来、根強く話題となり続けているルポ。ノンフィクションというよりミステリー小説のそれを思わせる気迫が ...

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2025/12/28

【読書感想】絹田みや『友達だった人 絹田みや作品集』

友達だった人 絹田みや作品集 [ 絹田みや ] created by Rinker ¥880 (2026/04/23 11:09:46時点 楽天市場調べ-詳細) Amazon 楽天市場  友達だった人 絹田みや作品集 絹田みや 発売日:2025/11/21 出版社:光文社(熱帯COMICS)    友達だった人 絹田みや作品集 Kindle版 ストーリーの中に自分をみつける  Xを中心に話題となった自主制作作品に描きおろしを加えた作品集。  一通り読み通して残るものは「感動」などという ...