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jinnosuke

『ねと見!』の管理人です。
昭和の終わりの方に北海道で生まれる。
専攻は哲学(インド哲学・仏教学)。
趣味は読書と散歩。愛読書は辞書。
キーワード
インド哲学仏教学/後鳥羽院と定家さん
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『ねと見!』管理人の雑記帳
セルバンテス『ドン・キホーテ』全6冊 (岩波文庫) 「人類史上最高の文学作品は?」と問われれば、私はこの作品を挙げる。 言わずと知れた名作中の名作。文学作品としてだけではなく、絵本や芝居など、およそ芸術作品と呼ばれる様々なジャンルで取り上げ続けられてきた作品だ。 とはいえ、正直なところ読んだ感想としては「ダルい……」の一言しかない。 この作品の翻訳など多数出てはいるが、果たしてそれらを読み通したという人はどのくらいいるだろうか? というのもこの作品自体そもそも長い。長いだけならまだしも、まず ...
昨年2月に大往生した日本映画界の鬼才・鈴木清順。 氏の名前を世界にとどろかせたのがこのいわゆる『(大正)浪漫三部作』だ。 『ツィゴイネルワイゼン』 1980年。原作・内田百閒 出演・原田芳雄、大谷直子、藤田敏八ほか 『陽炎座』 1981年。原作・泉鏡花 出演・松田優作、大楠道代、中村嘉葎雄ほか 『夢二』 1991年。出演・沢田研二、毬谷友子、坂東玉三郎(5代目)ほか 主演級の役者の段階で錚々たる面々であることはお分かりいただけるだろうか? 私自身、「好きな映画は?」と問われ ...
6月13日、北海道旭川市在の三浦綾子記念文学館において、開館20周年を記念した特別講演会が開催された。 ゲストは"セーラー服の歌人"として注目されている歌人・鳥居氏だ。 キリンの子 鳥居歌集 2016年に本家・ネト見の方でも紹介した歌集『キリンの子』は現在までに累計2万部を売り上げている。また、彼女の壮絶な半生もまた注目されている理由のひとつに挙げられていると思うが、今回はそんな前提は一旦置いて、一読者として実際どのような人なのか気になっていたのでその講演会を聴きに行ってきましたというレポー ...
浪人時代、新宿の紀伊国屋でたまたま見かけたのがきっかけだった。表紙には、作業現場と思しきその場所にはおよそに似つかわしくない雰囲気をたたえた初老の男性が、荷車に腰掛け読書している写真があった。「沖仲仕の哲学者」ことエリック・ホッファーその人だ。 この本は彼が沖仲仕として働いていた頃のある1年間の日記である。 仕事現場での作業の内容、友人家族との団欒、歯医者のこと……何気ない彼の日常がつづられたごくごく普通の日記なのだが、ところどころで思索と考察が織り込まれている。その冷徹なアフォリズムには驚嘆の ...
今回はサンスクリット語学習の上では欠かせないデーヴァナーガリー文字について少々書いていこうと思います。 サンスクリット語のテキストは、通常論文や専門書に掲載される際にはローマ字表記(ローマナイズ)されていますが、実際の文献はほぼデーヴァナーガリーで書かれていますし、前回紹介した辞書などを引く際には読めないことにはどうしようもないという事態も生じるので、読めたことにこしたことはありません。 まずデーヴァナーガリーそのものですが、 こんな文字ですね。ちなみに甚之助(※通常ローマ字表記ではjinno ...
もはや知る人ぞ知る名作。そして個人的に一番好きなアニメ映画。 製作はガイナックス。音楽は坂本龍一が担当している。 DVD版 Blu-ray版 昭和62(1987)年に公開された本作は、王立宇宙軍士官の主人公が仲間たちとロケット打ち上げを目指すという単純明快なストーリーなのだが、まず目を引くのは今となっては豪華すぎるスタッフ陣であろうか? 監督・原案・脚本:山賀博之 助監督:赤井孝美、樋口真嗣、増尾昭一 キャラクターデザイン・作画監督:貞本義行 作画監督:庵野秀明、飯田史雄、森山雄治 ...
さて、前回に続きサンスクリット語について今回は読本と辞書を紹介していきたいと思いますが、前回同様現行出版されているものや絶版のものも含め、比較的オーソドックスと思われるものをご紹介したいと思います。 読本編 ◎辻直四郎 著『サンスクリット読本』(春秋社) 前回紹介のいわゆる辻文法とはうって変わって、こちらは語彙集や注釈が豊富で大変に良心的な本。 私の持っている初版第1刷では1冊でまとまっているが、その後のものでは3冊に分冊されている。 サンスクリット本文はローマナイズ(ナーガリー文字からローマ ...
さて、プロフィール欄にも記載している通り私の学生時代の専攻はインド哲学・仏教学なのですが、それらを学ぶ際に多かれ少なかれ避けて通れないのがサンスクリット語(梵語)です。 仏教学専攻ならまだしも、殊インド学専攻となると必須です。私が学生の頃でも先輩諸氏からはよく「インド哲学・仏教学で研究していきたいなら、サンスクリット語・チベット語・パーリ語・中国語・ヒンディー語は必修で、最低でも英語・ドイツ語・フランス語で論文くらい読めないとね」などと半分冗談半分本気のハッパをかけられたものです(今は分かりませんが) ...
高校の時、担任や教科担当ではなかったけれど比較的気の合う先生がいた。 ある日他愛もないことを話していた折になんの前触れもなく「君みたいな人の日記だから読んでみるといい」と言われた。同時にその前段となる『ノート』『序章』があることも教えてくれたが、当時最寄りの大型書店で手に入ったのは新潮文庫版の『二十歳の原点』のみだった。他の2冊は絶版の状態だった。 学生紛争がこの国で一番盛んだった頃、一人の女学生が自殺した。当時立命館大学に通っていた高野悦子、その人だ。彼女が一体何に悩み不安を抱えていたのか ...