jinnosuke

『ねと見!』の管理人です。
昭和の終わりの方に北海道で生まれる。 専攻は哲学(インド哲学・仏教学)。 趣味は読書と散歩。愛読書は辞書。

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インド哲学仏教学/後鳥羽院と定家さん

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感想・レビュー

2021/6/25

【読書感想】網野善彦・宮田登『歴史の中で語られてこなかったこと おんな・子供・老人からの「日本史」』

  歴史の中で語られてこなかったこと おんな・子供・老人からの「日本史」 網野善彦・宮田登 出版社:朝日新聞出版 発売日:2020/08/07 網野史観を読み直す名対談集  宮崎駿監督作品『もののけ姫』は、いわゆる網野史観をベースにイメージを膨らませた作品であることは有名だ。  本書は歴史学者・網野善彦氏と、長年交流のあった民俗学者・宮田登氏とが80~90年代にかけて行った対談集。  二人とも鬼籍につかれて20年近くなるが、今なおこうして新装版が出されるあたり、お二人の歴史観・民俗史観の影響力の大きさが窺 ...

感想・レビュー

2021/6/21

【読書感想】礒﨑敦仁『北朝鮮と観光』

  北朝鮮と観光 礒﨑敦仁 出版社:毎日新聞出版 発売日:2019/07/27   観光大国・北朝鮮の実情と狙い  タイトルに心を射抜かれて読んだ本。  拉致問題やミサイルの脅威など、日本にとっては近くて遠い、そして閉ざされた国である北朝鮮。しかし実際には、国交を結ぶ国はヨーロッパを中心にその数は160か国にも及ぶ。    本書はタイトル通り、北朝鮮の観光の実態について書かれた本だが、揚げ足を取るべくその不手際や恥部を晒すような記載は微塵もない。むしろ著者の研究や訪朝経験で入手しえた事実を的確にかつ淡々と ...

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2021/6/15

【読書感想】清水研『もしも一年後、この世にいないとしたら。』

  もしも一年後、この世にいないとしたら。 清水研 出版社:文響社 発売日:2019/10/11  人は必ず死ぬ。その時までできること。  ガンに罹患し精神的に追いつめられた患者らへ、自分らしく前向きに生きることを目指す精神治療を行うレジリエンス。本書の著者は、2016年国内初のレジリエンス専門外来をつくった医師である。  ガンの進行や治療に関わる身体的苦痛の大きさは広く世間的にも知られているが、精神的負担の大きさはそこまで認知されていないだろう。実際、がん患者の自殺率は一般人口のおよそ25倍にもなるとい ...

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2021/6/8

【読書感想】加藤容崇『医者が教えるサウナの教科書――ビジネスエリートはなぜ脳と体をサウナでととのえるのか?』

  医者が教えるサウナの教科書――ビジネスエリートはなぜ脳と体をサウナでととのえるのか? 加藤容崇 出版社:ダイヤモンド社 発売日:2020/03/04 清く正しいサウナのすすめ  近年"サ道"として書籍やドラマでも取り上げられ、ますます人気の高まっているサウナ。  本書では、ガンと神経疾患の専門医がサウナのマナーから効果効能まで、医学的見地から幅広く解説してくれている。ちなみに著者は日本サウナ学会の理事も務める。  サウナの入り方として、サウナ→水風呂→外気浴という流れを繰り返すことはサウナ好きの中でも ...

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2021/5/31

【読書感想】森藤ヒサシ『家族写真の魔法』

  家族写真の魔法 森藤ヒサシ 出版社:WAVE出版 2020/06/16  家族写真という愛のかたち  写真館の代表も務めるフォトグラファー・森藤ヒサシ氏(2015年まではオヌキヒサシ)による家族写真についての本。  そもそも家族写真をテーマとした書籍はそんなに多くないという印象がある。その中でも本書は、写真館で家族写真を撮る時の構図や服装、あるいはスマホで自ら撮影する方法など、斬新な構図や技術と相俟ってかなり稀有な情報が盛りだくさんだ。  また掲載されている写真も非常に多く、どの一枚をとってもその家族 ...

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2022/8/6

【読書感想】諏内えみ『「育ちがいい人」だけが知っていること』

  「育ちがいい人」だけが知っていること 諏内えみ 出版社:ダイヤモンド社 発売日:2020/02/20 マナーという他者への気遣い心遣い  マナースクールの代表を務める著者によるマナー入門書。  ふるまい・話し方にはじまり人間関係や贈答に至るまで、さまざまなシチュエーションにおける立ち居振る舞い方が丁寧に解説されている。  紹介されているマナー一つひとつはどれもありきたりなものばかりで、他のマナー本と比しても大きな差はなく、真新しく感じるものは乏しい。  しかしタイトルにある"育ちの良さ"に焦点を当てた ...

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2021/5/26

【読書感想】海部健三『結局、ウナギは食べていいのか問題』

  結局,ウナギは食べていいのか問題 海部健三 出版社:岩波書店(岩波科学ライブラリー) 発売日:2019/07/19 日本の食文化が直面している危機とこれからのこと  近年、サンマやイカといった日本近海の資源減少が大きな問題となっている。  その中でもウナギに関するものは最たるもので、俎上に上がって久しい。また特に土用の丑の日近辺では、コンビニ業界などの本末転倒なキャンペーンと相俟って毎年のようにその危機的状況が叫ばれている。  本書では、日本の食文化に関わりの深いウナギをめぐる資源保護の現状とこれから ...

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2021/4/30

【読書感想】ハル・エルロッド『人生を変えるモーニングメソッド』

  人生を変えるモーニングメソッド ハル・エルロッド 著 / 鹿田昌美 訳 出版社:大和書房 発売日:2017/02/22 人生を変える最高な一日の始め方  本書は著者の壮絶な半生の懐古から始まる。  20歳のころ、大学生ながらマーケティング会社でトップの成績を収めたセールスマンでもあった著者は、とある夜のパーティからの帰路、自動車事故により一命は取り留めたものの、再起不能と言われる傷を身体におった。医者からも「今後自足歩行は絶望的」とさじを投げられた。しかし彼は翌年には再びセールスマンとしてトップ10入 ...

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2021/4/28

【読書感想】森博嗣『お金の減らし方』

  お金の減らし方 森博嗣 出版社:SBクリエイティブ 発売日:2020/04/06 清く正しいお金の使い方と稼ぎ方  世の中にはお金に関する書籍は膨大にある。  しかしそのほぼ全てが稼ぎ方なり増やし方なり、どうお金を増やすかという点にフォーカスが当てられている。  そんな中、本書はお金の「減らし方」について書かれた前代未聞の一冊である。    著者は元大学教員で、今は作家として生活している。著作も膨大にあるので読んだことのある人も多いだろう。  工学博士として某国立大に勤務していたというが、大学教員とい ...