jinnosuke

『ねと見!』の管理人です。
昭和の終わりの方に北海道で生まれる。 専攻は哲学(インド哲学・仏教学)。 趣味は読書と散歩。愛読書は辞書。

キーワード
インド哲学仏教学/後鳥羽院と定家さん

お仕事のご依頼は、下記「お問い合わせ」からお願いします。

感想・レビュー

2022/11/20

【読書感想】田邊園子『伝説の編集者 坂本一亀とその時代』

  伝説の編集者 坂本一亀とその時代 田邊園子 出版社:河出書房新社(河出文庫) 発売日:2018/04/23  古き良き熱い時代  坂本一亀、ほかでもない音楽家・坂本龍一氏の父親である。龍一氏は一亀氏が亡くなる前後より、インタヴューなどことあるごとに父親のことを語っていた。「とにかく怖い人だった」「子ども頃、まともに顔を見て話した記憶がない」……。子息の活躍ぶりをみればその父親も只者ではないと自然に察せられるが、しかしなぜ「伝説」とまで呼ばれる編集者だったのか? それは一亀氏の編集者人生を顧みると明らか ...

感想・レビュー

2022/11/11

【読書感想】S・ウィンチェスター『博士と狂人―世界最高の辞書OEDの誕生秘話』

  博士と狂人―世界最高の辞書OEDの誕生秘話 S・ウィンチェスター 著 / 鈴木主税 訳 出版社:早川書房(ハヤカワ文庫NF) 発売日:2006/03/01  事実は小説よりも……  英語を扱う者にとってのバイブルであり最終兵器『オックスフォード英語辞典(Oxford English Dictionary 通称:OED)』。この世界最高峰の英語大辞典が編まれた瞬間を描き出したノンフィクション。2019年には映画化もされているので、そちらを観たという人も多いだろう。  本書は19世紀から20世紀初頭のイギ ...

感想・レビュー

2022/10/24

【読書感想】岡本太郎『自分の中に毒を持て<新装版>』

  自分の中に毒を持て<新装版> 岡本太郎 出版社:青春出版社(青春文庫) 発売日:2017/12/09 忍耐と勇気。岡本太郎の原点。  言わずと知れた芸術家・岡本太郎の名著。岡本太郎といえば、「太陽の塔」に代表される奇抜な作品群や、「芸術は爆発だ!」「なんだ、これは!」といった大胆で印象的な発言などは今でも耳目を集める。また昨今「タローマン」などの放送もあり、未だに根強い人気と絶大な影響力を放つ異才の芸術家であることは言うまでもない。  そんな岡本自身の生き様と人生哲学が、さまざまな経験やエピソードを交 ...

感想・レビュー

2022/10/19

【読書感想】原田マハ『本日は、お日柄もよく』

  本日は、お日柄もよく 原田マハ 出版社:徳間書店(徳間文庫) 発売日:2013/06/07 「言葉」が持つ偉大な力  書棚の整理をしていて再読した本。2008年の刊行以来、文庫化・ドラマ化もされているロングセラー小説。最近でも「勇気をもらえて泣ける」本として、各メディアでたびたび取り上げられている。  あらすじに関しては、「本日は、お日柄もよく - Wikipedia」はじめさまざまなところで紹介されているし、なによりネタバレの恐れもあるので割愛する。  本作はいわゆる感動系の小説ではあるが、「お涙ち ...

感想・レビュー

2022/10/15

【読書感想】赤井佳子『赤井図鑑』

  赤井図鑑 赤井佳子 出版社:扶桑社 発売日:2021/11/17 ある夫婦の愛の形。夫婦円満のひけつとは?  元プロボクサーで俳優の赤井英和さん。某引越し業者のテレビCMはじめ、数々のドラマや映画での演技には定評がある。  そんな赤井さんの妻にして、事務所社長兼マネージャを務める佳子さん。夫との何気ない日常をSNS上に投稿したところ大反響を呼び、フォロワーは20万人を超える。そんなSNSの投稿を書籍化したのが本書となる。  まず、表紙を飾る一枚で気が付くことがあるだろう。腰にタオルを巻いた姿で玄関先に ...

感想・レビュー

2022/10/8

【読書感想】細川重男『鎌倉幕府抗争史』

  鎌倉幕府抗争史 細川重男 出版社:光文社(光文社新書) 発売日:2022/07/12  迷走する初期鎌倉幕府の悲劇  頼朝薨去後から承久の乱勃発までの23年間、幕府のおかれた鎌倉では御家人同士の抗争が絶えなかった。それは、以仁王の乱から奥州藤原氏滅亡に至るまでの日本の歴史上初となる長期内乱の時代に、武家の棟梁・源頼朝のもとで共に戦った戦友あるいは仲間同士の殺し合いである。  どんな組織においてもその中心的役割を果たしたカリスマがいなくなると、跡目争いや権力奪取の不穏な騒動は起こりやすい。鎌倉幕府におい ...

レポート

2023/6/2

あがた森魚さんの映画を見に行くin小樽【佐藤敬子先生を探して】

目次  前説  映画『佐藤敬子先生を探して』  私にとっての「あがた森魚」という人  脚注    Amazon  愛は愛とて何になる   ◎前説  8月上旬、私は農作業の傍らで北海道のローカルラジオ番組に耳を傾けていた。  その番組の一コーナーにとあるミュージシャンがゲスト出演していたのだが、なにやら熱心に口角泡を飛ばす勢いで必死に言葉を紡いでいる。件のコーナーでは、さまざまなミュージシャンのメッセージが流されたりゲスト出演した後で楽曲が放送されるのだが、その日に限ってはなかなか曲に移らない。最終的に楽曲 ...

感想・レビュー

2022/9/22

【読書感想】ピエール・バイヤール『読んでいない本について堂々と語る方法』

  読んでいない本について堂々と語る方法 ピエール・バイヤール 著 / 大浦康介 訳 出版社:筑摩書房(ちくま学芸文庫) 発売日:20216/10/06 実はムズカシイ"読まない"技術  知る人ぞ知る世界的名(迷?)著。人を食ったようなタイトルながら、中身は実に硬派。  大学で教鞭をとる著者は、職業柄日々膨大な書物や論文と格闘している。専門は精神分析とのことだが、本書は近代フランス文学の話題を中心として「読まずにコメントするという経験」について語られている。特に秀逸なのは、引用あるいは参考文献として挙げら ...

感想・レビュー

2022/9/20

【読書感想】鈴木宣弘『農業消滅 農政の失敗がまねく国家存亡の危機』

  農業消滅 農政の失敗がまねく国家存亡の危機 鈴木宣弘 出版社:平凡社(平凡社新書) 発売日:2021/07/19 日本国民が知るべき日本の現状  現在、日本の農業界が陥っている危機的状況。これを克明に記し暴露した問題作。  日本における農業問題は、担い手不足や耕作放棄地などこれまでも様々に語られてきた。昨今はTPPをはじめとした国際的な枠組みの中で、農作物の輸出入など新たな問題も浮上している。  ではそのなにが問題なのか?  著者は、日本は農薬・添加物・遺伝子組み換え作物の輸入を「世界一」許容した国だ ...