jinnosuke

『ねと見!』の管理人です。
昭和の終わりの方に北海道で生まれる。 専攻は哲学(インド哲学・仏教学)。 趣味は読書と散歩。愛読書は辞書。

キーワード
インド哲学仏教学/後鳥羽院と定家さん

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感想・レビュー

2022/4/27

【読書感想】『松丸家の育て方』

  松丸家の育て方 松丸悟/DaiGo/松丸彗吾/松丸怜吾/松丸亮吾 出版社:repicbook 発売日:2021/12/22 家族、その一つのあり方  日本唯一のメンタリスト・DaiGoさん、謎解きブームの仕掛け人・松丸亮吾さん。この二人が兄弟であることは周知の事実だが、その間にも二人の兄弟がいる。  そんな松丸家の四兄弟が、実父とともに各々の半生と松丸家のこれまでを邂逅している本書。    「答えは親が教えるのではなく、子どもに考えさせる」  「子どもには投資をしよう」  亡き妻とさまざま話しあい決め ...

感想・レビュー

2022/4/25

【読書感想】高桑和巳『哲学で抵抗する』

  哲学で抵抗する 高桑和巳 出版社:集英社(集英社新書) 発売日:2022/01/17 清く正しく実践する哲学的態度    本書は哲学の入門書でありながら、巷に跋扈する数多の哲学入門書と比して極めて異色である。それは本書が「哲学する」ことの入門書だからだ。  そもそも哲学とは、その本道たる哲学史の勉強に留まらない。つまり知識を身に付けるだけのものではないのだ。    本書では、哲学を「世界認識を変える知的抵抗」と定義し、それをもとにマイノリティがマジョリティに対する抵抗の中で「哲学」が立ち上がっいく様子 ...

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2022/4/21

【読書(?)感想】市原一裕・加藤文元『チャート式シリーズ 大学教養 線形代数の基礎』

  チャート式シリーズ 大学教養 線形代数の基礎 市原一裕,加藤文元 監修 出版社:数研出版 発売日:2022/04/19   チャート式、それはひとつの愛の形  2019年、高校数学教材トップシェアを誇る数研出版から加藤文元先生による『数研講座シリーズ 大学教養 線形代数』が刊行された。その翌年には『チャート式シリーズ 大学教養 線形代数』も刊行され、前著に掲載されていた練習問題が"青チャート"として世に出た。  そして2021年には市原一裕先生による『数研講座シリーズ 大学教養 線形代数の基礎』が刊行 ...

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2022/4/14

【読書感想】黒川祐次『物語 ウクライナの歴史―ヨーロッパ最後の大国』

  物語 ウクライナの歴史―ヨーロッパ最後の大国 黒川祐次 出版社:中央公論新社(中公新書) 発売日:2002/08/25 ヨーロッパ最後の大国の矜持と悲哀  2014年、ウクライナ騒乱に端を発したクリミア危機。ロシアによるクリミア侵攻の結果、その編入が宣言された。  20世紀初頭より「ヨーロッパの火薬庫」と謳われたバルカン半島。そこにほど近いクリミア半島は、ロシアにとっても重要な拠点である。  本書は元ウクライナ駐在大使によって記されたウクライナ史。いや、正確を期すならば、「ウクライナ」という土地の歴史 ...

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2022/3/30

【読書感想】ヘンリー・D・ソロー『森の生活-ウォールデン-』

  森の生活 上: ウォールデン (岩波文庫) 森の生活〈下〉ウォールデン (岩波文庫) ヘンリー・D・ソロー / 飯田実 訳 出版社:岩波書店(岩波文庫) 発売日:1995/09/18 名著:元祖ミニマリストによる知的生活のすすめ  「Countorygentleman」という言葉がある。  地方に自らの領地をもつ英国貴族が議会のない時期はそこに留まり、国家の一大事にはロンドンへ駆け付け腕を振るう、そんな英国紳士の在り方を示したものだ。  日本においては白州次郎や南方熊楠などがそう表現される場合がある。 ...

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2022/3/26

【読書感想】紀田順一郎『蔵書一代―なぜ蔵書は増え、そして散逸するのか』

  蔵書一代―なぜ蔵書は増え、そして散逸するのか 紀田順一郎 出版社;松籟社 発売日:2017/07/01 蔵書とは、散逸するものである……  以前にもチラッと書いたことだが、愛書家にとっての蔵書とは散逸することが前提にある。  本書は長年さまざまな媒体で著述をしてきた著者が、その人生の終末期において現実的な理由から図らずも膨大な蔵書を処分した顛末記である。「愛書家」「蔵書家」といった言葉は昨今死語になりつつあるが。その直前の回想記といっても過言ではない。  生活の改善を求めて地方へ移住するも、現実的な問 ...

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2022/3/23

【読書感想】椎名美智『「させていただく」の使い方 日本語と敬語のゆくえ』

  「させていただく」の使い方 日本語と敬語のゆくえ 椎名美智 出版社:KADOKAWA(角川新書) 発売日:2022/01/08 「敬意」のインフレーションと「距離感」  数年来、日常的に出くわすようになった「させていただく」という言葉。私自身、この言い回しにはなんともいえない歯がゆさを感じている。同様に感じている人も少なくないだろう。  本書は「させていただく」の語用研究で一躍注目を浴びた言語学者による解説書だ。本格的な言語学の研究書に比して、かなりライトな書き口なので読みやすい。  序盤、日常的な場 ...

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2022/3/22

【読書感想】柿沼陽平『古代中国の24時間-秦漢時代の衣食住から性愛まで』

  古代中国の24時間-秦漢時代の衣食住から性愛まで 柿沼陽平 出版社:中央公論社新社(中公新書) 発売日:2021/11/18 古代中国リアルシミュレーション  始皇帝伝説や『三国志』、今でも人々の好奇心を魅了してやまない古代中国史。  本書は古の人々がどのような生活をしていたのか、その実態を著者が太古の昔へワープした体裁で、RPGあるいはシミュレーションゲームのような臨場感あふれる視点で俯瞰してみようという意欲作である。もっとも、シミュレーション上の選択肢の決定権は全て著者に委ねられているが。……   ...

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2022/2/26

【読書感想】浅利昌男『どうぶつのおちんちん学』

  どうぶつのおちんちん学 浅利昌男 監修 出版社:緑書房 発売日:2018/11/10  生殖器、そこに秘められた生き物の不思議。  先日、Youtubeチャンネル『ゆる言語学ラジオ』の動画内で紹介されていたので再読した本。  以前にもこちらで紹介しようかなとも思っていたが、「タイトルがタイトルだし……」と躊躇した次第だったが、改めて読んでみるとやはり知的好奇心をくすぐられたので紹介したい。  小学生が喜びそうな可愛らしいタイトルと絵本を思わせる表紙、まずこれに騙されてはいけない。  本書は爬虫類と哺乳 ...