
読書スタディーズ――本好きはどうつくられるのか
桜井政成
出版社:明石書店
発売日:2025/05/28
本を読むことを問い直す
この世の中には本が読める人と読めない人がいる。でもそれは単なる個人的な習慣の違いなのでは? と思う人は多いと思う。読書とは極めて個人的で孤独な作業、そんな認識を持っているのではないのだろうか?
しかし本書では、本を読むということは家庭環境や教育、人間関係といった社会的要因によって形成されると指摘する。つまり読書にまつわるコミュニティこそが、個人の読書行動を形作る根幹にあるというのだ。
著者は「コミュニティの在り方」を探求する社会学者だ。「なぜ本が読めないのか」「働いていると本は読めないのか」という問いに、豊富なデータをもとに構築された実証的分析には実に説得力がある。
読書とは決して孤独な作業ではない。そのことを社会との関係性の中から捉えなおし、これまで世に蔓延していた読書家=孤独、コミュ障といったイメージを鮮やかに拭い去ってくれる一冊だ。
紙媒体に限らず電子書籍やオーディブルといった、多様化した読書スタイルへも鋭い考察が向けられているのも興味深く、また付録の読書家のタイプわけや読書と睡眠に関するコラムなど、読書家にとっては自身の読書観を見直すきっかけと共に楽しむこともできる。