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【読書感想】安部公房・三島由紀夫・大江健三郎『文学者とは何か』

2024年12月26日

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中央公論新社
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 文学者とは何か
 安部公房・三島由紀夫・大江健三郎
 出版社:中央公論新社
 発売日:2024/12/06

日本文学の展開図

 戦後日本文壇を牽引した世界的日本人作家による鼎談・対談集。ある意味、文学がまだまだ力も勢いも持っていた良き時代の対話編であり、「文学」者の名にふさわしい雄たちの戯れともいえよう。
 近代日本文学史をどのような範疇で区切るかは、視点・立場によってさまざまあるかもしれない。だが、終戦をひとつの区切りとして見た場合、戦後文壇のそれと戦前のそれとでは明確な差異のようなものが見受けられる。その特徴的な一例として、本書の三者には、戦前の作家のように書斎に缶詰めになって執筆に呻吟するような様子は微塵も感じられない。むしろそれぞれさまざまな人間関係を構築し、文学以外の領域へも積極的に関わっている姿が見て取れる。それまでの「文学」通り一辺倒の対話に限らず、政治・芸術と多くの分野へ話題の裾野が広がっていくところに、当時の文学が担うべき未来像のようなものが垣間見えて興味深い。
 1958(昭和33)年の三者の鼎談と、三島亡き後の1990(平成2)年まで繰り広げられた対談、計5編が封入された本書は、戦後日本文壇を語る上で貴重な一冊になるだろう。

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