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【読書感想】坂本龍一『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』

2023年11月13日

 
 
 ぼくはあと何回、満月を見るだろう
 坂本龍一
 出版社:新潮社
 発売日:2023/06/21

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新潮社
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命が尽きるその時まで

 今年3月、この世を去った音楽家・坂本龍一。ここで5月に紹介した自伝『音楽は自由にする』のその後をつづった氏の回想録。本書は終始その晩年の仕事の記録という感じを否めないが、そこには死のその直前まで、音楽をはじめとした創作・表現行為へいかにこだわりつづけたかの姿勢が見て取れる。その姿には若い頃のようなふてぶてしさはなく、どこか、自然への敬意と技術への信頼を基軸とした「坂本龍一」という生き方に触れるような感覚を覚える。なにより、その生き方があまりに知的であり、あまりに感情的であったことに驚きを隠せない。
 あとがきにかえて、聞き手の鈴木氏による死の直前の様子が克明に記されている。ここだけ読んでも「坂本龍一」という生き様をまざまざと感じさせてくれるが、その中でも同じく今年1月に亡くなった高橋幸宏氏の訃報に接した時の言葉に触れると、坂本龍一もまた一人の人間だったと思えてきて、涙を禁じ得なかった。

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