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【読書感想】ゲオルギー・システマスキー『人生は楽しいかい?』

 
 人生は楽しいかい?
 ゲオルギー・システマスキー 著 / 北川 貴英 監修
 出版社:夜間飛行
 発売日:2016/06/20

ロシア軍格闘術・システマ、それはロシア版ヨーガ

 ロシア生まれの武術・システマをご存知だろうか?
 武道や格闘技に興味のある人なら一度ならず名前を聞いたことがあるだろう。

 近年その注目度が増しているシステマという一武術の奥義が、本書では遺憾なく開陳されている。
 内容も以前紹介した『もしアドラーが上司だったら』のようなストーリー仕立てになっており、親しみやすい。
 流暢な関西弁を使う謎のロシア人としがないサラリーマン、二人の間で「指令」としてシステマのメソッドが伝授されていく。
 そこで明かされるのは、武術としての技法よりも、むしろ心構えや立ち居振る舞いである。本来システマを習得する際に重要視される基本原則の部分だ。
 「呼吸し続ける」「姿勢を整える」「動き続ける」「ゆっくりやる」……など、一見、武術や格闘技とは思えないごくごく当たり前の事柄が並ぶ。
 ただそこがシステマの核心であり最重要事項であることは、本書を読み進めるとすぐに分かる。特に「呼吸」については繰り返し語られる。

 個人的に、この「呼吸」を重視する点にインド古来のヨーガとの共通点を見出した。
 ヨーガ(ヨガでもいいけど)は、本来サンスクリット語で"牛や馬などを車に繋ぐ軛"などを意味する\(\sqrt{yuj}\)-が文法的変化を経てyoga"つなぐ"あるいは"集中する"などの意味を持ったものである(ほかにもいろいろあるけれど、詳細は割愛します。どっかで記事にできればいいけど)。
 自分の身体の外側と内側を結ぶもの、つまり呼吸するということは空気を介在して身体の外部と内部を結ぶことに他ならない。そしてその結果どのような変化が生じるか? いろいろ勉強してみるとシステマとヨーガの深い相似性が見えてくる。
 また私自身若い頃から古武道をやっていたので、もちろんシステマの話しはさまざま聞き及んでいた。
 しかし、そのどれもが間接的なものだったので、実際に習得したという人から直接話しを伺ったことがない。
 本書を読んで、是非機会を作って実際の教えを乞うてみたくなった。
 
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