【読書感想】吉村栄一『YMO1978-2043』

 
  YMO1978-2043
 吉村栄一

 出版社:KADOKAWA
 2021/03/12

ファン必携書、次世代に語り継ぎたいYMOの軌跡

 言わずと知れた伝説のテクノバンド・YMO(イエロー・マジック・オーケストラ)。
 細野晴臣、高橋幸宏、坂本龍一の三人の顔ぶれは、老若男女問わず世界中に知られている。
 そんなYMOの結成前夜からの逸話や裏話を、本人たちの証言はじめ数多くの関係者への取材をもとにぎゅっと一冊に凝縮したのが本書である。
 第1部を1978年の結成から1983年の”散開”まで、第2部を1993年の再結成から2021年初頭までに分けた構成となっている。

 とにかく本書はどの記事も内容が緻密で濃厚だ。
 もはや語り草をなっている1978~1983年の動向に関しても、グループを離れて個人でどのような活動を行っていたかにまで踏み込んでおり、今となって初めて知る逸話も多い。
 また再結成以降、特に2007年以降は、TVCMなどのメディアへ三人そろって出ていたことも多く特集番組なども組まれることがあったが、そこでは触れられてこなかった三人の真意やその眼差しなど、ファンにとってはたまらない話題が盛りだくさんだ。

 わたし自身、YMOの現役世代ではないが、幼少時に父の持っていたレコードを聴いて以来その虜になった。
 初めて『テクノデリック』なんかを聴いた時には「自分が生まれる前にすでにこんな音楽があったのか……」と驚愕したものだ。
 
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 テクノデリック

 近年は三人ともすっかり年老いた感じが否めないが、なんだかんだこのまま永遠に生き続けるような気がしてならない。
 最低限音楽的な意味合いでは、数年あるいは十数年に一度、必ず再評価され続け新たな音楽の源になり続けていくであろうことは想像に難くない。

 自分自身が熱狂的なファン(実際は知る人ぞ知る、知らない人の間でも名高いフリークだが)だから言うのではないが、本書はこれまでのそしてこれからの音楽を語る上で貴重な一冊であることは間違いない。
 またこれからのファンにとっては必読書となるだろう。
 本書には、YMOを強調するヴィジュアル的な意味での写真が少ない。そこがまた教科書的で良い。

 とはいえ巻末にある年譜、これが他書同様いつも通りのYMOでなお良い。その真意は、分かる人には分かるだろう。

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 40 ymo 1979‐2019

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