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【読書感想】小倉広『もしアドラーが上司だったら』

 
 もしアドラーが上司だったら
 小倉広

 出版社:プレジデント社
 発売日:2017/03/11

 アドラー心理学の"実践的"超入門書!

 近年、悩めるビジネスマンや若者を中心に多くの人から注目されているアドラー心理学。
 「自己啓発の父」と称されるその思想は、個人心理学という新しい心理学の草分けであり、常識を覆すような幸福論だ。名著『嫌われる勇気』のヒットも記憶に新しいところだろう。
 
 ではそのアドラー心理学を現実社会の中でどう役立てればよいだろうか?
 いろんな解説書も出ているが、その中でグンを抜いて分かりやすくかつ実践的に学べるのが本書だ。
 タイトルから察するべく、『もしドラ』同様、内容は物語調で進んでいく。
 主人公である営業担当の若手サラリーマンとアメリカの大学院でアドラー心理学を修めた上司。主人公が日々仕事をする中で出くわす様々な出来事、特に心理的葛藤を伴うような場面を中心に、上司が部下に教え諭す如く織り成される対話が繰り広げられる。そこへ積極的にアドラー心理学が当てはめられている。
 多くの人が日々遭遇するであろう日常的な話題が主なので、具体的な場面を想像しやすくとても理解しやすい。
 また上司から与えられた「宿題」を主人公が解決しいく姿には、その葛藤や反論が至極真っ当であるがゆえに共感しやすい。
 アドラー自身の著書はもとより、アドラー心理学を真正面から取り扱う専門書を読んでもイマイチ理解できなかったという人でも容易にその深淵を垣間見ることができるだろう。
 各章末尾には「コラム」と題し、そこで取り上げられている考え方についての解説もあり、より理解が深まる。

 しかし一つだけ問題、というか障壁がある。
 それは件の"上司"の個性があまりにも強烈なのだ。嫌う要素ではないものの、どうにもクセが強すぎる。
 ネタバレになってしまうが、主人公もツッコミを惜しまない。
 私個人としてはとても好きなタイプなのだが……。

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