サンスクリット文法編4~活用Ⅰ 動詞・現在組織~

サンスクリット文法編4~活用Ⅰ 動詞・現在組織~

  

サンスクリット文法編~活用 目次~

    活用Ⅰ 動詞・現在組織
     総説
     現在組織
      ・1、第1種活用
      ・2、第2種活用

    活用Ⅱ アオリスト・完了・未来・受動態
     アオリスト組織
     完了組織
     未来組織
     受動態

    活用Ⅲ 第2次活用・準動詞
     第2次活用
      ・使役活用
      ・意欲活用
      ・強意活用
      ・名詞起源動詞活用
     準動詞
      ・現在・未来・完了・過去分詞
      ・未来受動分詞(動詞的形容詞)
      ・不定詞
      ・絶対分詞




総説

 動詞は態・法・数・人称・時制によって規制され、語形変化を伴って文中で定動詞として用いられる。
 語形変化をする前の動詞の原形を語根といい、その基本部を語根という(以降、\(\sqrt{○○}\)の形で示す)。
 語根に接辞を加えて語幹を形成し、人称語尾を伴って定動詞となる。

  定動詞=(接頭辞+)語幹(=語根+接辞)+人称語尾

●動詞の活用

 動詞には、基本動詞としての活用(第1次活用)と受動態としての活用のほか、派生動詞としての活用(第2次活用)、名詞起源動詞の活用がある。
1、態……能動態(P:parasmaipadam)・反射態(A:ātmanepada)と受動態(Passive)があるが、P・Aを問わず能動態に属する。
  Pは“他人のために~”Aは“自分のために~”という意味を持つ。PとAの区別は明確な規定はあるものの常に守られるものではない。

2、法……直説法現在(Pres:Present)・願望法(Opt:Optative)・命令法(Impv:Imperative)があり、現在時制においてこの三つの法は守られるが、他の時制では直説法のみ用いられる。
  その他、祈願法<Bened:Benedictive>・条件法<Cond:Conditional>という分け方もある。

3、数……名詞・形容詞同様、単数(sg)・両数(du)・複数(pl)がある。

4、人称……一人称(Ⅰ)・二人称(Ⅱ)・三人称(Ⅲ)がある。

5、時制……現在(Pres)・過去(Impf)・完了(Pf)・アオリスト(Aor)・複合未来(Periph.fut)・単純未来(Fut)がある。

その他、
・オーグメント……語幹の語頭にaを加えて過去をあらわす。
・語根の重複……語根の一部(通常、母音を伴った第一子音)を語根の前に置く。
a)帯気音:それに対応する無気音が重複 eg,bhī-→bibhī-
b)ka行音:ca行音で重複 eg,khan-→cakhan-
c)2つ以上の支院で始める語根:最初の子音で重複 eg,svap-→suṣvap-
d)a・i・uの場合:a・ā・ṛ・ṝ・ḷ→重複母音はa
         i・ī・e・ai→重複母音はi
         u・ū・o・au→重複母音はu

 人称語尾には第1次語尾と第2次語尾があり、第1次語尾は直説法現在・直説法未来、第2次語尾は直説法過去・直説法アオリスト、願望法などに用いられる。ただし、願望法に関しては例外がある。

 

第1次語尾 第2次語尾
P A P A
sg -mi -e -m -i
-si -se -s -thās
-ti -te -t -ta
du -vas -vahe -va -vahi
-thas -ethe -tam -ethām
-tas -ete -tām -etām
pl -mas -mahe -ma -mahi
-tha -dhve -ta -dhvam
-nti -nte -n or -ur -nta

 
 
 
 ・願望法
 

第1種活用 第2種活用
P A P A
sg -eyam -eya -yām -īya
-es -ethās -yās -īthās
-et -eta -yāt -īta
du -eva -evahi -yāva -īvahi
-etam -eyāthām -yātam -īyāthām
-etām -eyātām -yātām -īyātām
pl -ema -emahi -yāma -īmahi
-eta -edhvam -yāta -īdhvam
-eyur -eran -yur -īran

 
 
 
 ・命令法
 

P A
sg -āmi -ai
-sva
-tu -tām
du -āva -āvahai
-tam -ethām
-tām -etām
pl -āma -āmahai
-ta -dhvam
-ntu -ntām

 
 
 

現在組織

 現在組織はその構成に従って10に分類される。この分類は第1種活用と第2種活用とに分けられ、第1種は現在組織語末がaで終わり、第2種では変化する。
  第1種活用……第1,4,6,10類動詞
  第2種活用……第2,3,5,7,8,9類動詞
 各類動詞の特徴は活用法とともに見ていく。
 この分類は古来より明確な文法規定として定められているため例外はない。
 
 
 

1、第1種活用

 過去

 a,第1類動詞
   現在語幹=語根(母音→guṇa化)+-a
  eg,\(\sqrt{budh}\)>bodha“目覚める”

 b,第4類動詞
   現在語幹=語根+-ya
  eg,\(\sqrt{nuh}\)>nuhya“結ぶ”

 c,第6類動詞
   現在語幹=語根+-a
  eg,\(\sqrt{sṛj}\)>sṛja“創り出す”

 d,第10類動詞
   現在語幹=語幹+-aya
  eg,\(\sqrt{cur}\)>coraya“盗む”
 
 
 

2、第2種活用

 強語幹・弱語幹の2語幹があり、全ての類に語幹の開示がある。

 e,第2類動詞
   強=語根(母音→guṇa化)
   弱=語根
  eg,\(\sqrt{vid}\)>[強]ved,[弱]vid“知る”

 f,第3類動詞
   強=語根重複(語根部の母音→guṇa化)
   弱=語根重複
  eg,\(\sqrt{hu}\)>[強]juho[弱]juhu“祀る”

 g,第5類動詞
   強=語根+no(ṇo)
   弱=語根+nu(ṇu)
  eg,\(\sqrt{śru}\)>[強]śṛṇo[弱]śṛṇu“聞く”

 h,第7類動詞
   強=語根にna(ṇa)を挿入
   弱=語根に末尾子音と同系列の鼻音挿入
  eg,\(\sqrt{yuj}\)>[強]yunaj[弱]yuñj“繋ぐ”

 i,第8類動詞
   強=語根+o
   弱=語根+u
  eg,\(\sqrt{kṛ}\)>[強]karo[弱]kuru“作る、なす”

 j,第9類動詞
   強=語根+nā(ṇā)
   弱=語根+nī(ṇī)
  eg,\(\sqrt{jñā}\)>[強]jānā[弱]jānī“知る”





≪活用Ⅰ 終わり≫



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