jinnosuke

『ねと見!』の管理人です。
昭和の終わりの方に北海道で生まれる。 専攻は哲学(インド哲学・仏教学)。 趣味は読書と散歩。愛読書は辞書。

キーワード
インド哲学仏教学/後鳥羽院と定家さん

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感想・レビュー

2019/12/24

【読書感想】松井孝典『宇宙誌』

  宇宙誌 松井孝典 出版社:講談社(講談社学術文庫) 発売日:2015/04/11 「我々とは何か」人類が宇宙に挑んだ知的大紀行  タイトル通り、本書は宇宙の歴史、特に人類がこんにちに至るまでどのような形で宇宙を捉えようとしてきたかという天文学・宇宙科学史なのだが、扱う範囲は実に広範で、宇宙進出をめぐる米ソの対立から地球内部の岩石の形成、環境問題にまで至る。高校の地学の教科書を、大幅に増補、詳細に解説したような内容となっている。  しかし難解な数式も議論も出てこない。むしろ専門的になるのをあえて避けてい ...

感想・レビュー

2019/12/18

【読書感想】さけハラス『私は今、旅をしています。』

  私は今、旅をしています。 さけハラス 出版社:実業之日本社 発売日:2019/11/08 現代社会の喧騒の中、忘れてしまっていた日本の原風景に「再会」する  謎の組織から謎の指令を受け旅に出る少女の旅物語。  正直、設定もあらすじもどうでもいいと感じたけれど、写真加工×イラストのエキスパート・さけハラス氏が描き出す風景画いちまい一枚には、まるで自分がその光景を目の当たりにしているかと錯覚するほどに引き込まれた。  全国津々浦々の風景。私もかつて訪れたことのある場所もかなりあったが、そのいずれもが二次元 ...

感想・レビュー

2019/12/16

【読書感想】阿刀田高『ブラックジョーク大全』

 新装版 ブラックジョーク大全 阿刀田高 出版社:講談社(講談社文庫) 発売日:2007/08/11 小気味いい珠玉のブラックジョーク集  個人的に皮肉や風刺、ブラックジョークを聞くのも言われるのも考えるのも好きだ。  エッジが効いていればなおのこと面白がってしまう。もちろんTPO的なものを考えて、他人様に言うようなことは極力避けてはいるが、喉元まで出かかることはしばしばある。    本書の著者はショートショートを得意とする阿刀田高氏だが、ミステリーにブラックジョークももちろんお手の物。今でも使われるよう ...

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2019/12/12

【読書感想】宮口幸治『ケーキの切れない非行少年たち』

  ケーキの切れない非行少年たち 宮口幸治 出版社:新潮社(新潮新書) 発売日:2019/07/12 今まで見過ごされてきた非行少年たちが抱えていた問題と、その解決への道筋  センセーショナルなタイトルと、帯に付された異様な絵。  精神科医である著者が少年院に法務技官として勤務していた際、実際に目の当たりにしたものだという。  犯罪を犯した少年たち。かれらをそうした行動に向けさせたのは、家庭や学校といった社会的環境だけではなく、もっと根深い問題だった。  昨今「発達障害」という言葉を耳にするようになって久 ...

レポート

2022/8/20

【今日もご安全に】ドラレコ買ったからつけてみた!

 北海道はすっかり冬景色となりましたが、さて、だいぶん前から新しいドラレコをつけようつけようと思っていてなかなかできなかったのを、先日やっと取り付けましたという報告がてら、今回購入したドラレコのレビューなんぞ書こうかという次第。        今回購入したのはこちらのドラレコ。    Amazon  Tapewo【最新版】 4.3インチタミラー型ドライブレコーダー 前後カメラ    ミラータイプでバックカメラ付き、画質はフルHD1080P。    内容物はこんな感じ。    ・本体  ・バックカメラ  ・ ...

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2019/11/30

【読書感想】スズキナオ『深夜高速バスに100回ぐらい乗ってわかったこと』

  深夜高速バスに100回ぐらい乗ってわかったこと スズキナオ 出版社:スタンド・ブックス 発売日;2019/11/01 市井に生きる人が市井に暮らす人々と紡ぐ生活史。  かれこれ10年以上も個人ニュースサイトなんかやっていると、日々巡回するサイトやブログにも愛着というか、それなりに「お、今日もやってるな~」と常連面した居酒屋の客のような感覚を持ってしまう。そしてその中でも、「ここは絶対外せないな」などと思うものも出てきて、多分わたしが最初にそう感じたのが平民新聞さんだったと思う。  その平民新聞の平民金 ...

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2019/11/23

【読書感想】角幡唯介『極夜行』

  極夜行 角幡唯介 出版社:文藝春秋 発売日:2018/02/09 人間の作り上げてきた文明の外に出る。そして真の闇の中を彷徨い、本物の太陽と出会うための旅の記録  北極圏において一日中太陽が沈まない「白夜」は、その奇異さからテレビ番組などでも特集されることも多いが、その正反対に一日中太陽が昇らない「極夜」があることを知る人はどのくらいいるだろうか?  日本で四季が起こる理由と同様、理屈で考えてみたら当然のことなのだが、言ってしまえば闇夜が来る日も来る日も続くという環境がテレビ的に映える訳でもないので、 ...

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2019/11/21

【読書感想】岸政彦『図書室』

  図書室 岸政彦 出版社:新潮社 発売日:2019/06/27 忘れてしまった大切な思い出の空気を詰め込んだ玉手箱  社会学者・岸政彦氏の中編小説とエッセイからなる本書は、昭和の終わりの頃の雰囲気漂う大阪が舞台の作品だ。  前半の小説は、一人の中年女性が日々の何気ない喧噪の中で、ふと忘れかけていた古い公民館の図書室をめぐる尊い思い出を回帰するというもの。思い出のそれ自体に取り立てた大事件があるわけではなく、一連のストーリーの中に淡々とした小さなエピソードが重層的に積み重なった印象がある。決してポジティブ ...

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2019/11/14

【読書感想】永田カビ『現実逃避してたらボロボロになった話』

現実逃避してたらボロボロになった話永田カビ出版社:イースト・プレス発売日:2019/11/07 「そうするしかなかった!」「そうするっきゃない!」現代的無頼派、つまりはマットウな表現者の叫び  『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』などの永田カビ先生の新作エッセイマンガ。  発売されるやいなや、賛否両論さまざまな感想がネット上を賑わしている。    というのも、本作で取り上げられている騒動が今までのエッセイ作品に比べてかなり深刻なものであるばかりではなく、作者の根底にあるであろう「寂しさと愛」というとて ...