jinnosuke

『ねと見!』の管理人です。
昭和の終わりの方に北海道で生まれる。 専攻は哲学(インド哲学・仏教学)。 趣味は読書と散歩。愛読書は辞書。

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インド哲学仏教学/後鳥羽院と定家さん

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感想・レビュー

2021/1/19

【読書感想】ニケシュ・シュクラ『よい移民 現代イギリスを生きる21人の物語』

  よい移民 現代イギリスを生きる21人の物語 ニケシュ・シュクラ 編 / 栢木 清吾 訳 出版社:創元社 発売日:2019/07/29  人と人を分け隔てるもの。そして人と人をつなぐもの。  イギリスに住む21人の"体験"談をまとめた本書。  この21人は作家や俳優、クリエイターなどさまざまな職業だが、みないずれもアジアやアフリカからの移民の子孫だ。  イギリス社会に沁み込んだ差別と無知。  同じ国に生まれながら移民の子孫であるがために直面した差別や偏見、暴力や格差。  そこに対する不安や怒り、戸惑いと ...

感想・レビュー

2021/1/17

【読書感想】佐伯良隆『100分でわかる! 決算書「分析」超入門 2021』

  100分でわかる! 決算書「分析」超入門 2021 佐伯良隆 出版社:朝日新聞出版 発売日:2020/09/18 決算書分析初心者にとってのチャート式  ハーバード大学でMBA(経営学修士)を取得した著者が編み出した「最強・佐伯メソッド」。  それを駆使し、決算書を読み解くために必要な最低限の知識と方法をギュッと一冊にまとめた書籍の2021年版。  すでに決算の入門書としての新定番化していることを知っている人も多いだろう。  どうしてそこまで支持を受けるのか? 第一に挙げられるのは「凄まじい」までに分 ...

感想・レビュー

2021/1/13

【読書感想】田村由美『ミステリと言う勿れ』

  ミステリと言う勿れ(1) 田村由美 出版社:小学館 発売日:2018/01/10  ミステリっぽいけどミステリっぽくもない、ミステリな対話編  『BASARA』などの作者・田村由美先生の話題作。  作者曰く「舞台劇をイメージ」した「閉鎖空間での会話だけ」が織り成される内容は、主人公と登場人物との対話に重点が置かれ、数あるミステリや探偵ものの小説やマンガにはない独特の世界観を描き出している。  主人公はどこにでもいる大学生……ではなく、名前も髪型も趣味趣向もどこかちょっと風変わりで、いうなれば"不思議ち ...

インド哲学仏教学

2023/6/10

インド二大叙事詩とヒンドゥー教の聖典について

【改訂記録】 ・2021/02/24 「あらすじ」欄に各巻・章のタイトル追記。   前説  インドの二大叙事詩『マハーバーラタ(Mahābhāratam)』と『ラーマーヤナ(Rāmāyana)』、そしてヒンドゥー教における最高の聖典と称される『バガヴァット・ギーター(Śrīmadbhagavad gītā)』について、その概要をまとめてみました(個人的な復習の意味も含め)。  かなりザックリとしたまとめになっていますが、本記事はちょっと実験したい部分もあって、今後も随時改訂したりしていきたいと思います。 ...

感想・レビュー

2020/12/26

【読書感想】苫米地英人『現代洗脳のカラクリ』

  現代洗脳のカラクリ 苫米地英人 出版社:ビジネス社 発売日:2017/02/10    自分の頭で考える。そのために必要なことと対処法と。    オウム真理教元信者の洗脳を解くなどの功績のある認知科学者・苫米地英人先生の著書。  刊行は2017年なので、部分的に鮮度の落ちるトピックはあるものの、全体として著者の主張は変わっていない。  我々が目にする世界は"洗脳"で満ちている。  テレビ番組、CM、電車内の広告……。こういうと、「陰謀論が~」「胡散臭い~」という声ももちろん聞こえてくるだろう。  しか ...

感想・レビュー

2020/12/19

【読書感想】住吉雅美『あぶない法哲学 常識に盾突く思考のレッスン』

  あぶない法哲学 常識に盾突く思考のレッスン 住吉雅美 出版社:講談社(講談社現代新書) 発売日:2020/05/20  人間社会の常識を徹底的に批判した末に見えてくる法律のあり方とは?  "哲学"というだけでどこか小難しい印象を受ける人は多い。  さらにそこへ"法"律が関わってくるとどうだろうか?    法哲学とは、法律に対して哲学的思考を向ける、つまり法律を成立させ存在させているものは何かを問う学問だ。  本書では古今東西のさまざまな哲学者の論を参照しながら、法哲学の基礎的な議論が紹介されている。 ...

後鳥羽院project

2022/9/20

崇徳院と土御門院を巡る四国~後鳥羽院をめぐるフィールドワークその4 最終回~

 保元の乱の首謀者として讃岐に流された崇徳院。そしてその曾姪孫(甥の孫)にあたり、承久の乱で流された父・後鳥羽院、弟・順徳院の身の上を憂い、自ら懇願し阿波に流された土御門院。この二人を追ったレポート。  Field work on SUTOKU Tenno & TSUCHIMIKADO Tenno.  SUTOKU Tenno[1,Jul,1119~14,Sep,1164(28,May,Genei2~26,Aug,Chokan2):75nd emperor(reigning:1123~1142)and R ...

感想・レビュー

2020/12/9

【読書感想】ピーター・ゴドフリー=スミス『タコの心身問題――頭足類から考える意識の起源』

  タコの心身問題――頭足類から考える意識の起源 ピーター・ゴドフリー=スミス 著 / 夏目大 訳 出版社:みすず書房 発売日:2018/11/16  心はどこから生まれどう進化してきたのか?  哲学者にして熟練ダイバーである著者が、タコやイカといった頭足類動物を通して意識や心に思考を巡らせた本書。  生命の始原にまで遡って意識の発生を考察しているなかなかの力作。  タコは脳と8本ある足とで別々の中枢神経系を持つ。高コストな神経系でありながら、その生涯はおよそ2年と短い。  そうした運命下にありながら、小 ...

感想・レビュー

2020/12/6

【読書感想】たもさん『カルト宗教信じてました。』『カルト宗教やめました。』

  カルト宗教信じてました。 たもさん 出版社:彩図社 発売日:2017/04/27     カルト宗教やめました。~「エホバの証人2世」の私が信仰を捨てた後の物語~ 出版社:彩図社 発売日:2020/01/28    自分の人生の主役は誰なのか? 信じきることの虚しさと信じられることの大切さ    一応はじめに断っておくが、本稿および本稿で取り上げるものは特定の個人や団体、信仰を否定するものではない。  さて、本書に登場する某宗教については以前にも元信者という方が書いたものを紹介しているが、本書は似た経 ...