jinnosuke

『ねと見!』の管理人です。
昭和の終わりの方に北海道で生まれる。 専攻は哲学(インド哲学・仏教学)。 趣味は読書と散歩。愛読書は辞書。

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インド哲学仏教学/後鳥羽院と定家さん

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感想・レビュー

2020/10/17

【読書感想】ジョシュア・ハマー『アルカイダから古文書を守った図書館員』

  アルカイダから古文書を守った図書館員 ジョシュア・ハマー 著 , 梶山あゆみ 訳 出版社:紀伊国屋書店 発売日:2017/06/15  文明と暴力。それぞれの正義がせめぎ合う中、過去と未来がつながった軌跡  西アフリカ・マリ共和国。  かつて中近世アフリカの一大学術都市として繁栄したトンブクトゥは、現在でも近隣諸国を含めたイスラム文化や歴史の知の集積地としての役割を果たしている。  本書の中心人物であるアブデル・カデル・ハイダラは、国立の学術研究機関アフマド・ババ研究所に勤務しながらその最前線で活躍し ...

感想・レビュー

2020/10/15

【読書感想】川端裕人『我々はなぜ我々だけなのか アジアから消えた多様な「人類」たち』

  我々はなぜ我々だけなのか アジアから消えた多様な「人類」たち 川端裕人 著 , 海部陽介 監修 出版社:講談社(ブルーバックス) 発売日:2017/12/12   人類が現れる前、アジアには誰がいたのか? そしていつ来たのか?    2003年インドネシアでのフローレス原人発見は、成人でも身長1mほどしかない新種の小型原人が存在したとして人類史を書き換えるほどのセンセーショナルなものだった。  またこれまで知られてきた北京原人やジャワ原人以外にも、複数種の人類が同時期のアジアにいたことも分かってきた。 ...

天体観測

2020/10/6

天体写真を撮りたいの!~機材導入&木星・土星撮影編~

   ISO6400,露出時間10秒,f/3.5,18 mm  ……というタイトル通りの記事です。 目次  プロローグ  機材導入編  木星と土星を撮影!    Amazon  星空写真撮影術 改訂版 天体写真撮影テクニック プロローグ    実はワタクシ甚之助、子どもの頃の夢は天文学者でして、星空見上げたり、望遠鏡覗いたり、図鑑や書籍を読み漁っているような子どもでした。   cf,天文学者の仕事 - 京都大学 大学院理学研究科 宇宙物理学教室  岩室 史英  ただ、小学校高学年の頃「天文学者になるにはま ...

感想・レビュー

2020/9/30

【読書感想】平民金子『ごろごろ、神戸。』

  ごろごろ、神戸。 平民金子 出版社:ぴあ 発売日:2019/12/10  市井をみつめる異色の子育て日記  以前紹介した『深夜高速バスに100回ぐらい乗ってわかったこと』の著者・スズキナオさんは、またの名を"平民金子"さんという。  以前は『平民新聞』というブログを運営していたが、現在は更新を止めメルカリで日記を売っている。  その平民金子さんが、自身が住まう兵庫県神戸市の広報課HPで連載していたエッセイをまとめた一冊が本書。  ベビーカーを押しながら昼飲みしつつ巡る市中。奥様の自由時間確保という名目 ...

感想・レビュー

2020/9/27

【読書感想】斎藤毅『数学原論』

  数学原論 斎藤毅 出版社:東京大学出版会 発売日:2020/04/13  学部レベルのほとんどの分野を網羅する数学界の新たなる"魔導書"  『数学原論』といえばブルバキの全37巻7000ページ超のそれがあまりにも有名だが、本書はそのタイトルを拝借し、圏論の視点から現代数学がもつポテンシャルを読み説こうと試みる意欲的な一冊。  しかし、はっきりいって内容は非常にハイレベルなものとなっている。学部で学ぶほぼ全ての分野について網羅的に説明がされているが、まず目次を見て「あ、ここはあの分野のあそこをこんな感じ ...

感想・レビュー

2020/9/13

【読書感想】岡西正典『新種の発見-見つけ、名づけ、系統づける動物分類学』

  新種の発見-見つけ、名づけ、系統づける動物分類学 岡西正典 出版社:中央公論社(中公新書) 発売日:2020/04/18  動物分類学者の悲喜こもごもと、多様な生物界の奥深い様相  年間2万種を越える新種が発見・報告されている。  新種の発見に伴う採集方法・生態調査・分類学上の命名の手順、学名の名付け方など、本書は普段触れる機会のない動物分類学について語られた専門書だ。  とはいえ内容はそこまで堅苦しいものではない。著者が実際に行ったフィールドワークのエピソードなど、多少専門的・学術的用語も飛び交うが ...

感想・レビュー

2020/9/10

【読書感想】宇沢弘文『社会的共通資本』

  社会的共通資本 宇沢弘文 出版社:岩波書店(岩波新書) 発売日:2000/11/20  ひとがヒトとして豊かに生活できる社会的装置    世界的に蔓延する新型コロナの影響から求められ始めた、新しい生活様式。  また某国大統領による独善的な経済政策や国際間での摩擦、「資本主義の終焉」と叫ばれて久しい中でそんなことにあれだこれだと考えを巡らせているうちにふと思い出して再読した本。    日本人としてもっともノーベル経済学賞に近づいた人物といわれる著者が提唱した「社会的共通資本」。それは20世紀を象徴する資 ...

感想・レビュー

2020/8/31

【読書感想】エドワード・スノーデン『スノーデン 独白: 消せない記録』

  スノーデン 独白: 消せない記録 エドワード・スノーデン 著 , 山形浩生 訳 出版社:河出書房新社 発売日:2019/11/30    アメリカの秘密を暴露し命を狙われている男。その半生。    2013年、それまで陰謀論やフィクションとして語られていたNSA(アメリカ国家安全保障局)による国際的監視網(PRISM)の実在を告発したエドワード・スノーデン。  その大胆な暴露は世界最大の国家を相手にした途方もなくハードルの高い告発だった。  本書はそのスノーデンの半生と告発の経緯を、脚色なく、また釈明 ...

感想・レビュー

2020/8/29

【読書感想】中野信子『人は、なぜ他人を許せないのか?』

  人は、なぜ他人を許せないのか? 中野信子 出版社:アスコム 発売日:2020/01/25   する側される側、すべての「正義中毒」者への処方箋    炎上、不謹慎狩り、不倫叩きにハラスメント……。  SNSなどの普及により、「他人を許せない」「自分こそ絶対に正しい」と豪語して止まない人びとが世間に溢れかえっるようになった。いや、もともと潜在的にいたものが、手軽なツールの登場によって表面化し、彼らとの遭遇率が高まってきたというべきだろうか? インターネットなどなかった時代なら市井のそこかしこで繰り広げら ...