jinnosuke

『ねと見!』の管理人です。
昭和の終わりの方に北海道で生まれる。 専攻は哲学(インド哲学・仏教学)。 趣味は読書と散歩。愛読書は辞書。

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インド哲学仏教学/後鳥羽院と定家さん

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感想・レビュー

2021/2/4

【読書感想】ヤロスラフ・ハシェク『不埒な人たち』

  不埒な人たち ヤロスラフ・ハシェク 作 / 飯島周 訳 出版社:平凡社 発売日:2020/12/10  現代に響く風刺と反逆の精神  大作『兵士シュベイクの冒険』を代表作に、カフカ・チャペックと並ぶチェコの代表的作家の短編集。  40年に満たない短い生涯の中で残した千数百編という驚異の作品群の中から、珠玉の25作が選ばれている。  どの作品にも、ハシェクの特徴である度し難く強烈なブラックユーモアが響き渡っている。  作者の批判的精神の矛先は、教師や政治家に留まらず、官憲、ブルジョア、インテリ、共産主義 ...

天体観測

2021/1/27

天体写真を撮りたいの!~ポラリエ パワーアップ!編~

北斗七星と北極星  さて前回の天体写真を撮りたいの!~アンドロメダ銀河を狙え!編~の最後に掲載したアンドロメダ銀河およびプレアデス星団の写真ですが、画像の合成技術云々の前によく見ると星像の"流れ"がとても気になった。  "流れ"とは、長時間露出している際、本来地球の自転と合わせて動く赤道儀の回転がズレてしまい、星像が少し棒状に伸びてしまっている状態をいう。  前回の写真に付したデータを見てもらえば分かる通り、かなりの焦点距離と時間で対象を追っているのでその影響はかなり大きい。  ……とはいえ前回導入したポ ...

感想・レビュー

2021/1/26

【読書感想】ひろゆき『叩かれるから今まで黙っておいた「世の中の真実」』

  叩かれるから今まで黙っておいた「世の中の真実」 ひろゆき 出版社:三笠書房 発売日:2020/11/25  これから社会に出る人に知っておいてほしい現実と、自分の頭で考えることの大切さ。  よくテレビ番組に出演した際、飄々としながらも歯に衣着せぬ物言いで"論破祭り"などと騒がれるひろゆきさん。本書でもその論調は変わらない。  普段から自著について「自分はしゃべっただけで、書いたのはライターさんや編集さん」と言っている通り、多分今回もそうなのだろうが、相変わらずの緩い口ぶりながら切れ味鋭い言葉が並ぶ。 ...

感想・レビュー

2021/1/23

【読書感想】適菜収『日本人は豚になる 三島由紀夫の予言』

  日本人は豚になる 三島由紀夫の予言 適菜収 出版社:ベストセラーズ 発売日:2020/11/04  今の日本に響かせたい三島由紀夫の金言と慧眼  安倍前首相はじめその周辺への最も的確な批判者として名高い著者。  本書はそんな適菜節ともいえる辛辣な言説を交えながら、不世出の文豪・三島由紀夫が晩年近くに何をどうとらえ、考えていたかを問い直している。    評論作品を中心とした著者の的確な抜粋は、三島が危惧した将来の日本の姿がいかに現在の日本と酷似しているかを物語っている。  そしてそのどれもが現代日本の陥 ...

感想・レビュー

2021/1/19

【読書感想】ニケシュ・シュクラ『よい移民 現代イギリスを生きる21人の物語』

  よい移民 現代イギリスを生きる21人の物語 ニケシュ・シュクラ 編 / 栢木 清吾 訳 出版社:創元社 発売日:2019/07/29  人と人を分け隔てるもの。そして人と人をつなぐもの。  イギリスに住む21人の"体験"談をまとめた本書。  この21人は作家や俳優、クリエイターなどさまざまな職業だが、みないずれもアジアやアフリカからの移民の子孫だ。  イギリス社会に沁み込んだ差別と無知。  同じ国に生まれながら移民の子孫であるがために直面した差別や偏見、暴力や格差。  そこに対する不安や怒り、戸惑いと ...

感想・レビュー

2021/1/17

【読書感想】佐伯良隆『100分でわかる! 決算書「分析」超入門 2021』

  100分でわかる! 決算書「分析」超入門 2021 佐伯良隆 出版社:朝日新聞出版 発売日:2020/09/18 決算書分析初心者にとってのチャート式  ハーバード大学でMBA(経営学修士)を取得した著者が編み出した「最強・佐伯メソッド」。  それを駆使し、決算書を読み解くために必要な最低限の知識と方法をギュッと一冊にまとめた書籍の2021年版。  すでに決算の入門書としての新定番化していることを知っている人も多いだろう。  どうしてそこまで支持を受けるのか? 第一に挙げられるのは「凄まじい」までに分 ...

感想・レビュー

2021/1/13

【読書感想】田村由美『ミステリと言う勿れ』

  ミステリと言う勿れ(1) 田村由美 出版社:小学館 発売日:2018/01/10  ミステリっぽいけどミステリっぽくもない、ミステリな対話編  『BASARA』などの作者・田村由美先生の話題作。  作者曰く「舞台劇をイメージ」した「閉鎖空間での会話だけ」が織り成される内容は、主人公と登場人物との対話に重点が置かれ、数あるミステリや探偵ものの小説やマンガにはない独特の世界観を描き出している。  主人公はどこにでもいる大学生……ではなく、名前も髪型も趣味趣向もどこかちょっと風変わりで、いうなれば"不思議ち ...

インド哲学仏教学

2023/6/10

インド二大叙事詩とヒンドゥー教の聖典について

【改訂記録】 ・2021/02/24 「あらすじ」欄に各巻・章のタイトル追記。   前説  インドの二大叙事詩『マハーバーラタ(Mahābhāratam)』と『ラーマーヤナ(Rāmāyana)』、そしてヒンドゥー教における最高の聖典と称される『バガヴァット・ギーター(Śrīmadbhagavad gītā)』について、その概要をまとめてみました(個人的な復習の意味も含め)。  かなりザックリとしたまとめになっていますが、本記事はちょっと実験したい部分もあって、今後も随時改訂したりしていきたいと思います。 ...

感想・レビュー

2020/12/26

【読書感想】苫米地英人『現代洗脳のカラクリ』

  現代洗脳のカラクリ 苫米地英人 出版社:ビジネス社 発売日:2017/02/10    自分の頭で考える。そのために必要なことと対処法と。    オウム真理教元信者の洗脳を解くなどの功績のある認知科学者・苫米地英人先生の著書。  刊行は2017年なので、部分的に鮮度の落ちるトピックはあるものの、全体として著者の主張は変わっていない。  我々が目にする世界は"洗脳"で満ちている。  テレビ番組、CM、電車内の広告……。こういうと、「陰謀論が~」「胡散臭い~」という声ももちろん聞こえてくるだろう。  しか ...