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【読書感想】杉作・ヤースー『ボクとおば~のフシギな話』

 
 ボクとおば~のフシギな話 1
 杉作 漫画 / ヤースー 原作

 出版社:リイド社(ボーダーコミックス)
 発売日:2023/07/20

ちょっぴりフシギでちょっぴりコワいおばけの話し

 最近、怪談・オカルト系ユーチューバーとして人気急上昇中のトクモリザウルス・ヤスさん。そのチャンネルの中でも特に人気のある「おば~の話」シリーズを漫画化した本書。
 ヤスさんのおば~は沖縄の伝統的な霊媒師「ユタ」だ。その血を受け継ぐヤスさんもまた、幼少時より「見える」タイプの人だった。
 本書の内容は基本的にこれまでの「おば~の話」動画回で紹介されたエピソードばかりだが、ヤスさんの語りと、ほのぼのとした作画とでは受ける印象が全く違ってくる。ヤスさんの語りは淡々としているが、芸人さんらしく話術に長けていることもあって、話の内容にどんどん引き込まれていく。一方の本書では、ほのぼの系漫画の名手・杉作さんによる客観的な視点が加味されていて、話の内容により臨場感をもって触れられるような気がする。可笑しかったり切なかったり、当事者であるヤスさんの心理的な側面がより強調されて、ちょっぴり怖くて不思議なエピソードの世界にじっくりと浸ることができる。 そして舞台がヤスさんの故郷・沖縄というだけあって、どこか遠い夏の思い出を想起させるようなノスタルジックさも加わっている。
 幼き日の頃のヤス少年とおば~とおじ~と、周囲のひとびととおばけとの、なんとも心暖まる作品に仕上がっている。

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