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【読書感想】赤井佳子『赤井図鑑』

 
 赤井図鑑
 赤井佳子

 出版社:扶桑社
 発売日:2021/11/17

ある夫婦の愛の形。夫婦円満のひけつとは?

 元プロボクサーで俳優の赤井英和さん。某引越し業者のテレビCMはじめ、数々のドラマや映画での演技には定評がある。
 そんな赤井さんの妻にして、事務所社長兼マネージャを務める佳子さん。夫との何気ない日常をSNS上に投稿したところ大反響を呼び、フォロワーは20万人を超える。そんなSNSの投稿を書籍化したのが本書となる。
 まず、表紙を飾る一枚で気が付くことがあるだろう。腰にタオルを巻いた姿で玄関先に立つ赤井さん。一瞬どういう状況かと呆気にとられるが、曰く「たとえ自分がどういう状況でも、家族が外出する際には見送りをする」というモットーがあるらしい。赤井さんと言えば、貫禄のある演技と相俟って少し強面の顔という印象だが、この一枚を見る限り家族の前ではなんと無防備な人であることかがよく察せられる。
 家族だけが知る赤井英和の姿を妻視点で切り取った時、その何気ない日常の風景がこうも面白くなるものか? そこには夫婦の愛情の深さがあることを本書を読めばすぐに理解できる。
 とんでもない出会いから夫不在での結婚劇など、そのままテレビドラマ化できそうなエピソードの数々。ほとんどが大阪成分で成り立っている赤井さんだが、バラエティ番組などで魅せる愛嬌ある姿とは違う少年のような繊細な姿。テレビや映画では絶対に見ることが出来ないそんな姿を、佳子さんは「いきもの赤井」の生態観察をするかのような視点で描き出している。これは夫婦間が深い愛情で結ばれ、お互いを心の底から信頼しているからこそ成立することだろう。
 ちなみに赤井さん自身は離婚歴があり、前妻との間に2女、佳子さんとの間に2男1女のお子さんがいる。前妻との次女はプロレスラーでモデルの赤井沙希さん、佳子さんとの長男はプロボクサーの赤井英五郎さん。

 個人的に赤井さんと言えば、テレビドラマ『人間・失格~たとえばぼくが死んだら』で死に追いやられた息子の復讐に燃える父親、そんな印象が強く残っている。それだけに、本書で接した赤井さんの赤裸々な私生活には、新鮮な驚きと和やかな感情が沸いてきた。

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