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【読書感想】ひすいこたろう『あした死ぬかもよ? 人生最後の日に笑って死ねる27の質問 名言セラピー』

 
 あした死ぬかもよ? 人生最後の日に笑って死ねる27の質問 名言セラピー
 ひすいこたろう
 出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン
 発売日:2012/12/26

人生最後の日に笑っていられるように

 以前紹介した清水研『もしも一年後、この世にいないとしたら。』とも多少関連する内容の一冊だが、『もしも一年後~』が死に直面した患者と接する医師の視点から書かれているのに対し、本書は晩年を迎え「死」を意識しはじめた人の視点から描かれている。
 人生の終盤、多くの人は自らの人生を振り返って「もっと冒険しておけばよかった」と後悔するという。それはその人にとって大切な人やものがあったからこそ、それを失いたくない気持ちからチャレンジを無意識に避けてきた結果だ。だが残念なことに、自分自身も、そして自分にとって大切な人も必ず死を迎える。その時、大切なものも当然失うことになる。
 こうした前提のもとで、自分は自らの心の声に純粋に向き合い、自分自身の人生を満足いく形で生きていると、果たしてどのくらいの人がいえるだろうか?
 そこで本書では、「死」と本気で向き合うことにより、残された時間をもっと大切に生きようと思えるテーマやエピソードが数多く紹介されている。「メメント・モリ」の言葉に代表される歴史上の人物の逸話も豊富だ。
 もし明日死んでしまうとしたら? いや、今日が人生最後の日だったとしたら? 実際普段生活している中ではあまり実感の湧かないことではあるが、それが一体いつやってくるかは誰にも分からない。それゆえにこそ、自分の気持ちに正直に生きることは非常に重要かつ尊いものなのだ。本書はそこを特に注視している。
 ただ、物腰柔らかい書き口ではあるが、少々読む人を選ぶきらいがあることは留意しておいたほうがいい。世の中には大切な人やものなどないと感じながら生きている人もいる。そういう考え方の人の心には刺さらない内容だろう。自分の頭で考えるのが不得手だという人もまた然り。
 つまり、自分の考えで自らを変えていく、そうした意識の強い人のための本だといえる。

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