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【読書感想】諏内えみ『「育ちがいい人」だけが知っていること』

2021年05月28日

 
 「育ちがいい人」だけが知っていること
 諏内えみ
 出版社:ダイヤモンド社
 発売日:2020/02/20

マナーという他者への気遣い心遣い

 マナースクールの代表を務める著者によるマナー入門書。
 ふるまい・話し方にはじまり人間関係や贈答に至るまで、さまざまなシチュエーションにおける立ち居振る舞い方が丁寧に解説されている。
 紹介されているマナー一つひとつはどれもありきたりなものばかりで、他のマナー本と比しても大きな差はなく、真新しく感じるものは乏しい。
 しかしタイトルにある"育ちの良さ"に焦点を当てた解説なので、読んでいるだけでも心が洗われるようなエレガンスさを感じられる。
 著者曰く「育ちとは、美しさを凌ぐ一生の武器」であり、「育ちは、変えられ」るものだという。
 なにより「育ちは、自分でつくるもの」と断言してくれているあたり、とても頼もしい。

 本書は女性向けに書かれているが、シチュエーション・TPO共に男性側に置き換えられるものも多く、立場に応じたアレンジが可能だ。

 私は常々、"マナー"とは単なるルールや型的なものではなく、その空間を共有する他者への配慮だと考えている。
 また育ちの良さについても、よく「育ちは顔に出る」などと言われているが、その実は常日頃からの立ち居振る舞い所作言動にこそ立ち現れてくるものだと思っている。
 そういう視点からも、本書で語られているマナーは基本中の基本だといえるだろう。

 一点だけ揚げ足取りのようなことを言えば、そもそも育ちが良い人というのは基本的なマナーが身についているものなので、あえてタイトルに「育ちがいい人」と添える必要もないのではと思わずにいられなかった。無論、本のタイトルは別の目的もあったりするから、こういう指摘は野暮以外のなにものでもないのだが。

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