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【読書感想】読書猿『独学大全――絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』

 
 独学大全――絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法
 読書猿

 出版社:ダイヤモンド社
 発売日:2020/09/29
 

 前代未聞!独学者の独学者による独学者のための独学百科事典

 以前紹介した『これからのエリック・ホッファーのために』(2018年11月の本)は在野研究者としての心得と戦略を示してくれる好書であったが、本書はその前段階たる"独学"の方法について指南してくれる一冊。
 発売前より大注目され、その後は品切れが続くなど話題を呼んでいることはあえて記さずとも瞭然だろう。
 本書の特徴は、独学の方法論としての勉強法や読書術、記録の取り方や記憶術といったノウハウはもちろん、その初学における心構え、モチベーションの保ち方、時間の使い方など、何かを学ぶ上での基礎中の基礎にまで指摘を与えてくれている。また、各手法への導入や困った時のための索引など、読む側への配慮にも事欠かない。
 独学時の学習法については、ある程度こなしてきた人にとっては既知のものも多いだろう。しかしどのノウハウにも再現性が高いアプローチが付され、各人にとって有効な手段を確実に選び取ることができる。それ故にレファレンスとしても実に重宝する。今までどうしてこのような本がなかったのかと思うほど、利便性にも示唆にも富んでいる。随所でみられる著者の博覧強記ぶりと微細なまでの精査具合と相俟って、とても刺激的だ。

 一点だけ難点を挙げるとすれば、それは本書がおよそ800ページに及ぶ大著だというところだろうか?
 "大全"の名に相応しいボリュームだが、やはり独学のための百科事典といった方が似合う。もちろんしっかり読み込むことでも得られることは非常に大きい。また、幾度となく再読するなかでの再発見も非常に多い。
 本書中、さまざまな書物や著作者のエピソードも掲載されているがそれだけ読んでも実に楽しい。
 兎にも角にも、独学者にとっては必須の一冊であることは間違いない。

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