1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365
デイヴィッド・S・キダー,ノア・D・オッペンハイム 著
小林朋則 訳
出版社:文響社
発売日:2018/04/27
教養を身に着けることって実はとっても楽しい
NYタイムズ紙はじめ、日本でも発売当初からテレビなんかでも話題にあがり、アマゾンでは堂々のベストセラー1位を獲得している本書は、タイトル通り、365個の教養知識を1ページずつ簡潔にまとめ、本当に1日5分、1ページ読むだけでさまざまな教養を得られるという代物。
簡潔にまとめられているとはいえ、Wikipediaのように時に冗長すぎるわけでもなく、高校生が使うような世界史用語集のような短さでもなく、ほどよく読み応えのある文章量で心地よい。またほとんどの項目に"豆知識"が付されており、更に知的好奇心をくすぐってくれる。
一般教養としては妥当もしくはその少し上という感じだが、多少読書量のある人にとっては、高校世界史の用語なんかを一つひとつ掘り下げた程度の内容であることは否めない。
しかし本書の画期的なところは、曜日ごとではあるが歴史や科学、音楽といった具合にページを繰るごとに関係性のない他の分野の項目に飛ぶことだ。また飛んだ項目自体にもなんのつながりもなく、脈絡がない。
たとえば、「シューベルト」→「観念論」→「モルモン教」→「アイルランドのジャガイモ飢饉」といった感じだ。
なにか新しい分野や事柄の勉強をしようとしたとき、どうしてもその領域内にしか目がいかなくなるものだし、それ以外の部分への逸脱というのは非常に困難だったりする。
しかし本書の一見雑多なまとめ方は、そうした垣根を取り払ってくれる。そしてその地平に立ってこそ、知識の大海原の深淵さをより体感できるのだと思う。
続編となる『現代編』『人物編』も同様のまとめられ方をしており、1日1ページとは言わず、気のすむまで時間の許すまでページを繰ると、また違った面白味を味わえるだろう。
……ま、常々愛読書は「辞書」といってる私にとって、百科事典やタ○ンページ、鉄道時刻表でさえ十分読み物なのだが、人前で読むには少々憚れるものもあるので、こうして単行本化されているというのは非常にうれしいと、個人的感想を最後に付け加えておく。
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