ブッダの瞑想法: ヴィパッサナー瞑想の理論と実践
地橋秀雄
出版社:春秋社
発売日:2006/05/22
釈尊が体得した究極の瞑想法。その奥義の実際
昨今欧米の企業などでも取り組みが広がっている「マインドフルネス瞑想」、その原型となっているのが本書で紹介されているヴィパッサナー瞑想だ。
座禅はじめ「瞑想」にはさまざまな形式や方法が知られているが、本書はヴィパッサナー瞑想の名前がまだ日本でその名が広く知られていない頃から著者が実践してきた方法論が、余すところなく示されている。
その実践方法だが、細かな形式や所作はもちろん、うまく実践できない場合への対処法やリカバリの仕方、また習熟度の目安などフォローが行き届いている。とにかく解説が懇切丁寧でイメージしやすい。
瞑想と一言でいってもその方法や考え方は種々様々ある。と同時に同じ方法を実践しても人それぞれで感じ方も違うので、「これ」といった正攻法がないともいえる。
しかし本書の場合、どこがポイントなのかを明瞭に指摘してくれている中で、感覚的な表現を用いず理路整然とした説明と結果を示してくれているので、実践した際に「正しいのか間違ってるのか?」などと悩むことはない。
また、実践する上で下地となるべく仏教思想に関しても、随所で適宜紹介・解説を与えてくれている。その解説が実にシンプルでわかりやすい。仏教用語に不慣れな人には若干の敷居の高さが感じられるかもしれないが、読み返す内に自ずと理解できるであろうレベルにまで咀嚼してくれている。
今でこそヨガや瞑想という言葉も世間に広まったが、それでも「なんだか胡散臭そう」「オカルトの雰囲気が」などと感じている人も少なくないだろう。
しかしその実を紐解けば、「瞑想」とは「自分自身を客観視」し「現実(事実)と妄想(概念)を分ける」ことだとわかる。
本書の中の一文がそれを物語る。
「人の生き方というものは、とどのつまり反応系の心のパターンの問題です。対象世界から入力されてくる情報は同じでも、どのような情報処理と反応の仕方をするかによって、すべてが一変します」
普段の生活の中で、そのことに気づき実行できたとしたら、どれほどメンタル的な平穏を得られることか想像に難くない。
「理論と実践」のタイトル通り、特に瞑想入門者にはうってつけの一冊。
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