無病法
ルイジ・コルナロ 著 / 中倉玄喜 訳
出版社:PHP研究所
発売日:2012/05/24
先駆的"食べない"健康法
近年、「プチ断食」や「ファスティング」といった空腹状態を活用した健康法が広まりつつある。
2016年ノーベル生理学・医学賞を受賞した大隅良典博士らによるオートファジーの解明など、科学的な裏付けも相俟ってその注目度合いはより高くなっている。
本書は今から遡ることおよそ500年前、ルネサンス期のイタリアを生きた貴族による健康法の講和記録だ。
著者のルイジ・コルナロは、同時代にあってなんと102歳という長寿を全うしている。
しかしその前半生は貴族という貴い身分にありがちな、随分破天荒な生活を送っていたようだ。
暴飲暴食に明け暮れた果てに30代でさまざまな生活習慣病に罹患し、更に40代で生死の淵をさまようことになる。
そこで医師の奨めもあって実践したのが、本書で紹介されている"極"少食の生活習慣だ。
一日の総量にして350gの食べ物と400ccの飲み物、これを日に二回に分けて摂る。茶碗一杯分のご飯の量で、カロリーは1000kcalを下回る。
現代日本人が一日で摂取する平均的なカロリーが1800~1900kcalなので、ほぼ半分だ。
それで果たして本当に身体は大丈夫なのか?
本書には食養研究家の訳者による詳細な解説もついているので、その辺の疑問にも十全に答えてくれている。
もっとも少食による効果効能を知っている人にとっては当たり前の内容ではあるのだが、今から500余年も前にすでにそれを実践した人がいたことには、新鮮な発見と喜びがある。
で、私自身も数か月前からだが、いわゆるプチ断食を基本とした少食の生活習慣を実践している。
最初数日は空腹感に悩まされたが、それにはすぐに慣れた。
空腹のそれ以上に身体の軽さや体調不良の低減が如実に感じられ、個人的にはメリットしか感じられないでいる。
もちろんこうした生活習慣の効果効能は個人差が大きいし、場合によっては逆効果が発現してしまう可能性もあるので、もしやってみようという場合は医師からの指示など受けておいても良いかも知れない。ただ、プチ断食程度ならそこまで心配はいらないというのが実感だ。
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