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【読書感想】小林昌樹『立ち読みの歴史』

 
 立ち読みの歴史
 小林昌樹
 出版社:早川書房(ハヤカワ新書)
 発売日:2025/04/23

「読む」ことの歴史

 『調べる技術: 国会図書館秘伝のレファレンス・チップス』の著者が同書の方法を実践・活用し綴った、"立ち読み"から見える読書変遷史。全体を通して感じるのは、書き手の史料は数あれど、読み手の史料の圧倒的少なさだ。
 "立ち読み"といっても、われわれが漠然とイメージするその姿勢の背景に、果たしてどれほどの歴史が積み重なっているのか? まずはその定義にはじまり、発生時期の推察と海外との比較を通じて見えてくるのは、書店の変遷と書籍の形態、そして読み方そのものの変化と多岐にわたっている。和綴本から洋本へ、閉架から開架陳列へ、音読から黙読へと、その変遷をたどることは、そのまま書籍を中心とした生活文化の変遷の歴史的背景に触れることとなる。またそれに伴う基礎教養に対する一般市民の意識の変化と日本的な猥雑さが相俟って、現代の書店の姿が形作られてきたことがわかる。
 本書はあくまで読み手の変化が話題の中心なので、『町の本屋はいかにしてつぶれてきたか』などに比べて出版文化的な内容は薄いように感じた。

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