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【読書感想】八條忠基『呪術と科学の有職故実図鑑』

 
 呪術と科学の有職故実図鑑
 八條忠基
 出版社:平凡社
 発売日:2025/11/27

気軽に触れ合える有職故実の世界

 古代日本において呪術とは科学そのものであったという視点から、日本の伝統的な生活様式や文化的背景を紐解く本書は、とにかく知識欲が満たされる一冊だといえる。学生時代、授業そっちのけで国語便覧や世界史・日本史の資料集に目を通していた経験のある人なら分かるであろう、あの感覚そのままで読める図鑑なのだ。
 有職故実という言葉だけでどこかお堅いものを感じる人もいるかもしれない。確かに内容は学術的にきっちりと書かれているのでフランクな読みやすいには欠けるかもしれないが、宗教や科学技術といった大枠でくくられている以外は各項ほぼ1~2ページで収められ、また図版がかなり多いので気になる読みづらさはない。
 なにより、図鑑というだけあってこちらの興味をそそるような書き口で解説されており、巻末の「文献資料」では、参考資料のほか出典資料の該当箇所原文まで添えられているからありがたい。気になった項目をどう深掘りしていくか、そこをアシストしてくれる感じだ。
 有職故実に関する書籍は研究書はじめさまざま出ているが、読者の知識欲をここまで掻き立てる書籍はそう多くはないと思う。

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