飼い犬に腹を噛まれる
彬子女王
出版社:PHP出版
発売日:2025/09/29
プリンセスの日常事件簿
ベストセラー『赤と青のガウン』のその後を綴ったエッセイ集。新聞掲載のものを中心に、似たような内容のものを全6章立てで収録されている。
まず本書を繰る前に、『赤と青のガウン』以降、『日本美のこころ』『京都 ものがたりの道』など皇族らしい著作が並ぶなか、意表を突くようなタイトルに驚かされる。序盤に収録されているエッセイの表題からとられているとのことだが、その内容を読むにつけても著者の人柄がとてもよく伝わってくる。
皇族であるがゆえに一般人では経験できないような出来事ももちろんあるが、全体を通して、著者の飾らない日常は我々の日常ともなんら変わりないことに心地良い安心感と共感がもてる。その一方、著者一流のフォーカスの当て方、あるいは日常の切り取り方というべきだろうか、どんな些細な出来事でも慈愛に満ちたハプニングへと昇華していく様には「さすが」としか言いようのないものを感じる。曰く「自他共に認める事件体質」だというが、生来の気さくな人柄ゆえだろう。エッセイ内にたびたび登場する側衛たちとの楽しそうな関係性からもそこのことがうかがえる。
挿絵は「猫村さん」シリーズでおなじみのほしよりこさんの手によるものだが、エッセイ全体からにじみ出る温かな雰囲気そのままをイラスト化したかのようだ。