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【読書感想】ヘルマン・ディールス『古代技術』

2025年01月21日

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 古代技術
 ヘルマン・ディールス 著 / 平田寛 訳
 出版社:筑摩書房(ちくま学芸文庫 テ-17-1)
 発売日:2024/04/12

古代ギリシャの科学的思考態度

 『ソクラテス以前哲学者断片集』の著者による古代ギリシャの技術史。およそ概略に近い内容ながら、執筆当時伝わっていた限りの史料をもとに、古代ギリシャでどれほどまでの技術が考案・改良されたかを深掘りしている。
 いまだ科学と哲学が未分化の時代。技術者もまた哲学者であり科学者であったというのは現代ではどこか不思議な感じもするが、本書を読めばそれらが隔絶したものではなく、連綿と通じた背景を持ち合わせたものであることが分かる。鍵のベースとなった閂(かんぬき)の考案から時計の製作に至るまで、現代でも使われている技術の礎がどのように築かれたのか、興味はつきない。
 また本書が世界大戦間期のドイツで記され、現代科学史のベースとなっている点も興味深く、かつ忘れてはならない歴史を示唆している。

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