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【読書感想】岡田利規『掃除機』

2024年05月25日

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白水社
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 掃除機
 岡田利規
 出版社:白水社
 発売日:2023/03/16

日本語、その可能性とは?

 正直なところ、自分は本書をどう批評するかの言葉を持っていない。
 そもそも戯曲である以上、そこで扱われる言葉は舞台上で評価されるべきだと思うし、その舞台の礎としての台本であるにせよ読み物として本書を扱うべきなのか否か、迷うところである。それ以前に、本書に収録されている作品は日本語で書かれたものでありながら、初演はすべて海外でその国の母国語で行われている。
 2023年03月、本書刊行と前後して初めて日本語による上演がなされた。私自身、その舞台を観ていないのでそもそもの批評のしようもないのだが、著者が主催する劇団ユニット『チェルフィッチュ』の舞台は何度か観劇したことがある。その時の印象から推して図るならば、現代的な口語の粋を極めた先に行き着いた台詞、その結晶あるいはエッセンスがふんだんに散りばめられた作品群であるように思う。文章として読むには極めて読みづらい部分も多いが、それが役者の声・演技・パースペクティブな空間と相俟ってどのように表出されるのか、想像力を掻き立てられて仕方なかった。現代社会、特に日本社会の現状の一端を鋭く突いてくる設定も、安易な陳腐さを感じ察せないくらい巧妙に練られているのは読んでいて苦にならない。
 なにはともあれ、良い意味で唖然としてしまったと言わざるを得ない。

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