人生を変えるモーニングメソッド
ハル・エルロッド 著 / 鹿田昌美 訳
出版社:大和書房
発売日:2017/02/22
人生を変える最高な一日の始め方
本書は著者の壮絶な半生の懐古から始まる。
20歳のころ、大学生ながらマーケティング会社でトップの成績を収めたセールスマンでもあった著者は、とある夜のパーティからの帰路、自動車事故により一命は取り留めたものの、再起不能と言われる傷を身体におった。医者からも「今後自足歩行は絶望的」とさじを投げられた。しかし彼は翌年には再びセールスマンとしてトップ10入りを果たす。
その後、本を上梓したり結婚したりと充実した生活を送ったようだが、またしても不運は突然に降りかかった。アメリカ経済界を一撃で崩壊させたリーマンショック、そのあおりをまともに受けた彼は全財産を失い鬱と自殺願望にさいなまれる日々を送る。そしてここからも見事に蘇った著者が世に問うた本書には、彼が危機的状況に陥るたび実践し事態を好転させてきた方法論が包み隠さず記されている。
朝、目覚めてから仕事に行くまでの時間、それがどれほど貴重なゴールデンタイムであるか、ネット記事や他の書籍で知る人も多いだろう。
しかしそのゴールデンタイムに何をするかで得られるものは桁違いに変わってくる。
著者はそのクオリティを極限にまで高めるために、
・瞑想
・アファメーション
・イメージング
・運動
・読書
・日記
を60分かけて行うことを推奨している。このルーティンはそのために1時間早く起きることの辛さに比して、とてつもなく大きなメリットをもたらしてくれる。
しかし仕事の関係や物理的な問題でどうしても1時間を確保できない人がいることも事実なので、著者はそのための短縮版、最短6分で完結できる方法や代替行動も示してくれている。
果たしてそれで本当に効果があるのか? そんな疑問も浮かびそうなのだが、こればかりは本書の示す通りに実践してみない限り、その効果を知ることはできない。
また、一連のルーティンの実践以前に、習慣化が苦手という人も多い。そのために著者は習慣化のハードルを下げるべく、その方法論も示してくれている。
ここまで至れり尽くせりな方法論を示してくれる背景に、著者自身の浮沈極端な半生、何度も生と死の境界を行き来しながら復活しえた経験がここまで熱く物語らせているのだろう。
「待っていればいつか好転する」そんな希望的観測は、著者自身の経験に裏打ちされた方法論の説得力の前には、荒唐無稽も甚だしいものだと痛感させられる。
たった一時間、それを毎日続けることでどんな高みに至れるか、読んでいるだけでその境地を擬体験できてワクワクさせられる一冊となっている。
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