金持ちフリーランス 貧乏サラリーマン
やまもとりゅうけん
出版社:KADOKAWA
発売日:2020/12/02
自由な時代の自由な働き方とお金に困らない考え方
似たようなタイトルの世界的ベストセラーを、どこかで見たことがあるようなないようなw
そんなタイトルから推して量るべく、本書は"フリーランス"という働き方と、そこからどうお金を得ることへつなげるかについて書かれている。
「好きなことで生きていく」といった言葉が巷で賑わって久しいけれど、それを象徴する働き方こそフリーランスだ。
本書では資本主義の原則とサラリーマンという立場の現実が"もっとも理不尽な業務形態"だと、冒頭から突きつけられている。
多少ネタバレになるが、その一例を挙げるならば、「有能な社員の業績によって使えない社員の給料も賄われている」あるいは「使えない社員を雇う会社側のリスクの多き」などがある。
詳細は本書によってもらいたいが、サラリーマン経験のある人なら思いあたること請け合いだ。
その中でも個人的に痛切に感じられたのが「(重すぎる責任とともに)『仕事』も『人』も選べない理不尽」があるという点だ。
そしてここが、サラリーマンとフリーランスの決定的な違いとなっているように思う。
これらの前提のもと、フリーランスという働き方のメリットや、サラリーマンとの精神的・時間的・金銭的差異、またフリーランスとしてお金を得ること、そしてそれをどのように増やして行くかについて、様々な手法や形態の比較、具体的な数字を示しながら分かりやすく解説されている。
とはいえ本書で語られているのはあくまで"うまくいった場合"のような気もしてならないが、しかし著者がその道で長く活躍してきた方であるだけに説得力がある。
特に後半、仕事で得たお金をどのように増やして行くかについての部分はとても勉強になる。もちろん知っている人にとっては当然の行動なので、人によっては内容が薄く感じられるかもしれない。
本書の特筆すべき点は、フリーランスという生き方を闇雲に礼賛・推奨していない部分だろう。
サラリーマンをしながら副業する道の在処についてもしっかり示されている。基本となる考え方が同じなのだから当然といえばこれも当然だが、心理的に抵抗がある人やどうしていいか分からないという人の背中を優しく押してくれる。
さまざまな技術革新や情報網の整備によって、これまでの価値観が大きく変わろうとしている今、本書は「お金を稼ぐ」ということを問い直すきっかけを与えてくれる。
資本主義の原則、それはお金を稼ぐことだ。
日本には長らく「清貧」こそ美徳とされ「金儲けは悪」といった観念が蔓延っていた。しかしそれが、現在のグローバルスタンダードといかにかけ離れているか、陽を見るより明らかだろう。
お金から目を背けず、儲けることへのハードルを一気に下げてくれる、そんな一冊だ。
Amazon
お金のこと何もわからないままフリーランスになっちゃいましたが税金で損しない方法を教えてください!