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【読書感想】日本近代文学館編『芥川龍之介写真集』

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 芥川龍之介写真集
 日本近代文学館 編
 出版社:秀明大学出版会
 発売日:2024/03/31

文豪の横顔

 大正期を代表する文豪・芥川龍之介の写真集。日本近代文学史に燦然と輝く芥川の写真は、これまで新潮文学アルバムなどのシリーズでも数多く取り上げられているが、本書は日本近代文学館が所蔵する写真から芥川一人に焦点を絞った異色の作品である。
 本家の方でもたびたびコメントしているが、私は芥川龍之介を私淑している。今でこそ作品を耽読することはなくなったが、それでも頭の片隅にはいつもその存在があるほどなので、これまでも芥川関連の資料を通してさまざまな生前の写真を目にしてきたが、本書には今まで見たことがなかったものも数多く収録されている。なにより裏書や撮影された日付なども掲載されており、芥川ファンにとっては垂涎の資料ともいえる。また年表や略歴がなく、代わりに写真に関連する芥川の一文が添えられているのがそれに拍車をかける。
 完全にコレクターアイテム的な一冊ではあるが、戦火へと突き進む未来を孕んだ昭和の幕開けに「ただぼんやりとした不安」という言葉を残してこの世を去った文豪とその時代背景は、どこか今の日本に通じる空気感とメッセージ性を秘めているように感じられた。

 それはそうと、芥川の容姿は「美男」として広く知られているが、その実「すきっ歯」だったことはあまり知られていない。数葉残されている口元が空いている写真を見ただけでもそのことがよく分かる。また、生前親交のあった人物によると手なども汚れていて案外薄汚かったという証言もある。なにより「朝、顔を洗わない方が便利」と豪語していたり、結構な風呂嫌いだったりというエピソードにも事欠かない。まあ、芥川本人を下げる意味合いはないが、案外人は見かけによらないものと思う次第である。
 
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