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モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語
内田洋子
出版社:文藝春秋(文春文庫 う 30-3)
発売日:2021/11/09
本がつなげた暮らしと人と歴史
2018年、本屋大賞「ノンフィクション本大賞」にノミネートされるなど話題を呼んだ本書は、イタリア・ヴェネツィアの古書店での数奇な出会いから、本の行商を生業とした山の中の寒村の歴史と多彩な人間模様を描き出した珠玉のノンフィクションだ。
耕作に適した農地もなく、産業となる資源もない。多くの大人は他地域へ出稼ぎに行く。そんな貧しい村の人々が、なぜ本の行商をはじめたのか? 本書中にある「本が人を繋ぎ、そしてイタリアを1つにした」という一文をもって歴史ミステリーのような内容にも思えるが、その実際は本と本屋の原点を垣間見せてくれる貴重なレポートだ。
本がつなぐものは、そこに書かれた知識だけではない。人と人、そしてその暮らしや歴史といった、時間も空間もかけ離れたもの同士を縦横無尽に紐づけていく様子がページを繰るごとに立ち現れてくる。そしてその先にあるのは、この小さな村と本を愛してやまない人々の矜持と平穏な日常だ。
ノンフィクションだが比喩に富む詩的な文章と、著者が撮ったアーティスティックな写真は相性が抜群に良く、壮大な叙事詩を紐解いているような気分になってくる。
本好きであれば必ず読んでおくべき一冊だろう。