私の見た未来 完全版
たつき諒
出版社:飛鳥新社
発売日:2021/10/02
備えることの意味とは?
ここ数年、2011年3月の東日本大震災を予言したとして都市化伝説界隈を中心に話題になっているたつき諒『私が見た未来』。原本は1999年に刊行されて以来絶版となっていたものの、著者の新たな予知夢と自身のみた夢を書き留めた「夢日記」を同封し完全版として復活したのが本書。
原本に記されたさまざまな予知夢は、そのエピソードと相俟ってかなりの信憑性を感じざるをえない。本書の帯にある「本当の大災難は2025年7月にやってくる」など、あまりにもセンセーショナルで戦慄するしかないが、都市伝説系Youtuberはじめ海外の予言者と言われる人たちも似たような指摘をしていることから、なんとなく信じ切ってしまいそうになる。ましてや、本書のように著者の謙虚な人柄が窺えるものだとどうしても信じたくなってしまうのが人間の性というものだ。だが、オカルト的なあるいは都市伝説的なもののなかには科学的に説明できたりするものも多く、「当たるも八卦当たらぬも八卦」「信じるも八卦」といった言葉通り、ほどほどに見聞しエンタメとして楽しむ程度が心理的にも楽だろう。やはりそこはあくまで予言・オカルトと割り切って、具体的な内容をシリアスに考えるのではなく、何事においても日頃からの備えを万全にせよという戒めとして日々の生活を見直すきっかけにする方が得策だと思う。
全てをオカルトだ都市伝説だと切り捨てるのはナンセンスだが、それらをある意味ポジティブに捉え直して自らの糧とする方が得るものも大きい。