頭がいい人の脳の使い方―――記憶力を高める8つのメソッド
小田全宏
出版社:あさ出版
発売日:2020/02/06
これからの時代だからこそ必要な力
一昔前なら人間は脳のほとんどを活用していないといわれていたが、近年の脳科学の研究などでそれは否定されている。
また脳の良し悪しは遺伝によって決まるといった話しも、科学的な根拠がある一方で後天的環境からの影響が大きいことも分かってきている。
加齢によって記憶力が低下するという半ば常識的な話しさえ、昨今は否定されている。つまり、脳はいつでも鍛えることができる。年齢に関係なく脳細胞を活性化させることができるということだ。
実際、本書で報告されている例では、様々な経験を積み知識を身に付けてきた人の方が物事を記憶しやすいことが紹介されている。頭は使えば使うほど記憶力は増幅されるというのだ。
むしろ「自分は頭が悪い」「記憶力が悪い」といったネガティブな思考が、そもそも脳のポテンシャルを下げてしまっている事実。それはもはや呪いに等しい。
特にこれから目覚ましい発展が期待されるAI時代において、本書では「記憶力」こそ重要な鍵だと説いている。
その理由は、変化が激しい時代であるからこそ、新しいことを学び習得し続ける必要性が出てくるからだ。そうでないと最早時代に対応することはできない。すなわち、新しいことを習得するのに記憶力が高いということは、それだけで有利ということだ。
本書では記憶力を高める8つのメソッドも紹介されているが、それは4万人以上が体験してきたことというから驚きである。
さらに記憶力に加え。ここぞというときに自分の力を最大限に発揮するための集中力の重要性も説かれている。その集中力を高めるためのコツも紹介されているので併せて実践してみたい。
ただ、何かを学び習得するといっても、そもそも興味が向かないことへはなかなか乗り気にならないのも事実。
個人的に、上記の記憶力・集中力とあわせて好奇心、あるいはもっと広い視野で物事をとらえる心構えも鍛えるべきかと思う。
これからの時代、自分を鍛えるためにハードルを上げるのではなく、ハードルを下げるという努力が大切なのかもしれない。