叩かれるから今まで黙っておいた「世の中の真実」
ひろゆき
出版社:三笠書房
発売日:2020/11/25
これから社会に出る人に知っておいてほしい現実と、自分の頭で考えることの大切さ。
よくテレビ番組に出演した際、飄々としながらも歯に衣着せぬ物言いで"論破祭り"などと騒がれるひろゆきさん。本書でもその論調は変わらない。
普段から自著について「自分はしゃべっただけで、書いたのはライターさんや編集さん」と言っている通り、多分今回もそうなのだろうが、相変わらずの緩い口ぶりながら切れ味鋭い言葉が並ぶ。
本書は、現在日本が置かれている状況を社会や仕事、教育、人間関係など、さまざまな切り口から客観的に捉えなおし、他国と比べ日本の短所や遅れている部分はどこか、またこれからの世界の展望について、ひろゆきさんなりの考えが記されている。
前者、現在日本が置かれている位置がどこか、そしてなぜそうなってしまったかの原因と影響についての考察には、数多くのデータも挙げられており説得力がある。
また後者、これからの世界の展望については、現在フランス在住のひろゆきさんだからこそ語れる客観的にみた日本の姿を示しつつ、諸外国との関係性からどのような影響や不具合が起こりえるかを浮き彫りにしてくれている。
取り上げられている諸問題自体、知っている人は知っていることなので、読む人によっては目新しいものがないと感じるだろう。しかしそれは反面で、多くの日本人がそうしたことも知らずに、あるいは無関心のまま、まして見て見ぬふりをして自分たちの立ち位置を危うくしている現状を映しているようだ。
いかほどまでに日本は立ち遅れているか、読んでいて悲惨な気持ちになるくらいに言葉が重ねられている。それは読む者に反論させる余地を与えないほどだが、その実際は現状をしっかり捉えた上で語られていることなので、単なる正論などではない。
人間に優劣はないが努力だけではどうにもならないことがある以上、自分が勝てるフィールドを賢く選択していく必要性がある。
また感情に流されるまま決断してしまうことがいかに危険か、事実も嘘も見抜ける力を養うことがどれほどまでに重要か。
生配信などことあるごとに語られる主張だが、その軸はブレていない。
「おわりに」の中で、ひろゆきさんは「本書の内容を鵜呑みにせず自分で調べること」をすすめている。
まさしくこれこそ、今、多くの日本人に欠けている姿勢だろう。