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【読書感想】『獣神サンダー・ライガー自伝』上・下・完結編

 
 獣神サンダー・ライガー自伝(上)

 出版社:イースト・プレス
 発売日:2017/07/07
 
 
 獣神サンダー・ライガー自伝(下)

 発売日:2017/10/15

 
 獣神サンダー・ライガー自伝 完結編

 発売日:2020/03/15
 

プロレス界のレジェンド、獣神サンダー・ライガーのこれまでとこれからと……

 今年1月、日本はもとより世界のプロレス界にもその名を馳せたスーパーヒーロー、獣神サンダー・ライガーがリングを去った。
 マスクをかぶる前から通算36年の長きにわたって日本のプロレス界をけん引し、ジュニア級の地位向上、世界のリングでの活躍など、その功績は計り知れない。

 そのライガー選手の自伝。
 上・下巻は生い立ちからBEST OF THE SUPER Jr.卒業を宣言した2017年までを、完結編ではその後から昨年2019年の引退発表、引退試合周辺までのことを、それぞれインタヴュー形式で語ってくれている。
 もともとバラエティなどのにもたくさん出演しており、その親しみやすい人柄を知る人も多い。
 だがこの自伝集で語られる姿からは、その人柄に加えてまさしく「レジェンド」と呼ばれるにふさわしい風格をうかがい知ることができる。それは単に輝かしい戦歴といったものではなく、激動の新日本プロレスという団体の中にあって、さまざまな騒動や葛藤を通じて培われた人間性という部分においてまさしく「レジェンド」だったのだ。
 語り口調はあくまでいつも通りの陽気なライガー選手だが、その言葉の一つひとつに刻まれたものは実に重い。
 歴代の名だたる名選手たちとの交流、そこで伝えられてきた「プロレスとは」という命題。そしてそれを団体の垣根を越えて若い世代のレスラーにも伝え広めた姿。……
 世界のリングにおいて、本当にかけがえのないプロレスラーだったことがよくわかった。

 個人的なことを書いてしまうと、私自身、全日やハッスルで活躍した川田利明選手の試合をもっともよく観に行っていたが、次に多いのがライガー選手だった。団体として新日が好きだったこともあり、本当によく行ったものだ。
 もともと永井豪先生作のアニメ『獣神ライガー』からリングに登場したマスクマンであることはあまりにも有名だが、ライガー選手のデビュー当時は幼心に「かっこいいな~!」とテレビにくぎ付けになっていたことを思い出す。
 10年前に帰郷してからは、プロレスを生で見る機会がまったくなくなってしまったが、インターネットのおかげで情報を手に入れるには事欠かなかった。また引退直後からYoutubeチャンネルを立ち上げてくれるなど、引退以降もなおライガー選手に触れられる機会も多くあまり引退したという感じになれなかった。とはいえあれから数か月経って、徐々にだが「あ、もうリング上で試合見られないんだな……」と引退してしまった事実をを昨今受け止めつつある。上京したタイミングで見られるものは見ておけばよかったかなとも思うと、より淋しさが増す。
 
 なにはともあれ、これからも違った形で活躍していくであろうライガー選手を応援していきたい。

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