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【読書感想】吉増剛造『詩をポケットに~愛する詩人たちへの旅』

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 詩をポケットに~愛する詩人たちへの旅
 吉増剛造
 出版社:NHK出版(NHKライブラリー)
 発売日:2003/09/19

現代詩の巨匠が読む詩の世界

 谷川俊太郎・田村隆一とならんで吉本隆明に「プロフェッショナル」な詩人と言わせしめた著者は、現代日本詩壇の雄にしてその最前線を今も疾走する巨星であることは言うまでもない。
 そんな著者が愛してやまない詩人たちについて語った本書は、知る人ぞ知る名著だ。
 「詩」というとどこか浮世離れした言葉遊びのようで、つかみどころもなく意味を推し量るのも難解なもののように感じる人も多いだろう。実際、私も詩を読む機会が多いとはいえ、そのなんたるかを語りえるものを持ち合わせている自信はない。
 しかし本書は、詩人である著者をして「詩とはなにか」という問いに全面からぶつかっている。精緻で深淵な思索が、芳醇な語彙と比喩によって彩られ、悠々とした歩みのようでいて、どこか激流のただ中に引き込まれたような「詩を語る詩」のごとく美しい文体の中に、「詩とはなにか」を考える上でのヒントがそこかしこに散りばめられているように感じられる。
 数年ぶりに再読した名著ではあるが、2003年にNHKライブラリーから出されて以来再版されていないのが残念でならない。

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